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私が子宮頸がんになった話 vol.17 子ども達への伝え方


がんになったことを子ども達にどう伝えるか?
すぐには答えが出なかった。

子どもは当時小2と4歳。小学生にだけ伝えるのが良いのか? 子どもに言ったら他の父兄にも伝わるのではないか? 婦人科検診の大事さを友人や知人に伝えていきたいが、それにはまず自分の治療が落ち着いてからにしたい、などと考えていた。

がんと診断された後、どう伝えたら良いのか分からず「ママは病気で入院することになった」とだけ伝えていた。
子宮全摘となった2回目の入院が決まり、看護師と入院の流れを確認する際、入院中にCLS(チャイルドライフスペシャリスト)に相談ができることを知った。聞き慣れない言葉だったが「是非相談したい」旨を告げ、入院の前日「ママは何の病気なの?」と聞いてきた長男に、「ママが退院したらその話ちゃんとするね」と言って入院生活に入った。

術後体調が落ち着いてきた頃にCLSのカウンセリングを受けた。子ども達に病名を伝えるべきか悩んでいることを伝えると、海外では子どもに何を伝えるかという「3C」があることを教えてくれた。

3Cとは、
・Cancer がんという言葉を使いましょう(4・5歳くらいから)
・Not catchy がんは移らない
・Not caused 何かによって引き起こされたものではない(だれのせいでもない)


3Cは伝えるのが目的ではなく、伝えたら「いつでもその話をしていいんだよ」というスタンスで接することが大事とのこと。
伝えるなら長男だけではなく次男にも伝えた方が良い。子ども達の年齢からすると、大人の話を聞いてある程度は私の病気を分かっているだろうし、上の子だけに話すと後から「僕には教えて貰えなかった」と次男が家族から疎外感を持つこともあるとのことだった。
伝えるときの対応は、年齢に合わせる。うちの場合、小2の長男だったら、溜め込ませず質問には答えてやる、4歳の次男には伝えはするが、ゆっくりタイミングを見ながら。

帰宅後、少ししてから2人に伝えると、長男は「なんとなくパパとママが話していたからわかってた」と言っていた。CLSから、子ども達に話した後はその後も様子を見守る大切さも伺ったので、特に甘えん坊で私にべったりの次男については、保育園の先生に事情を話して様子を見てもらうようにした。先生はあまり人がいないときに次男の様子を報告してくれるが、今のところ特に変わった様子はないとのこと。
小学生の長男には、CLSのアドバイスから、「周りの人には話さないで欲しい。ママが話そうと思うタイミングで君の友達の親に話したい」と伝えた。長男はわりと落ち着いた性格なのでおそらく大丈夫だと考え、小学校の担任には私の病気を伝えなかったが、今のところ誰かに話してトラブルになったり、不安定になることもなく日々を送っている。

これも、私の治療が2度の入院で終わり、日常生活を送れていることが大きいと思う。もっとステージが進んでいて治療が続いていたら状況は違っていただろう。がんの早期発見の大切さを今改めて感じる。

私は以前から子ども達に生理のことを「お月さまの日」と言っていた。血が出てお腹が痛いし大変などとも伝えていた。この度、がんの話を2人にしたときに、「手術で赤ちゃんを育てる袋がなくなったからもうお月さまの日もなくなった」と伝えると、次男が、

「ママは血が出なくなって、ただの女の子になった」

と言った。それを聞いて、思わずじん、ときた。

手術で命が助かったのは心から良かったと思っているけれど、子宮やリンパ節を取ってしまい、やはりどこか少し沈んでいた気持ちから解放された気がした。そうか、”ただの女の子”ね。

子どもにがんと伝えることで、私は心身共に癒えたのだった。

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