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ナイフを刺すような、
身を切る痛みではない。

仮想空間のアバターを
アンインストールするような、
淡々としたきわめて機械的な作業だ。


名前をつけて、殺す
名前をつけて、殺す

自分自身の手で産み出し、
自分の思いつく限りの完璧を体現し、
現実味を帯びてくる前に、
その息の根を完全に消し去る。


名前をつけて、殺す
名前をつけて、殺す

私が考えた、私だけの、私にしか扱えない名前を。
産み出して、殺すまで。
私の意のままに。


名前をつけて、殺す
名前をつけて、殺す

何度も、何度も、何度も、何度でも。




------"私"に、★〓★ღღ☻̥̥̥̥ღ〓と名付けたひとは

【★〓★ღღ☻̥̥̥̥ღ〓はもう死んだ】

と言った。


★〓★ღღ☻̥̥̥̥ღ〓を産み出した者に、
★〓★ღღ☻̥̥̥̥ღ〓は殺された。
それは、★〓★ღღ☻̥̥̥̥ღ〓の知らぬ間に。



私はもう、誰にも産み出されない。
私は、自分で産み出し自分で殺す。

何度も何度も、地面を踏みしめ、
ここに存在しているのだと
その重みを確かめるように。



私だけの、大切な大切な名前。

こわれてしまいそうな、
繊細な、
手のひらにすっぽり収まる
ちっぽけな名前。

私だけの大切なxxxx。
可哀想で綺麗なxxxx。

だから、私とあなたの間だけで
綺麗なままで殺してあげましょう。

ただ消えていくだけで、痛くは無いから。



-196℃に保たれた
密閉ボトルの中にそれを閉じ込め、

薄暗い地面の奥底の
深く深くに置き去りにする背中に

それでも感じられた温かさだけが、
私とこの世界を繋ぐ
たった一本の糸だった。


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