見出し画像

サザンオールスターズ『茅ヶ崎ライブ2023』2023.10.1 観戦記〜18,000人が目撃した宴の18,000字レポート〜

 2023年10月2日の真夜中、10月1日という特別な1日がまた過去になろうとしている。

 昨日は本当に特別な1日になった。

 それは、ある局所的なわずか13,000m²くらいのグランドの中に1万8,000人が降り立ち、全国の映画館から10万人が見守り、近所のビーチに集結したちゃっかり音漏れ組も巻き込んだ4日間のドラマの最終幕だった。

 「海の近くでライブをやりたい。できれば茅ヶ崎で」桑田さんの一言が署名運動にまで発展し、茅ヶ崎市をも動かし、条例まで改正して、一世一代の凱旋ライブが行われたのが今から23年前。

 それから、13年後の2013年にもふたたび茅ヶ崎でライブが行われたが、35周年のスタジアムツアーの一環であり、途中下車感があったのも否めない。
 そして、その10年後の今年、45周年の6月25日・デビュー記念日にアナウンスされた、ファンが最も待ち望んだ吉報こそ、正真正銘の聖地を冠名にした「茅ヶ崎ライブ2023」だった。

 ファンであれば一度は憧れる茅ヶ崎でのサザンライブ

 自分は過去2回とも日程の都合が合わずエントリーすらできず、23年前はwowowのテレビ画面、10年前はライブビューイングで映画館のスクリーンを、それぞれ羨望の眼差しで観ていたので、思い返せば23年越しになる夢の実現となった。
 とはいえ、今回も4日間のうちのほとんどの日程があわず、神様を恨みもしたが、唯一、都合がつく最終日をエントリーし、見事、当選することができた。今回、本当に外れた方が多く、サザンの45年のキャリアと、衰えを見せない活躍ぶりには驚きというよりほかない。
 「かつては人気だったのにね・・・」や「23年前の栄光がピークだったね」なんてことにもなりかねないし、それが常であると思うのに、サザンはそんな常識を越えて、人々の期待を掻き立てて、その期待を越えてくるのだから、もう凄いと言うしかない。

 前置きが長くなったが、

 自分が茅ヶ崎駅に降り立ったのは、2023年10月1日午後1時。

10月1日お昼頃の茅ヶ崎駅前


 ごった返す人々。サザングッズTシャツや法被などなど、最新モデルに身を包んだ、もう疑いようのないほどに目的がはっきりしたファンが思い思いに聖地を堪能している。

 青い空に薄く白がかかって、ところどころその厚みが増している。暦の上では10月に入りとっくに秋であるはずなのに、蒸し暑さがまだまだ残っている。

 「右側の列に並んでゆっくりお進みください」

 小さな茅ヶ崎の路地上には青いTシャツで揃えたスタッフが、いたるところに立っている。三角コーンで路側に歩行スペースを取り、駅から海に向かう縦の通りはほとんど交通規制がされていて、歩行者天国状態となり、ライブ参加者は車道の右側を歩き、反対側は近隣住民が歩くイメージだった。そして、印象的だったのは道路の沿線上に10m置きくらいと言ってもいいほど、ローカルな露天商が並んでいた。見るからに近隣の商店や、地元の有志や、お祭り実行委員会的な方々が、楽しそうに飲み物やおみやげを売っている光景だった。

高砂通り沿いの横断幕


 サザンがいかに地元に愛されている存在であるか、また町に活気を与えられる存在って、改めて、スゴイことなんだなと、実感することができた。中には快くないと思っている人もいるかもしれない。実際、茅ヶ崎市役所には苦情も寄せられたとか。でも、そもそも街のど真ん中をライブ会場にして、リハーサルも含めて、1週間、夜まで、騒がしい状態が続いていることを考えると、反対デモが起こってもおかしくないレベルの異常事態であり、多くの皆さんの生活が犠牲になることも目に見えている。「苦情」が正常とも言える中で、よく実現できたとも思う。サザンでなければ、こんな事もありえない。

 また、市民だけでなく、今回は警察官の数も同じくらい、いたるところにいた。神奈川県警と書かれたパトカーや制服の警察官。暑い中、本当にお疲れ様でした、と伝えたい。
 ご迷惑をおかけしに来ているのに、歓迎されてしまう、居心地の良さに浸りながら、高砂通りを南下していくと、ライブ会場の茅ヶ崎公園野球場に到着する。どこの街にもある市営球場が全国にその名を轟かしてから23年目の秋。野球以外で使われた主な実績はサザン オールスターズのライブしかない、まさに、サザン御用達の聖地となってしまった。

 この近辺に来るまでに電子チケット確認があったので、一般のお客さんは球場に近づくことすらできない異例の規制となっているが、ここに来てさらに場内の立ち入りのために電子チケット確認をする。

 【サザンオールスターズ2023】と書かれた立派なゲートと、周囲に立てられ風にたなびいているのぼり旗。ここがライブ会場であり、夢の入り口であることを視覚的に伝えてくれる。さらに、リハ中の音も球場から聴こえる。ネタバレになってしまうじゃないか、と焦りながら、聴こえてきた「C調言葉に御用心」のイントロにテンションが上がってくる 。公園内は、45周年法被やTシャツを着たおびただしいファンに占拠されている状態だった 。

開場前の茅ヶ崎公園野球場


小高い、いこいの丘のようなスペースも、ファンの休憩スペースになっているので、近所の方から寄せられた「公園が使えない」という苦情は、このことだったのか、と納得した。
 野球場をライブ会場にしたからには仕方がないことかもしれないが、こういった細かなところもどこかで改善できると次につながるのかなとも思った。

