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フィボナッチなんて当たらねえじゃねーかよ

 「フィボナッチ比率に基づいた価格は市場参加者の多くが意識するため抵抗線や支持帯になりやすい」とか「押し目は高値から61.8%戻した位置」とか「次はフィボナッチエキスパンションで前回高値から161.8%上を目指す」とか…


全然当たらねえじゃねーかよ!!


 と思ったことはないだろうか?私はある。だから私はフィボナッチを信じることをやめた。フィボナッチリトレースメントもフィボナッチエキスパンションも信じない。

 いや、正確には使い方がわからない。

 Google検索すればすぐ出てくるが、フィボナッチで大切なのは、0%、23.6%、38.2%、50%、61.8%、76.4%、100%…
 だが、金融用語集やwikiなどの説明を読んでもいまいちピンとこない。「何故そうなるのか」の部分が曖昧でわかりにくい。それなのに使っている人は多い、どことなくオカルト的でカッコいいような印象だけが漂う。


 曰く、これらのフィボナッチ数なるものが「押し目の目処」になったり「戻りの目安」になるらしい。フィボナッチを愛用している人には悪いが、冷静に判断して精度は五分五分なんじゃないかという印象。
 23.6%、38.2%、50%、61.8%なんて小刻みに調整の目処を設けられては「そりゃどっかは当たるに決まってるじゃん!」という感じである。50%か62%かなんて終値から測るか下ヒゲから測るかで変わってしまう。(これも人によって意見がまちまちで統一的な解が無い)
 それに「38.2%に届かないで反転」とか「ほぼ61.8%戻して下落」とか小数点以下まで決められているはずの黄金数が日本語の含蓄によって盛大に歪められている。そんなガバガバ判定を許容するなら半値戻しと全値戻し(50%と100%)だけで十分だと思っている。

フィボナッチ形

 そうはいっても個人的な経験でも「これはFR61.8%ドンピシャで戻したな」というケースは確かにある。こういうケースに遭遇するとフィボナッチが「市場参加者に意識される価格」というのは本当のようにも思える。だが、こういうフィボナッチ教に入信しようとした次の日には23、38、50、62のどこにも当てはまらない実に微妙な値動きを目にして正気に戻るのだ。

 体感としては、「まったくアテにならない訳ではないが、直近の安値や高値に引いたサポレジ(水平線)よりは信頼できないレベル」、あるいは「調整目処として23〜62%、ひいては100%まで振れ幅があるなら、バッファを持たせた移動平均線の方が使いやすい」という印象である。特にレンジブレイクでIFDの予約注文や損切りの目処として使える水平線より実用性が無いというのがネックで、当たることもあるけど、いざという時に役に立たない、例えばFE162%で利食い指値を入れて決済されたが、MAに従って放置していたら更に20pips取れていた…という具合にもったいないことになる場合も往々にしてある。これをご覧になった方はどう感じているだろうか。

 思うに、フィボナッチ信者がフィボナッチをご信託のように感じて、その恩恵に浴しているのはプラシーボである。三つの点がなんとなく人の顔に見えてしまう「シミュラクラ現象」のようなものなのではないか。
 波動がFEまで進行しているように見えたり調整がFRのラインでちょうど止まっているように測り直したり、あくまでフィボナッチ数に沿って相場か動いていると信じて行動していけば、フィボナッチの無謬性は揺るがない。
 あるいは、フィボナッチに合致した時の記憶は鮮明に残って、38.2%にも61.8%にも掠りもしなかった高騰や急落は自分の中で抹消しているという可能性もある。自分の信じたい事実だけを見れば現実はいかようにも見える。

 ただ、個人的にはインジケータを乱立させたMT5の画面のように、参照すべき”候補”がたくさんある指標は使わないという立場をとっている。
 あと、余談ではあるが、戦術としてフィボナッチのように予め「◯◯%で抵抗に遭いやすい」などの認識が頭の中にあると、そのラインに利食い指値を入れたり逆張りの根拠にしてしまったりするせいで期待(エッジ)が低下するというのもあって、なるべく避けているのかもしれない。


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