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【Vol.02】見える景色が全く違う

花屋とは見える景色が全く変わりました。

花屋は、どちらかというと矢印が常にお客様に向いてます。「どんな色が好きなんだろう?」「贈る人はどんな気持ちなのかな?」と、人の心を常に読み、考える仕事だなと思います。

同じ花を扱う仕事で、本質的には同じなのかもしれませんが、花農家は矢印は常に「花」に向いています。この花を育てるためにはどんな土壌で、どんな世話が必要なのか。毎回成長の経過を一株ずつ観察しては、異常がないかを調べたり。あと、「花屋」にも矢印が向いている仕事だとも感じました。「この花屋はどんな花が欲しいのかな?」「こんな花があったら嬉しいかな?」私は花屋でもあるので、自分自身がターゲットにもなります。ある意味、究極の自己満足を目指せます。
(相徳が欲しい花は俺が育てる!みたいな)

今日の天気、気温、湿度、風。私の肌に触れる情報にも敏感になりました。雑な表現かもしれませんが、人間もまた生き物で、自然の中で生きていることを実感します。「私は生きてる!」なんて思えるのが、植物と関わる醍醐味なのかもしれません。

・・・

「好きな花の種を買ってきな!」

沓掛さんに豪快な一言をかけてもらい、私は育てたい花の種を買いに行きました。とはいえ知識も全然まだなく、一般に流通している種も種類が少なかったので、先輩方に習い「ダリア」「ジニア」を購入。ハロウィン用のカボチャの種も買いました。後日「ケイトウ」も追加し、そのほかにも多種目多品目の種を仕入れて、初年度は実験。花農家としての一歩を踏み出した気がします。

カボチャの種

そして、農地をお借りして開墾させていただくことになりました。人生初のトラクターは、数回エンストしてしまいましたが、無事にふかふかの土壌を作ることができました。鶏糞とキノコを発酵させた堆肥は、植物にとって最高のご馳走。鍬で土を起こす作業は想像以上に腕力を使います。気づけば泥だらけになっていたけど、嫌な気持ちは全くありませんでした。昔から汚れることに抵抗がなくて、泥とかに積極的に飛び込んじゃうタイプの子供だったので、むしろ童心に帰った気分になりました。

雑草が生えるのを防ぐため、マルチシートを張る

ありがたいことに兄弟子にあたるご夫婦から余っている苗をいただけることになったので、種の発芽を待ちながら一足早く耕した農地に苗を植えることに。ジニアとホワイトレースを植えました。すくすくと育っておくれよー。

ホワイトレースの苗

繰り返しになりますが、花屋とは見える景色が全く違います。市場の動向を見たり、流行りの花を調べたり、花屋をしている頃より、花を観察したり調べる時間が多くなりました。知的好奇心がとても刺激される日々を過ごしています。

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