 公園を抜けて、さらに奥に進むとテニスコートがあるが、このスペースがグッズ売り場と化していた。

茅ヶ崎公園内テニスコートがグッズ売り場に


ちょうどいいスペース、というと驚きではあるが、マチナカライブ感で楽しくなってきてしまう。今回もかつてないほど、悩ましく財布のひもが怖いくらい緩くなってしまう葛藤のグッズ選びだったが、
「ベースボールTシャツのLサイズ売り切れました~」なんて、物販ブースの売り子のお姉さんが叫んでいるのを聞いていると、購買心理とは恐ろしいもので、焦って買ってしまう のである。

トートバッグ、法被に、Tシャツにキーホルダー・・・「全部で17,000円になります」・・・推し活もつらいよ(笑)・・・また、これから頑張ろう、と心に強く誓うのだった 。

 そして、さっそく、Tシャツと法被に身を包み、自分も最新モデルチェンジを果たすのだが、この組み合わせは汗ばむ気候にはなかなかしんどいものもあった。最終日はいくらか涼しさも感じられたが、3日目は相当暑かったし、ファンも無事だったのだろうか・・・?余計な心配をしてしまう。

 それから、せっかくなので、開場の午後3時前までにサザンビーチを巡ろうと、134号線を渡ろうと一旦、会場を出る。すると、いつもの歩道橋が、観覧防止対策のため封鎖されていた。その代りに、歩道橋の下が仮設の横断歩道となる。しかしながら、横断歩道の線もなく、警察が前面協力して、国道を、車道が赤信号になったタイミングで、拡声器を使って、横断を呼びかける。これもまた異例の対応でプチ衝撃だった。

お昼頃のサザンビーチ


 ビーチでは、謎の無数のレジャーシート・・・いや、全然、謎でもなんでもなく、ちゃっかり音漏れ組のための観戦シートになっていた。“いったい誰が??”これでは、音漏れ規制を歓迎しているような感じがして、自分は少し違和感を感じていた。非公式ビーチライブビューイングとなってしまっているのだが・・・考えてみれば、23年前はビーチに特設のモニターまで用意してライブビューイングを歓迎していたので・・・それに比べれば・・・なのかな?

 サザンビーチでは、バンドがコンサートをしており、その付近の、記念撮影スポット≪サザンC≫は、想像どおりの超ド級の行列状態で苦笑してしまった。

 人々は時代に移ろい、流行りに流され、その横で、大昔から変わらずに♪遠くでぼんやり寝てる♪江ノ島と、♪涙あふれてかすんでる♪エボシ岩が、波音とともに、優しく見守ってくれている。

 2010年の桑田さんのふとした病の発表のあと、祈りをささげに来たエボシ岩、あれから、こんな日が来るなんて、、泣けてしまう。。。

 午後3時、開場時刻に合わせて、野球場に戻ってきた。もうすでに、球場に足を踏み入れいてる観客。球場脇の通路で、飲物チェック(今回は芝生保護のため、ミネラルウォーターやお茶以外は持ち込めない)するのだが、その手前で、テレビカメラクルー達がいる。
 たぶん、観客がインタビューを受けているのかな??と、横目で通り過ぎた時に「あれ?」と「どっかで見たことあるような・・・」感覚になり、2度見すると、岡村隆史さんだった。・・・テレビで見るよりも小さい・・・うっかり見過ごしてしまうほどに・・・(ごめんなさい)・・・そのまま、女性を従えて(あとで知るのだが、ファーストサマーウイカさんとモモクロの玉井詩織さん・・・玉井さんの名前の由来は栞のテーマ!)【関係者受付】に並んだので、きっとライブ観戦もされたのだろうと思う。(そのあと、開演待ちの最中にひときわ大きな歓声が後方のバックステージ近くのスタンド席で聞こえたのできっと岡村さん達だったのだろう)

 飲物チェックに、身分証チェックも済ませ、いよいよ、発券テントに・・・

  “神席こい!!!!”

 そんな願掛けは天に通じたのかどうか????Cブロックとなった。

 アリーナのほぼド真ん中。。。

 ステージがでかい!!高い!!近い!!

 ステージ上のメンバーを余裕で認識できる距離感にテンションも上がってくる。様々な50~60年代の桑田少年が茅ヶ崎で聴いて育ったような懐かしの洋邦楽がBGMで流れ、浜風も心地よく、若干雲が増えてきて、中秋の名月は見る事が叶わなかったが、本当に最高の野外の環境だった。

居心地のよい温かい空間に、観衆も徐々に埋まっていく。

 開演15分前の午後4時45分頃には100%近く埋まっているような感覚で、本当に、マナーの良いしっかりしたお客さんが多かったような気もする。反面、それが少し大人しく感じる場面があったことも事実だが・・・。

 自分のまわりにもさまざまな年代の方がいて、壮年クラスの男性2人、20代前半くらいの若い男性2人、熟年夫婦、左前方にいた子連れ家族3人、その子どもの女の子(3歳くらい??)は、とっても可愛らしく、法被を引きずりながら通路を歩く姿に、スタッフのカメラマンさんが『すごくかわいいので写真撮らせてください』なんて、ランウェイさながらに、“茅ヶ崎コレクション”ばりに、通路で2テイクのウォーキング撮影。周囲も萌えて癒されていた。

 午後5時

 ついに開演の時がやってくる。

 もう呼び込み名物にもなった応援団スタッフの桜子さん
「まもなく開演になります!みなさん!盛り上がってますか!??今日は収録のためカメラもたくさん入ってます!45年分のありがっとう♪(「歌えニッポンの空」の合いの手っぽく)の気持ちを込めて!よろしくお願いします!!!」に大歓声と拍手がMAXとなる。

