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A LONG VACATION 大滝詠一


子供の頃の夏休み、家族で九十九里の成東海岸(本須賀海水浴場)へ海水浴に行くのが毎年の楽しみでした。東京都大田区から、首都高速、東関道を経由して、海に向かいます。そのドライブのお供は、大滝詠一の「A LONG VACATION」。父がカーステレオで繰り返し流してくれたこのアルバムは、私にとって特別な思い出の音楽です。

佐倉インターをおりて、成東に向かう道中、「君は天然色」が流れると、窓から入ってくる潮風と一緒に、その明るく軽快なメロディが車内に広がりました。父が運転しながら口ずさんでいた姿が、今でも鮮明に思い出されます。この曲が流れると、夏の始まりを感じて、わくわくした気持ちが膨らみました。

「カナリア諸島にて」が流れると、海に近づいていることを実感しました。車窓から見える広い空と青い海が、曲のメロディと一体になって心に焼き付きました。

そして「恋するカレン」が流れると、夕方の海岸で過ごした穏やかな時間が思い出されます。夏の終わりの寂しさと、また来年もここに戻ってくるという期待を同時に感じさせてくれました。

海水浴の後、帰りの車の中でも「A LONG VACATION」のアルバムが繰り返し流れていました。日焼けした肌と、砂まみれの足で車に乗り込み、疲れた体をシートに預けながら聴くその音楽は、心地よい疲れと幸せな気持ちを呼び起こしてくれました。

大滝詠一の音楽は、私の夏の思い出と切り離せない存在です。成東海岸で過ごしたあの頃の楽しい日々が、今でもこのアルバムを聴くたびに鮮やかに蘇ります。

「A LONG VACATION」の概要

アルバム名
アーティスト: 大瀧詠一
リリース日: 1981年3月21日
ジャンル: シティポップ、ロック、ポップ

アルバムの背景

「A LONG VACATION」は、1981年にリリースされた大瀧詠一のスタジオアルバムで、彼の代表作の一つです。このアルバムは、日本のシティポップの象徴的な作品として広く知られています。リリース当時から高い評価を受け、現在でも多くの音楽ファンに愛されています。

トラックリスト

  1. 君は天然色

  2. Velvet Motel

  3. カナリア諸島にて

  4. Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba 物語

  5. 我が心のピンボール

  6. 雨のウェンズデイ

  7. スピーチ・バルーン

  8. 恋するカレン

  9. FUN×4

  10. さらばシベリア鉄道 

アルバムの特徴

サウンドとプロダクション: このアルバムは、洗練されたポップサウンドと緻密なプロダクションが特徴です。大瀧詠一は、リバーブを多用し、広がりのある音作りを行いました。彼のボーカルは柔らかく心地よく、メロディラインは非常にキャッチーです。

影響: 「A LONG VACATION」は、1980年代の日本のポップ音楽シーンに大きな影響を与えました。シティポップというジャンルを広め、後のアーティストたちにも多大な影響を与えています。

各曲のハイライト

君は天然色: アルバムのオープニングを飾るこの曲は、明るく爽やかなメロディが特徴です。夏の開放感を感じさせる歌詞とメロディが、リスナーを魅了します。

カナリア諸島にて: この曲は、リズミカルで軽快なサウンドが魅力です。異国情緒あふれる歌詞とメロディが、リスナーを異国の地へと誘います。

恋するカレン: アルバムの中でも特に人気の高い曲です。切ないメロディとロマンチックな歌詞が、夏の夕暮れの雰囲気を感じさせます。

まとめ

「A LONG VACATION」は、リリースから数十年経った今でも色あせることのない名作です。大瀧詠一の卓越した音楽センスとプロダクション技術が詰まったこのアルバムは、多くの人々の心に深く刻まれています。シティポップの名盤として、ぜひ一度は聴いてみてください。


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