クロサギ2022 詐欺解説第七話

第七話に出てくる詐欺は二つですね。

一つは前話から続いている「導入詐欺」ですが、これは正確には導入預金詐欺です。バブル末期にはよく見られたやり方です。

バブル末期、総量規制が行われて不動産業者は融資を受けられなくなりました。しかし、土地はあるわけで、その資金として様々な手法がとられました。そのひとつが「社員に住宅ローンを組ませて、その金で不動産売買を行う」というものです。

私が取材したケースでも、銀行ではなく銀行傘下のファイナンスが融資し、その保証会社がこれまた銀行系列というとんでもない例が山のようにあります。

銀行が悪いのではなく、一部の人間が悪い……そうでしょうか? 私は銀行という金貸し連中の阿漕な手口を知れば知るほど、銀行屋はろくでもないと思いますね。だいたい、バブルでいったい誰がどこの銀行屋が責任を取ったんでしょうか。アメリカのように懲役300年とか食らって欲しいものです。結果として、あらゆるツケは我々国民に回ってきています。舐めちゃいけません。

銀行は自分たちの負債を綺麗にしたい。つまり、負債転換です。系列あるいは関係性のある金融会社に金を出させて、銀行は正しく回収する。こんなことをやるから、多くの信用金庫や組合が倒産しました。旧財閥系など、多くの例があります。知らないなら触らないことです。

さて、もうひとつ。

ドラマの中心になっている詐欺ですが、これは古典的な「籠脱け詐欺」ですね。場所を利用して、あたかもそこの人間であるかのように装って行う詐欺です。実際の話、大手企業のビルであっても一部をレンタルしているビルがあります。しかし、その事実を知らなければ、その企業の人間だと錯覚する可能性があるということです。ドラマではギリギリのタイミングで出てきます。そういうケースもあります。

名作「白昼の死角」(高木彬光著)では、より大がかりな籠脱け詐欺が行われています(映画でも登場しますから、是非ごらんください)。

場所が銀行であれ公的機関であれ大企業のビルであれ、「だから安心」ということはまったくない。

ここがポイントになるでしょうね。

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