 どんな印象的な登場シーンとなるのか??注目されていたが、、地元・茅ヶ崎のスーパースターにして、今年9月に茅ヶ崎の名誉市民になられた若大将・加山雄三さんの『夕陽は赤く』の一節がBGMで流れる。まさに茅ヶ崎を代表する名曲が開幕を告げる鐘のように、ざわついた観衆の心を少し落ち着かせる。そして、サポートメンバーが登場する。いつもの誠さん、片山さん、拓夫さんを筆頭にTigerさんや吉田治さん・・・気心知れた、いつもの音楽仲間の集結に、緊張感よりも安心感がステージを包み込む。

 そんな呼び込みBGMが終わって、いよいよ、サザンの登場かと思いきや、またも、若大将の代表曲『君といつまでも』のイントロが流れる。“これは今日は若大将づくしか?!”と、自分の周囲の観衆も、肩透かしのフェイントに思わず笑いも・・・いや、そういう意図ではなかったことが、会場のスクリーンにすぐさま映し出される。舞台袖で出番間近の5人が登場。そして、ステージ脇から5人が一列にならんで、前に立つメンバーの肩に手を添えて、イッチニ♪で、駆け足行進する体育祭チックな登場

 これは微笑ましかったし、サザンのメンバーらしさ全開で、大歓声よりも温かい拍手でステージにサザンを迎える感じはたまらなかった。先頭の桑田さんは若大将を意識してか手にはウクレレを持っていたし、服装はビートルズのメンバーの顔がプリントされたTシャツを着ているので、偉大な先輩への憧れに行きつく。
 桑田さんは手に持っていたウクレレをギターに持ち替え、原さん、関口さん、毛ガニさん、弘さんもそれぞれ定位置に・・・。

 『どーもありがとっ』ユル~イ桑田さんの第一声にやはり笑ってしまう。

 そう、興奮と熱狂ではなく、リラックスできる故郷に帰ってきたのだ!

はたして、注目の1曲目は!??


M-1 C調言葉に御用心
 まさかのイントロでビックリ!青空に向けて放たれた花火の号砲とともに、この曲からスタートするとは思わなかった。リハの音漏れで完全にネタ晴れした1曲でもあったが、オープニングソングになるとは夢にも思わなかった。2015年のおいしい葡萄の旅ツアーでは、当初はアンコール1曲目で披露されていたが、「この曲だと派手さが無い」との桑田さんの判断で、自分が参加した新潟公演を最後に、別の曲に差し替えられてしまった不遇の曲だった。でも、本編の1曲目でこんなにも「待ちに待った1曲目」として、人々の心も顔もパーッと明るくしてしまうものだから、この選曲は今回、一番のチョイスだったと思う。桑田さんもラジオで1曲目は「球場にちなんだもの」みたいな言い方をされていたような気がしていたので、勝手に『栄光の男』が1曲目かなと思っていてワクワクもしていたが、まさか“サザンC”にかけた、『“C”調言葉に御用心』とは思いもよらず、期待を上回ってしまった。手拍子が心地よくて、“あぁ、サザンのライブに帰ってきたんだ!”と実感した。

M-2 女呼んでブギ
 興奮の流れの中で、まさかのコンプライアンス無視の問題作(笑)桑田さんにとっては初期の頃は特に“ただの歌詞じゃねぇかこんなもん”のように、ノリと語呂の良さだけで「今の時代じゃ絶対作れない」ことはテレビでも言われていたとおりであるが、かといって封印するわけでもなく、これだけ注目されるライブで、容赦なく歌ってしまう勇気が凄い(笑)もう枕詞みたいなもので、それを承知で盛り上がれる寛容な時代がまだここにあり、さらにボルテージが上がった球場の皆さんを誇りに思いたい。自分のすぐ後ろの若い女性と母親のような親子は、まさかのあの「女よんで~〇んで〇いて」のくだりを熱唱していた。うら若き乙女までも巻き込んでしまう、サザンは罪なバンドである。ちなみに、その母娘は、ライブ中、終始「サイコー」を連呼していたので、自分の中では、≪サイコーガールズ≫とこっそり名づけていた。ちなみにその≪サイコーガールズ≫は、ライブの全曲を熱唱するという暴挙を繰り広げて、もはやカラオケ状態だった。でも、不思議と、桑田さんの歌声と邪魔し合わなくて(それが凄い!)女性コーラスみたいな立ち位置で、自分たちのゾーンを盛り上げていたかもしれない。。。でも、ちょっと、ライブに感動するあまり、思ったことをライブ中に会話しあうのは気になったが・・・。

 途中、替え歌で、帰ってきたよ~♪みたいなフレーズもあったような。

 曲の間奏で、観衆にお尻を向けて桑田さん、関口さん、誠さんがお尻フリフリしていたのはこの曲のときだっただろうか??

とにかく、そんな、個性的なファンたちに支えられながら、ライブは温かく幕を開ける。
あと、小型ドローンがずーっと飛び回っていたっけ。(これはライブの終盤まで同じく)

〜MC〜
 ここで、MCが入る。サザンにしては珍しく、冒頭のMC前の≪3曲縛り≫が無くなっていて、驚きがあった。たまには変化球を狙ってみるという思惑だろうか??

