詐欺に遭わないために

なんであんなものに騙されるんだ。

詐欺被害を取材していると周辺人物から出るのが、これです。しかし、そんな疑問を打ち消すように誘導するのが詐欺師です。

絶対に誤解してはいけません。悪いのは騙すやつです。騙された人に対して「欲があったんだろ」「儲けたかったんだろ」といった批判は、詐欺師以上にたちが悪いです。セカンドレイプです。天地がひっくり返らない限り、悪いのは「騙したやつ」です。

それを踏まえた上で、私の取材経験から言えることが少しだけあります。決して「だからあなたは騙された」と言いたいわけではありません。ただ、人間は弱い生き物です、そこにつけ込まれてしまいます。ならば、つけ込まれる隙を作らないようにするのが大切だと、私は考えています。

① 特別なあなた

詐欺師の常套手段ですが、相手を特別に選ばれた人である、といった演出をします。これの狙いは「特別だからこの金利」「特別に儲かる商品」など、つまりは「選ばれた人だけが得る利益」の強調です。

でも、ちょっと考えましょう。

そんな選択ができる人ならば、その「特別なあなた」を自分にすればいいと思いませんか?

つまり、これは「特別な犠牲者」に過ぎないということです。特別とはすなわち選ばれた人ということです。選民意識を刺激されると人間は弱いものです。

きつい言い方になりますが「私が特別な人間の訳がない」という、自己認識を持つと、ほぼ騙されなくなります。

マジックワードである「じゃあ、あんたがやればいいじゃん」、これがすべてを示してるかもしれませんね。

② 今しかありません

詐欺とは興奮させる犯罪である、と聞いた事もありますし、私もそう思います。冷静な判断をさせないための努力が、詐欺師の才能でもあります。

投資や購入で「今しかありません」はマジックワードです。

テレビ通販で「残り○○セットです」というのも同じですね。あれが嘘だとはいいません(いえません)が、じゃあ、誰か検証したんでしょうか?

今しかない。もし本当なら、そもそも私たちになんでそんな話が回ってくるんでしょうか? 自分たちでやりますよね?

事ほどさように、詐欺テクニックとは、冷静にみたらバレバレです。しかし、興奮していると信じてしまいます。

③ つまり、こうです

赤の他人が、どうしてわざわざ儲け話を投げてくれるんでしょう。そんな馬鹿なことはありません。儲け話は第三者にしないのが鉄則です。

これは詐欺に限った話ではありません。

金貸しのくせに銀行なんていう生意気な名前をつけている連中もそうですね。※「行」は中国語で「商店」を意味します。「洋行」とは「洋品店」のことです。このあたり、もし興味がおありなら高島俊男先生の著作を、是非に読んでみてください。

金融商品が本当に儲かるのなら、なんで自分たちでやらないんでしょうか? いえ、実際、金貸し連中(銀行、保険会社etc)は投資をしてます。しかし、彼らがどんな金融商品に投資しているか、我々には分かりませんよね。当然です。彼らは一番美味しいものを自分たちで費消しているからです。

そんな連中が勧めてくる商品…なんで信じることができるのでしょうか。私は不思議です。

そして、それを更にブラッシュアップして、単純に儲かるとして接近してくるのが詐欺師です。

人間は愚かでゲスな生き物です(私もそうです)。わざわざ他人に儲け話を教えるような、いわば「善性」はありません(と思ってください)。

最終的には「人を見たら泥棒と思え」に近いレベルでいることが一番安全なんです。とても哀しく辛いことですが…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?