クリエイターの小さい反撃

前回までのあらすじ。クライアントのネーミングの盗用疑惑に遭い失望したコピーライターの反撃はいかに。


通常はデザイン事務所と組んで仕事をしているが、盗用疑惑ネーミングとは、クライアントから新商品のパッケージデザインをそのデザイン事務所が引き受けた場面で発覚したのだった。わたしに発注が来たのは、そのデザイン事務所から。

デ:「新商品のネーミング候補はすでにクライアントが持っているので、もし他に候補があれば出してもいいですよとのことです。採用されるかはわかりませんが、ライターさん、出しますか?」

我:「では資料見ますね」

我:「なんじゃこりゃああ」

数ヶ月前にクライアントと別件で打ち合わせした場で、次回新商品の予告の概要を聞き、その場で面白おかしく商品を言い表したわたしの「身内受け仮ネーミング」が、ほぼそのまま(ちょっとだけ語尾を変化させているのは、別の商標にひっかかるから)採用されているではないか。

(おいちょっとまて)

(これが盗用か)

(これ採用してわたしにギャラが落ちなかったらほぼ盗用じゃんよ。え何?裁判?)

頭を冷やすのに2日ほど時間がかかるが、さらにいいネーミング案を提出し、盗用疑惑案を捻り潰すことに決定。ていうか、そもそも楽屋落ちで一般消費者向けのネーミングではないっつうの。それを採用するセンスが信じ難いんだよなー。

結果。新ネーミングを通すことに成功。当然です。プロの勝利。なぜその候補ネーミングではいけないのかを企画書で説明。時勢柄、対面プレゼンではく、なぜかズームでもなく、デザイン事務所越しなので先方の反応はわからず。だが溜飲を下げる(報酬も当然発生することに)。

ちょっと色々あってギャラを値下げされているのはまた別の話(これはこれで思うところは大いにある)。

ネーミングの盗用ってアイデアの盗用と同じなので、究極には避けられないのだなと痛感した話。キラキラ輝くワードがぽろりと口から溢れて、それを自分の手柄として掠め取られたら取り返しがつかない。当意即妙に面白いことを思いついても、言わないように気をつける、くらいの対策しか思いつかないでござる。

企画アイデアとか盗まれません?

ちょっといい案あるんすよねー!とクリエイターがアイデアをチラ見せしてきたら、それは「だから正式に俺に発注して!」という意味。それを無断でタダ乗りしていいということではございません広告主様&編集者様。

(クリエイターが報われる世の中がいつか来ますように)

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