 「どうも、ザ・ドリフターズです」という桑田さんの自己紹介

 10年前はSMAPと名乗っていたが、さらに時代が遡り、国民的グループを名乗る国民的バンド。

 「茅ヶ崎に帰ってきました~」の桑田さんからのご報告に、「おかえり~」の声が会場のあちらこちらから。

 さらに、桑田さんは 「ようこそ、ここへ~♪」と往年の桜田淳子さんの『わたしの青い鳥』のワンフレーズを歌うと「クッククック」の合いの手が会場から起きる。
 これに気をよくした桑田さんは全国の映画館で中継を結ぶ、ライブニューイングに向けて、同様のコール&レスポンスを繰り返す。ほかの公演でもこのやり取りは定番だったのだろうか??以後のMCでも忘れた頃に定期的にやってきた(笑)
 この「クッククック」の合いの手を、自分の後ろ斜め右の席(また後ろの席(笑))のオジサンがもの凄いバカでかい声で返すので、桑田さんが「ようこそここへ~♪」のフレーズを持ち出すたびに、“くるぞ、くるぞ~”とワクワクして、実際に注文どおりのバカでかい声があがると思わず笑ってしまった。自分の中では、そんなオジサンを≪クッククックおじさん≫と、名付けていた。≪サイコーガールズ≫と≪クッククックおじさん≫が同じ列にいる、あの一列は本当に人材豊富だった(笑)

 あと、MCのたびに必ず「ヒロシ〜」と叫ぶおにいさんもいて、そのコールがあるたびに、周囲は爆笑に包まれていた。なので、あの界隈では≪ヒロシ推しおにいさん≫と言えば、間違いなく通じる。そんな、会場の【みんなで楽しむ】という寛容な雰囲気が本当に居心地が良くて、“ライブマナー”とは、ちょっと一線を画した空間で、みんなが自由で、まさに♪ここが故郷~♪の優しい空間が、今回、本当に忘れられないくらいの感動のひとつでもあった。笑い声や拍手が今でも耳の奥に響いている。

 『高齢者です』や『全員、持病があって、紙おむつはいてるんです』『ステージは高齢者施設です』みたいな、この10年の時代の流れ、感じさせる笑える(笑えない??)MCもいれながら、ライブはゆったりと進行する(笑)

 そういえば、『最終日なので、パンツ脱ぎます』なんてMCもあったような(笑)


M-3 YOU
 野外ライブでは、ほぼ欠かせない1曲であり、真夏の大感謝祭では1曲目だったことも印象的な1曲。そんな感傷的な思い出も混じってか、ちょっとした切なさもこの曲にはファンの脳裏としてあるのではないだろうか?心なしか、周囲のファンもタオルで目頭を拭いていたような方もいたような気がした。♪I remember you~♪に合わせて指をステージに差すフリは、桑田さんから会場に、ファンからステージに、という魂のやりとりみたいな儀式ともいえるライブ感もあり、毎度、心が温かくなり、グッときてしまう。♪波の音が遠くでcaution鳴らす♪が波の音が聴こえてきそうな茅ヶ崎の海のそばで聴こえることは言葉にできない感動がある。やっぱりドームで聴くのとは違う特別感が漂う。

M-4 My Foreplay Music
 おなじみの定番ソングが続く。この曲のバンドグルーブ感はステージのメンバーやサポートメンバーの誠さんのプレイも光って、きっとサザンとしてもやっていて気持ちのいい曲なのかもしれない。手拍子のリズムも定番であるし、思いっきり、やりきったのだが、どこか「このフレーズはこの拍子だよね」という暗黙のルールに縛られる、ファンの心理というのもちょっと辛くなる時もある。もっと昔は思い思いにやっていたような気もする。希望の轍もミスブランニューデイも、あんな決まりきったフリは無かったはず。やっぱり、自分はステージ上のサザンのプレイに感じたままの体の動きをしたいし、もっとライブは自由であるべきだ、とも思う。さらに最近はライトリストバンドなるものが登場してからは様相も変わってきて、サザン側から求められるフリも出てきたと思う。ちょっと苦しい時もあるが、それはそれで、一体感として、このライブの舞台装置のひとつ(笑)として、割り切って、盛り上げようとも思う。とにもかくにも、理屈抜きに、サザンのライブは無心で楽しめる存在であることは間違いない。

M-5 涙のキッス
 野外ライブの前半に披露されることが多くなり、予定通り感は少しあるが、それでも、やっぱり聴かせる名曲だ。海の近くで聴くと、やはりこの曲もまた渚が似合うラブバラードなのだと実感する。マニアとしては、サザン初のミリオンヒットソングとしての看板があまりにも大きくて、姿勢を正して聴くような、そんな先入観があるのだけれど、当のサザンは、どの曲とも同列で、自然に扱っているような印象もある。だからこそ、それが伝わって、思い出を重ねやすい軽やかさもある。青春時代に聴いた、あの頃の変わらないパッケージのままで聴かせてくれるサザンオールスターズの偉大さを、この曲をライブで聴く度に感じてしまう。

M-6 夏をあきらめて
過去の茅ヶ崎ライブでももちろん披露された、外せない、ご当地ソングの名バラード。この歌謡曲が似合う茅ヶ崎のイメージは、若者にこそ、受け継いでほしいものでもある。もし、サザンオールスターズの曲が“国の重要無形文化財”に認定されるとしたら、この曲はそんな筆頭になるかもしれない。それほどまでに、「失ってはいけない何か」を感じてしまう・・・ちょっと、話が小難しい方向に行ってしまったが、♪背中で見てる渚よ~♪のフレーズが歌われると、今まさに、自分たちの背中に、曲の舞台が広がっているんだと思ったら、ジーンとしてきてしまった。「茅ヶ崎ライブ」の醍醐味は、自分としては、『勝手にシンドバッド』よりも『夏をあきらめて』のほうが強かったような気もする。

