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ひとり女子旅〜映えのその先に。

冬休みを利用して、スコットランドに行ってきた。他の友人のように、イギリス国外に行きたい気持ちもあったが、「色んなイギリス」を見て感じたいという思いの方が強かった。東京だけが日本じゃないように、ロンドンだけがイギリスじゃない。イギリスに留学しているのだからこそ、国内を旅して考えることが必要なんじゃないかと個人的に考えていた。

この旅で目標としたことが、「五感を研ぎ澄まして、全身で現地を感じること」だった。一人旅は、孤独だ。困ったら自分で助けを求めないといけないし、ファミリーやカップルが多いクリスマスの時期だったので余計に一人であることの寂しさを感じる。でも、その分、1人だから見える世界観がある。誰にも支配されず、自由に考える、動くことができる。それが、一人旅の良さだと思う。

まず行ったのが、グラスゴー。ロンドンから北へ約600キロのところなので、寒い。そして、ロンドンとは違った芸術と建築の美しさに溢れた街だった。1日という限られた時間で1人で動く。街を感じる前に、目的の場所に行くことで精一杯だった。何百年も前からその地に建って色んな出来事を見守ってきた大聖堂や、一般公開されている荘厳な市役所、モダンアートを展示するギャラリー、大規模な博物館を訪ねる中で、少しだけかもしれないが、自分なりにこの街にはどんな人がどんな思いで生きていて、社会はどのように動いているかを感じ取ることができたと思う。

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2日目はエディンバラ旧市街地。陽が昇ったばかりのグラスゴーから、バスで約1時間。車窓に映る牧場や工場、美しい草原を見て、心が洗われた。

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都市と都市を繋ぐ地方が都市に必要なものと人を生み出していることを実感した。エディンバラ旧市街地は、1100年代の古い建物が未だに残っている。エディンバラ城とホリルード宮殿を結ぶロイヤルマイルを歩いた。至る所に教会が点在し、いかに神聖な道だったことがわかる。観光客ばかりで、都市というよりはディズニーのようなテーマパークだった。

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3日目は、エディンバラ新市街地。あえてエディンバラを2日間に分けて行ったのには理由がある。エディンバラ新市街は、都市が美しく区画されており、それが評価されて世界遺産になっている。しかし、それによって豊かな者が新市街に移り、貧しい者が旧市街にとどまり、悲しい現状が起きていた。外見は美しくても、当初は新市街でさえ水道が未発達だったから、汚物や伝染病の問題が残っていた。「エディンバラの街は美しい!映えだ!カシャリ📸📱」だけで終わらせたくなかった。エディンバラは、どんな街であったことを全身で感じてみたかった。
朝、新市街を歩く。直線の道路に、新古典主義の建築様式の建物が建ち並ぶ。歩いているだけで清々しい。その後、新市街ができた当初に現地に住んでいたお金持ちの家に行った。美しい装飾や芸術作品、教養を感じさせる物に溢れる一方、それを支えるメイドの悲惨な労働状況が再現されていた。誰かの喜びの裏には誰かの涙がある。今だってそれは変わらない。そして改めて、旧市街地を歩く。新市街との建築様式の違いを実感する。そして、今は旧市街地には裕福な観光客が集まり、新市街には多くのホームレスが居座るのを見て昔とのギャップを感じる。今回の旅も、ロンドンにいた時のように「格差」を物凄く考えさせられるものだった。

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五感を研ぎ澄まして感じるという目標をたてて挑んだ一人旅。限られた時間ではあったが、その目標は達成できたと思う。どうしても、美しいものに出会うとスマホやカメラを出して撮りたくなってしまうのが現代人のよくある行動だ。でも、「自分の目」で見たもの、「自分の耳」で聞き取ったものなどといった「自分の五感」で感じたものは、何にも代えられない貴重なものだし、画面やレンズでは映し取れないものを汲み取ることができる。今回の旅は、ロンドンにいる時よりも「上を見ること」が多かった。スマホや課題のせいで「下を見ること」が多い日常生活。そこから離れて、上を見る機会はとても心地良くて新たな発見、感動が多かった。世界は下だけじゃない。上にも存在する。視点を変える必要性も、今回の旅は教えてくれた。

次はどこへ一人旅をしようか。色々考えているが、まずは元のロンドン生活で「上を見る」ことができるようになってから。

#長期留学 #女子大生 #ひとり女子旅  


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