クロサギ2022 詐欺解説第五話

 さて、第五話では……と書こうとして、はたと困りました。詐欺、ほとんど出てきませんね(笑)。原作では御木本が仕掛ける詐欺などを扱っているのですが、ドラマ版ではほぼ出てきません。これでは「解説」のしようがないのです。

 一瞬、話だけが出てくる「銀行で関係者を装って受け取る」というのは、古くからある「籠脱け詐欺」というやつです。銀行など信頼が得られそうな場所を利用し、あたかも、そこの人間であるかのように装って、金を受け取って逃げてしまうというものです。

 この詐欺では、たとえばこんな風に進みます。詐欺師はまず預金の話などをして、銀行の人間と名刺交換をします。後日また、という感じで別れ、受け取った名刺をつかってなりすますという手法ですね。単純にも思えますが、名刺にはかなりの信頼があって、まさか他人の名刺を渡すとは思わないものです(まして、場所が、名刺に書かれた場所だったりするわけで)。

 ドラマでは同じグループ系の銀行ということで、より確実だろうという設定になっています。

 ところで、原作では台湾でしたが、今回は上海。上海のマフィアが出てきます。中国マフィアの源流である青幇と紅幇、特に青幇は上海が源流です。有名な杜月笙などがそうですね。このあたりもし興味があったら村上もとか先生の「龍RON」を読むといいでしょう、名著です。

 中国マフィアは本土だけではなく、返還前の香港、そして台湾にも存在しており、14Kや和グループなど有名な組織があります。その残虐性は日本のヤクザなど比べものにならないもので、人の命などなんとも思わずに奪います。

 投資グループも出てきましたね。○○集団といった名前で大金を動かしているファンドグループで、中国公安との繋がりも言われています。

 いずれにしても、これらマフィアや投資グループに詐欺を仕掛け、もしバレたらどうなるか。考えるまでもないですね。全身の皮膚を剥がれることになるでしょう(比喩ではなく、その殺害シーンを映像で送りつけるなど、珍しいことではありません)。

 御木本としては、マフィアに捕まって拷問されて死ぬか、自死するか道は二つに一つです。巨大なマネーロンダリングルートを持っている桂木に弓を引いた以上必然の結末とも言えます。

生者必滅会者定離。ですね。


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