M-7 MOON LIGHT LOVER
しっとりとした曲が続く、しかしながら、アリーナの客席(少なくとも自分の周囲は)は用意された席に座らない。素晴らしい!さすが茅ヶ崎!感動!
 どうしても、最近のライブはこうした聞かせるバラードが続くと、座りやすい傾向がある。そりゃあ、自分のお金でゲットした席だから、どうぞご自由に、と思うのだが、やっぱり、桑田さんも立ちっぱなしで歌を届けているから、自分としては、頑張って、立って、桑田さんと同じ目線で感動を交換しあいたいものだと常々思っている。そして、驚きなのは、この曲もそうだが、手拍子がエンドレスで、鳴り響く。こんなに、手拍子をしたライブはいつ以来ぶりだろうか??そちらについては、後々にふれていくことになるが・・・。
 気が付けば、あたりは夕陽が落ちかける頃で、照明も似合う時間帯になっている。少し、雲が厚かったせいか、この曲の世界観の中秋の名月の≪月明りの下≫は、残念ながら拝めなかったが・・・それでも、心はさらに温まっていく。海風も本当に心地よかった。

M-8 栄光の男
 近年の定番曲。桑田さんもお気に入りの曲であるし、「この曲をやっている時が、バンドとして一体感があって楽しい」みたいな話も以前していたような気もする。ファンも、嬉しかった。ちょっと、Aメロのアレンジを変えて歌うことも最近、多いけど、自分の中では、ちょっと(大変恐れ多いが・・・)イマイチかもしれない。それに、この曲の肝フレーズの♪わざとだよ~♪も・・・手を抜いてませんか?桑田さん!(笑)正直、あまりカッコよくなかった(笑)それだけ、大好きな曲だということでご容赦いただきたい・・・。ごめんなさい・・・。

M-9 OH!!SUMMER QUEEN~夏の女王様~
 シングル『I AM YOUR SINGER』のカップリングにも関わらず、この曲が近年では、ライブの定番になりつつあるのは少し意外でもあった。とはいえ、Bメロのゾクゾク感から、サビの解放感といい、シングル曲を食ってしまうほど、ライブ映えする要素が確かにある。そこは、【桑田さんに気に入られた曲】で間違いないと感じる。ただ、この曲を取り上げるなら、そろそろ『恋のジャック・ナイフ』も頃合いではないでしょうか?桑田さん!(またきた(笑))こうした疾走感あるサマーロックチューンは、最近の曲では、少ない気もするので、ぜひ、次の新曲は、そんなところを攻めてみては(笑)

M-10 そんなヒロシに騙されて
 そして、そして、原さんも続きます!原さんが茅ヶ崎ライブで何を歌うのか?自分は『北鎌倉の思い出』か、もしかしたらソロ曲の『鎌倉オンザビーチ』まで予想していたが、まさかの一気に飛び越えて、横須賀へ行ってしまうとは(笑)
 とはいえ、このライブ感は本当に盛り上がった。原さんがハンドマイクで、ステージ前まで出てきて、桑田さんとツーショットになったり、サービス満点の演出も嬉しかった。

M-11 いとしのエリー
 あの最高のイントロが聞こえてきて≪サイコーガールズ≫たちの『サイコー』というつぶやきが耳にはいってくる。本当に最高だった。
 『涙のキッス』同様に、サザンは本当に“思い出のパッケージ”を冷凍保存でもしているかのように、どんな時も、どんなライブシーンでも、同じ鮮度の感動で届けてくれる。最後のタメのあとの♪エリー♪のラストフレーズまで、いつの時代に聴いても、変わらない感動で目頭が熱くなる。


~メンバー紹介~
『いとしのエリー』の余韻の中で、ふたたび、MCへ。

「皆さん、どっからきたの?」アンケート調査タイムに突入する。

北海道や東北、という声も聞こえる中で、声を拾う桑田さん・・・。「九州まで行こうと思ったけど、割愛します」と、どこまで本気だったのか?早々にアンケート調査は終了した。

 地元、茅ヶ崎のコミュニティFM開局の10/1本日の立ち上げ報告もしながら、10/1はアントニオ猪木さんの命日であることも触れていた。「元気があればなんでもできる」もMCの最中に、しばしば口にしていた気がする。最後の最後に、アレがあるのかな?という予感も漂いつつ・・・メンバー紹介に入る。

 コーラスのTigerさんは、母親が茅ヶ崎出身という話題にふれるが、よくよく聞くと「辻堂です」というオチに(笑)
 ほか、サポートメンバーの“菅ちん”さんを「日本一サイテーなトランぺッター」という冗談で紹介したり、誠さんを「童貞オールドマン」(笑)と定番の紹介もしたり冗談を言っていると、関口さんのツッコミで「桑田くん、話が面白くないよ、もっとお客さんのことを考えて」なんて忠言が飛び出す。
 関口さんが自称「わたしがサザンの本当リーダーです」と、メンバー紹介を仕切り出す展開に(笑)ヒロシさんは「わたしがサザンのバンドマスターです」なんて、「サザンの○○です」コーナー化してしまう。原さんは「わたしがサザンの総合プロデューサーです。わたしこそがサザンを仕切ってます」なんてにこやかな張り合いが微笑ましい。毛ガニさんは「フレフレ!毛ガニ」のコール&レスポンスを観衆に求めて、案の定、いつもどおりのしっちゃかめっちゃかなメンバー紹介が繰り広げられた(笑)

 関口さんは「こんなに長くしゃべったことはないので過呼吸です」なんて冗談とも思えない(笑)発言のあとに「大橋巨泉のモノマネしかできない桑田佳祐です」という関口さんのアシストに桑田さんもモノマネで答え「うっしっし、かんちゃんずっぽし」とノリノリ に。そんなやり取りもまた微笑ましくて、最後に関口さんから桑田さんに花束も贈られて、温かい拍手に包まれる。同級生っていい。

