クロサギ2022 詐欺解説第八話
今回は医療法人を相手にした詐欺です。大手病院の多くは医療法人化しています。それには様々な理由があるわけですが、やはり、経営と医療の切り分けによる効率化、経営状態の改善が大きな目的の一つになります。医は仁術、とは今時誰も信じないでしょうが、いかに真面目にやっても、赤字では病院は維持できませんからね。
以前に取材したある医師はこう言っていました。
「はっきり言って、いまの保険制度では技術料というのはとても安いですからね。簡単に言えば、下手な医者ほど儲かるんですよ。たとえば歯科なんか典型じゃないですか。上手な医師ならば数回の治療で治ってしまうものが、下手な医師にかかると数十回に増える。そのたびに保険点数が発生するわけですから儲かりますよ。差し歯が何度も取れてしまうというのは、保険でやったからではなく、その医師の技術力が低いからなんです」
もちろん、この意見が全てというわけではありませんが、無視できない話ではないでしょうか。
さて、黒崎はCTやMRIという高額医療機器をリースさせ、キックバックによって甘い汁が吸えますよ、と誘い込みます。これ自体は別に珍しいことではありません。ちょっとネット検索すれば分かりますが、高額医療機器で価格が表示されていることはありません。定価はあってなきがごとし、なんですね。リース料金には定期メンテナンス料金も含まれているので、法外というわけではありません。しかし、あの仰々しい機械、どう見ても高そうですよね。数億円は当然だな、と感じます。
しかし、系列病院を複数持っていたり、長期契約となると大幅値引きは当たり前ですし、裏で動く金も皆無ではありません(認める人はいないでしょうが)。
黒崎はキックバックで誘い込んで十億円をだまし取ります(一億円キックバックなので、実際は九億円、さらに奥さんに四千万円ですから、その分は減りますね)。※ちなみに、この奥さん「正直不動産」で山Pを叩いた人ですね(あちらでは理華さんでした)。綺麗な女優さんですね。
理事長にとっては十億円を取り戻すよりも、これまでに行った不正がばれることが怖いわけです。生活保護を受給させてはニセの病名で入院させる、これも実際にある話です。ブラック病院と言われるところでは、生命保険や傷害保険などの支給期間を超える前に別名にするといった手法を行うこともあります(貴志祐介さんの「黒い家」でも出てきましたね)。
遵法行為であっても人工透析の利益率が高いことなど、医療には様々な側面があります。医療法人化したがために、反社が入り込んで病院が食い物にされた事件もあります。
黒崎はむしろ病院を良くした、のかもしれません。
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