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相関関係と因果関係を混同しないようにしよう【1/2】

理学療法の論文などをみていて、「AとBは中程度の相関があります」や有意さがあります、といった記述をよくみます。

論文とはそうゆうものですが、今一度、論文の見方をについて整理したいと思います。

今回のテーマは、相関関係と因果関係の違いです。

それでは、本題いきましょう。

🔶因果関係とは?

因果関係というのは、原因と結果という物事の流れをいいます。原因と結果を明確に分けるので、必ず流れの方向に矢印が向きます。

例えば、今日あなたが頭が痛いとしましょう。これは結果です。なぜ頭が痛いかというと昨晩遅くまで友達の飲み会をしていて飲みすぎたからです。これは原因です。

つまり、飲み過ぎ(原因)→頭痛(結果)という図式が成り立ちます。この原因と結果の流れが因果関係です。

因果関係には、3つの段階があると言われています。👇の書籍では3つのはしごとして解説されていますね。

では、飲酒と頭痛には因果関係があるでしょうか。これは経験則から分かることですが、飲酒すること自体で頭痛が起こるわけではないですよね。実際にデータとして確認するのであれば、お酒を少し飲んだ人とたくさん飲んだ人で翌日の頭痛の出方を確認すればいいのです。

これは、”介入”といって因果関係の2段目のはしごと言われます。無論、人によって飲み過ぎの領域が変わることはここで一旦おいておくとしますね。

もう一点あります。もしかしたら、お酒を飲まなくても頭が痛くなったかもしれません。気圧の関係もあるかもしれないし、期限が明日までの仕事を忘れていて何も手をつけていないことを思い出したかもしれない。

ここで、3段目のはしごが登場します。これは”反事実的な問い”と言われます。これは、お酒の飲まなかった世界と飲まなかった(架空の)世界を比較することを言います。

この比較によって、頭痛が起きている原因を探っていくことができます。

🔶相関関係と因果関係は別物であることを理解する

よく論文には「AとBには相関があります」という記述をよくみます。相関関係とは、2つの間に関連性があることを指します。

ここで押さえておくべきは、相関関係と因果関係は別物であるということです。

相関があるという記述を見た時に、あたかもそこに因果関係があると思い込んではいないでしょうか。相関関係があるからといって必ずしもその2つの間に因果関係は発生しないことがあります。

火災報知器を例に挙げてみましょう。さっき紹介した書籍で使われていた例です。

火災報知器は厳密には煙を探知しています。例えば、「火災が起きた時に火災報知器は作動するか」みたいな研究をしたとします(こんなのないけど)。

これらの相関関係を見ると、火災と火災報知器の作動には相関関係があるでしょう。こう見ると火災(原因)→火災報知器(結果)に感じます。

しかし、火災報知器の実際の機能は煙を感知することです。火があるからとか熱があるからとかで反応するわけではありません。火が出て煙が出るから火災報知器が作動します。

因果関係を図にすると以下の感じです。

火災→煙の発生→火災報知器 という感じです。直接的な因果関係は煙と火災報知器の間にあります。

この例はかなり単純な例ですが、研究論文を見るときは相関と因果関係に注意しながら見る必要があります。

他にも矢印の向き、相関関係を見出して因果関係を語ると、矢印の向きが自分が想定していたものと反対だったみたいなことも起こります。


今回はここまで。
それでは、また。

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