M-12 歌えニッポンの空
ここで、新曲お披露目。茅ヶ崎の故郷の夜空の下に、みんなの声で響く「ありがっとう!」が最高の瞬間だった。替え歌で♪ここが茅ヶ崎~♪なんて歌われると、さらに、観衆の手拍子や「ありがっとう」コールの熱も高まる。ソロでは『MY LITTLE HOMETOWN』のような“ふるさとの想い出ソング”があるのに、サザンにはあまり無いのかな~(『茅ヶ崎に背を向けて』とはちょっとニュアンスが違う)と思っていたファンも少なくはなかったかもしれない。まさに待望の“ふるさとソング”が茅ヶ崎ライブをきっかけに生まれて本当に良かった。

M-13 君だけに夢をもう一度
 ちょっと華やかになってきた会場にさらに彩りを添えるナンバー。3年前の[ほぼほぼ年越しライブ]で、久しぶりに演奏された時には驚きはあったが、無観客配信ライブだったので、“惜しいなぁ~”と思っていた。だからこそ、茅ヶ崎ライブで演奏されて、嬉しかった。観衆の前で、この曲が歌われたのは相当久しぶりのはず。手拍子にもやはり、熱が一段とこもる。


M-14 東京VICTORY
 ここで、ついにリストバンドライトが解禁!そして、この演出がすごかった!頭上のほぼ真上に光の頂点が結ばれて、まるで、空中に星が現れたような、幻想的な演出だった。そして、あの咆哮。もう、叫ばずにいられない衝動というか、コロナの苦しみを乗り越えた、希望の雄叫びを1万8,000人が共有した。拳を突き上げて、叫んだ、あの瞬間は、今も思い出すだけで、胸が熱くなる。茅ヶ崎ライブのハイライトのひとつになった。特別な時間となった。新しい感動と思い出がサザンとみんなの心に刻まれた時間となった
 「サザン!最高〜!」≪サイコーガールズ≫の言葉を借りずとも、会場のあちこちから 、このパフォーマンスへの感謝の言葉として添えられた。

M-15 栞のテーマ
 『東京VICTORY』のあとで、ライブも佳境に入るか?と思いきや、ここにきての名曲『栞のテーマ』、それはそれで、もちろん嬉しかったのだが・・・
 今回のライブは、盛り上がりとしっとりとが交互にやってくるので、先の読めない選曲ではあったが、「茅ヶ崎ライブ」という23年前のあまりにも高いハードルがあるためか、少し“不憫なライブ”だったかもしれない。ノビノビと肩ひじを張らずに、サザンが今ここで皆さんと共有したい歌を思い思いにやる、というコンセプトが相応しいような。そうやって体感すると鉄壁の神セットリストだったとも思う。実際、5年前の2018年にロックインジャパンフェスで大トリを務めた際の神セトリが、今回の茅ヶ崎ライブでほぼ網羅されているので、サザンにしてみれば、これ以上ない、勝負曲ライブだったとも言えるのだが・・・ちょっと、曲の流れでみると、熱い曲のあとに畳み掛けるというよりは、クールダウンが多かった気もする。若いころの勢いまかせというよりは、体力的な考慮も少し考えられる。もしかしたら、落ち着いてリビングで鑑賞したりしていれば、違った楽しみ方が見えてくるのかもしれない。そう考えるとライブビューイングはどうだったのだろうか??少し気になった。ちょっと脱線してしまったが・・・渚のバラードの至宝が、茅ヶ崎の海の近くで聴かれる特別感は言葉では表現できないものがあった。あの時間に戻りたい ・・・。

M-16 太陽は罪な奴
 ここらへんから、曲の合間に波の音のSEがはさみこまれていたような気がする。“サザン渚のヒットソングメドレー”みたいなコンセプトでもあったのだろうか?クリスマスチックなあの鈴の音が聴こえると、もうパブロフの犬というか、テンションが一気に上がり始める。モータウンサウンドの小気味よさが、またも力強い手拍子を観衆に要求してくる。みんなのノリのいいリズミカルな手拍子が自然に一体感に繋がって行って本当に素晴らしかった。理屈抜きに楽しむサザンライブの神髄がここにあった!

M-17 真夏の果実
 波の音のSEが引き続く中で、多くのファンがきっと待ち望んでいたであろうイントロが流れる。『稲村ジェーン』がブルーレイ化し、再び注目が集まって、桑田さんにとっても“青春の1ページで忘れられない仕事のひとつ”の特別なプロジェクト。その作品の舞台であり、この撮影地で撮影中に生まれた、まさに、『真夏の果実』のふるさとへの“里帰り”に、感無量だった・・・(涙)

M-18 LOVE AFFAIR~秘密のデート~
 波の音のSEはいつの間にか蒸気船のSEに・・・となると、舞台は茅ヶ崎からあの港町へと原風景が移り変わる。やはり、鉄壁のライブリストを目指してきたな、と。この茅ヶ崎ライブへの意気込みというよりは、コロナ明けの久しぶりのサザンライブを、何よりもお客さんと共有したいという思いと、やはり感謝と、みんなの幸せを願う、サザンらしい選曲だと思った。♪ボウリング場で~♪のおなじみの投球フォームもカッコよくキマり、最高だった。

M-19 ミス・ブランニュー・デイ
 続いて、本当にライブは佳境となってきた・・・あの力強い原さんのシンセが野球場に鳴り響く、ファンに愛される最強のライブソング。時代を越えたメッセージソングであり、そのサウンドもまた、とても40年も前の曲と思えない、色褪せなさがある。“生きてて良かった”そんな幸せを噛みしめる、ライブの魔法がこの数分間に凝縮されていて、熱い!みんなのノリに大感動!サザン最高!!それしか言えない!

M-20 盆ギリ恋歌
 ボルテージが最高潮に達した会場に、シン・夏ソングが満を持して登場!ラテン歌謡のちょっと外したカッコよさの絶妙なバランスがたまらない。ダンサーも本領発揮でフリを踊る。サザンとしては、TikTok公式初参戦であり、この曲の振付を覚えるチャンスはいくらでもあったのだが、自分は、練習に充てる時間が無く(泣)・・・見よう見まねで真似したが、上手くいくはずもなく、早々に挫折、手拍子に徹した。しかしながら、周囲も踊っている人はほぼ皆無だったので、少しひと安心(笑)

M-21 みんなのうた
 「疲れちゃって・・・」桑田さんが冗談とも本気ともとれるようなくたびれ感で、唐突にジャズ調のピアノのアレンジに合わせて歌い出す。「スケベな歌が大好きだけど~♪世の中色々あるけれど~♪水に流すのはどうでしょう~♪」みたいな感じで、やたらに“水”が強調されるので、もうあの曲しか浮かばない(笑)そして、ホースが運ばれてきて・・・やっぱり、御多分にもれず、あの曲につながる(笑)
 しかしながら、放水はAブロックあたりで失速。色々と水量・水圧も配慮されていたに違いない。手のフリ(最近は“ワイパー”とも言うが)はサビからを貫きながら、この一体感もまたサザンライブの真骨頂である。いったい、いくつサザンには“真骨頂”があるのだろう?とんでもなく、懐の深いバンドである。こんなバンドはいない。ロッキンの掟もサザンならば軽々と破ってしまう、放水は伝統芸能の域に達した(笑)みんなの笑顔も最高だった。

M-22 マンピーのG SPOT
 「もっとやりますか!」の掛け声のあとに、ダンサーと謎のフリ合わせで「ロックンロール!」と叫ぶ桑田さん。“これは、もしや・・・ボデぃ・・”と思ったら、違うほうのイントロで“やっぱりそっちかぁ~(笑)”と思わずズッコケ。スクリーンには“サザンC”の“C”が“G”に変貌していくイメージが(笑)“C”で始まり“G”で終わる本編。花火が世空に打ち上げられる下で、桑田さんは定番ヅラを被りながら(今回は茅ヶ崎のナンバープレートになっていた(笑)!)、放送禁止コードをいつもどおり口走るわ、ダンサーさんのパンチラをカメラで撮影してしまうわ、やりたい放題で、曲の終わりにダンサーの郁実さんに、これまたいつも通り叱られて・・・「これが俺の生き様だ!」と開き直りの言葉で本編をしめくくった。(・・・どんなバンドだ(笑))

~アンコール~
 自然発生的にウェーブがスタンド、そしてアリーナにまで何度も寄せては返す。
 そんな中で、登場するメンバーたち

 そこで桑田さんから
 「みんな、アンコールの呼び出しの手拍子がおろそかだよ、どうせ、出てくると思ってるんでしょ」と会場の笑いをとる。

 いやしかし、手拍子に限って言うと、今回のライブは本当にずーっと手拍子をし続けて、久しぶりに手のひらが痛くなってしまった。アンコール時にはもうボロボロで(笑)
 サザン、ごめんなさい・・・

EN-1 ロックンロール・スーパーマン
 華やかなアンコールの幕開け。調べてみると、3日目まで、この曲はセットリストに無かったようだ。なぜ、最終日になって追加されたのか??その真意は、来週のラジオで明らかにされることだろう。ファンが幸せでいることをいつも最優先に考えているサザンのことだから、ある程度、想像はつくのだが、この多幸感が答えと思う。

EN-2 Ya Ya(あの時代を忘れない)
 そして、“もう締めなの?”と思わず反応してしまうイントロ。しかしながら、“まだ、あの曲やってないよね”と、察してしまう部分はあるのだけれど・・・。今年の夏は本当に暑かったのだが、この夜は、本当に季節の移ろいを感じる、秋の夜風をこの曲とともに感じて、やっぱりジーンときてしまった。間奏では、スクリーンにメンバーのデビュー当時の写真が映る。ベストテンで『勝手にシンドバッド』をライブハウスから演奏するあのシーンだ。客席も盛り上がるが、ひときわ盛り上がったのは毛ガニさんのアフロ(笑)と原さんの若かりし頃の姿だった。そういえば、20周年の特番の『バカさわぎの腰つき』で、同じVTRが流れた時も、同じ、毛ガニさんのアフロと原さんのかわいらしさが、一番反応が良かったことも、何故かフッと思い出した。

〜MC〜
 改めて桑田さんの感謝の言葉が述べられて、「うちに帰るまでがライブです。道でお酒を飲んだり、みだらな性行為をしないように」とやはり笑いを誘う。「朝までやって」という観衆の言葉に「朝まではちょっと・・・」という本音ともとれるつぶやき(笑)「サザンも次なる計画を練っていきたいと思います」という嬉しい発言もあった。立ち止まることなく、もう、先を見据えるサザンは凄い。ファンの欲求は怪物のようで、、プレッシャーを与えているとしたら、“無理しないで”とも思うのだけれど・・・サザンが望む道がファンが望む道でもあるので、楽しみに待っています!

EN-3 希望の轍
 「もっとやりますか!!」やはり、ここで飛び出してくるのは、原さんのイントロフレーズ。この曲もまた、『真夏の果実』同様に、“里帰り”なのだが、茅ヶ崎駅の発車ベルでもあり、23年前の茅ヶ崎ライブの1曲目でもあり、10年前のラストソングでもあり・・・。いつも、茅ヶ崎において、特別な曲で在り続けている。希望をテーマにした、少し切ないポップソングが、茅ヶ崎という地域で愛されているという事実が、これからも茅ヶ崎を≪憧れの地≫として、光り輝かせるのだと思う。

EN-4 勝手にシンドバッド
 続く流れは、2018年の紅白歌合戦の再現とも言える、デビュー曲の登場!紅白では、平成最後の紅白歌合戦のパフォーマンスとして、全国民がほぼ納得の選曲になったと思うが、茅ヶ崎ライブのラストメッセージとして、重なるところがやっぱり興味深い。混沌とした時代を世界が迎えている中で、“地域を守ること”が一番身近でできる最も大切なことなんじゃないのか?コール&レスポンスの「フレフレ!茅ヶ崎!」が象徴しているように、このライブを通して伝えたいテーマが新曲の『relay~杜の詩』に繋がっているような気もした。落ち着いて振り返る今にして気付いたことだったが、熱狂の中で、サザンが伝えたいテーマを知らず知らずのうちに自分たちは持ち帰って、知らず知らずのうちに行動に移せるといいな。
I Love 茅ヶ崎!!
ちなみに、この曲の金テープもまた、届かず・・・Aブロックあたりで失速・・・。

 カーテンコールでは、少しへとへと気味な桑田さん。4daysは30周年の日産スタジアムの際にも同様にあったが、2週間をかけての実行だった。近隣に配慮して、ファンにも配慮して、5日間で4daysを強行した桑田さん、サザンオールスターズの優しさ。自分はそれを誇りに思いたい。

 最後は、アントニオ猪木さんが乗り移ったかのように万感の『1・2・3ダァー!!!』

 「ありがとう」を何度も何度も繰り返す桑田さん。いつものライブのあとの光景ではあるのだけれども、こんなにも響いたのはかつてない気もする。

 そして、ライブでは歌われなかった『relay~杜の詩』をライブドキュメントエンドロールとしてスクリーンに流した。“なぜ、歌われなかったのか?”分かったような気もする。このメッセージの強さは、ライブテーマをあまりにも浮き彫りにしすぎてしまうような ・・・。
 そんな、あれこれを考えていると、不思議と、エンドロールとして、ライブの様々なシーンが走馬灯のように浮かんでくる。最後の演出として、用意していた意図もあったかもしれない。

 ビーチから打ちあがる花火・・・ライブの感動の余韻に彩りを添える・・・

 ・・・って、バックスクリーンと被って見えないじゃないか!!(笑)

 会場の皆さんが一斉にツッコミを入れた時には、もう満足の笑みが心にまで焼き付いていた。

〜終演後〜

 すべてのプログラムが滞りなく終了し、熱気がまだまだ冷めやらぬ中、涼しい秋の夜風がほてった肌を冷ますかのようにそよぐ。

 「それでは、これより規制退場を開始します」

 若い男性スタッフのアナウンスが現実へ呼び戻す。

 入場してきた1塁側と3塁側の両サイドに近い席から退場が始まった。場内には開演前に流れていた懐かしの50〜60年代洋邦楽BGMが流れていた。
 両脇のブロックから呼び出しを受けて退場するため、アリーナ真ん中のブロックにいた自分たちは、必然的に最後のほうになってしまう。
 それでも、7割くらいの方は、きちんと規制退場を守っていたので、今回のファンのマナーは本当に良かったのではと思う。

 19時50分頃から退場が始まり最後のほうで呼ばれたCブロックの時間は20時30分頃だった。
 規制退場アナウンスは、しきりに協力への感謝と近隣の方への配慮のお願いをされていた。
 スタッフはじめ、このライブに関わる大勢の方のチームプレイで成り立っているライブなのだと改めて感心した。
 ただやはり、その後の茅ヶ崎駅までの移動は凄いことになってしまっていた。

帰りの高砂通りの様子

 自分が帰路につくルートの高砂通りは、通り一面が満杯状態で、ゆっくりゆっくりと歩きながら、なかなか進まず。
 宿の門限が22時のため、焦る自分もいた。
 ライブ後に、すべて気持ちよく、とはなかなかいかない事は重々承知していたし、それだけ困難な開催地であることも理解もしていた。

 近隣の方の生活道路スペースにいたっては、道路の左側道に三角コーンと横棒でわずかに1mくらいしか確保されていない過酷な状況でもあり、さぞやご迷惑をおかけしているのだろう、と内心ヒヤヒヤしてもいた。

 そんな様々なモヤモヤを吹き飛ばしてくれたのは、住宅街の2階のバルコニーから手を振ってくれているひとりの女の子だった。

「バイバーイ」と優しく見送るその子に、思わず、周囲は「バイバイ」と手を振り返し、「かわいい〜」と心まで癒されるつぶやきがあちこちから漏れた。

 その後、無事に駅に着き(駅構内も溢れて入場制限されていた)、宿にも門限ぎりぎりで間に合う事ができた。22時までだった入浴時間を30分延長してくれた宿の方のお心遣いにも感謝したいし、一緒の時間に入浴された男性の方も、ライブに参戦された方(三重県から来られた方)で、ライブに参戦できた幸運を分かち合う事もできてありがたかった。

 翌日の帰り際には、宿の女将さんから、「サザンのライブは凄かった。茅ヶ崎も観光資源がなかなか無いし、本当にありがたいイベントだった」との喜びの言葉もあり、サザンがいかに地元で愛される存在か、そして、この茅ヶ崎ライブの意義改めて実感することができた。

 特別な時間とそれに関わった関係者

 数えきれない支え

 数えきれないファンとその夢

 数えきれない汗

 それらが凝縮されて

 熱い思いを乗せた舞台

 夏が本当に終わった

 そして、また次の季節へ


 サザンがくれた希望を

 明日のチカラに


 ありがとう!サザンオールスターズ!!


 ありがとう!茅ヶ崎!!!



 つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?