いちばんすきな花
第8話 2023/11/30(木) 22:00~
第8話。
美鳥ちゃん…!!
本記事では、ドラマ「いちばんすきな花」第8話のあらすじや台詞を、感想や考察を交えながらまとめています。
脚本や台詞が好きすぎて細かすぎるほどに残しているので、長いです!笑
※ネタバレを含みますので、これからご覧になる方はご注意ください。
●「いちばんすきな花」第8話
8-1. 嫌いなポジティブワード
こうやって4人の会話劇から始まる冒頭のシーン。
この後のストーリーの伏線になりつつ、役者さん同士の会話劇が面白くて、くすりと笑ってしまいます。
今回も、椿さんが話し出してからの絶妙なトーンと、4人の表情が面白くて。笑いました。
前回第7話は、美鳥がどうなっていくのか?!と、畳みかけるような後半の怒涛の展開で興奮しましたが、こうやっていつも通りのオープニングをしてくれると、心が整って、この後のストーリーを見守る気持ちの準備が出来ます。(笑)
8-2. 誰かの前だけの自分
ついに美鳥と再会したゆくえ。
電話ではよく話していましたが、実際に会うのは久々の様子。
美鳥はゆくえの憧れの塾講師だったということもあり、いつもと少し違い、緊張感や高揚感のある様子のゆくえが可愛らしくて、お芝居の繊細さが素敵だなと思いました。
今、ゆくえは希子ちゃんにとっての憧れの先生で。
同じように、美鳥はゆくえにとっての憧れだったんだろうな。
美鳥も、ゆくえとの再会を嬉しそうにしていて、穏やかにゆくえの話を聞く姿が、"ゆくえが好きそうな人だな"と思わせるものでした。
誰かの前だけの自分って、確かにあって、もしかしたら人の数だけあるかもしれませんね。
嘘をついているとか、隠しているということではなくて、その人にしか見せない自分。
相手が好きな人だったり、心を開いている人だと、その人に見せる自分を、他の人に見られるのはちょっと恥ずかしい部分もあって。
みんな、1対1の関係の前では、その関係性にしかない特別な自分がある。
だから誰かのことを語る時も、みんな、自分が見ている面でしかその人を表現できなくて。
当然、自分の知らないその人もいるわけで。
どれが正解で、どれが間違いということではなくて、いろんな面がある、いろんな顔があるということを、受け入れたり尊重することって大切ですよね。
8-3. みんなのミドちゃん
椿と美鳥を2人で会わせるために、椿宅から切り上げてきた夜々と紅葉。
久しぶりの再会は、2人ずつ。それで正解だと言われて安心した様子のゆくえでした。
紅葉は高校時代、美鳥に好意を抱いていたのでしょうか。
その好意が、恋愛なのか憧れなのか信頼なのかは分かりませんが、補修を受けたり、家で話を聞いてもらったりしていたということから、紅葉は美鳥に対して心を開いていたように思います。
それぞれと美鳥とのエピソードが気になりますね。
8-4. もう怪我してない?
「春木がゆくえと友達…」と言いながら笑う美鳥を見て、少し嬉しそうな表情をした椿。
心配していた美鳥の笑顔を見た安心感でしょうか。
美鳥のことを、なんというか、尊そうに見つめる椿が印象的でした。
この家は、椿が実家で引っ張り出した画用紙に描かれていた一軒家とそっくりです。
美鳥が自分で建てたのか、似ている家を買ったのかわかりませんが、美鳥が住みたいと思っていた理想の家だったのかなと思います。
今は椿が住んでいて、内装や家具が変わっているけれど、「なんか帰ってきた感じある」と話す美鳥の表情は穏やかでした。
そして二人の会話。
美鳥が転校して以来ずっと会えていなかった美鳥のことを、椿は折に触れて思い出し、心配していたとのこと。
昔を思い出して、でも今は一人で頑張っていると話す美鳥は、少し目に涙が浮かんでいるようでした。
「怪我、もうしてない?」と言った椿、声が震えて、目に涙が浮かんでいて。
それに答えた美鳥も、思わず涙を流していて。
この二人が共有した中学時代に、何があったのでしょうか。
大人になった二人の、言葉数は少ないながらも心が通じ合えているような会話が、とても印象的でした。
8-5. 椿の"志木さん"
美鳥ちゃん、家庭内暴力を受けていたと思われます。
連日のように怪我をして登校してくる美鳥に対して、美鳥は喧嘩っぱやい不良だ、ヤンキーだという噂が学校では流れていたのでしょう。
美鳥も、周囲には説明することも助けを求めることもなかったのか、喧嘩をしたと、椿に対しても言い続けていたようです。
椿も、椿のお母さんも、そんな美鳥を、特に多くを語ることも聞きだすこともせず、受け入れて、逃げ場をつくってあげていた。
美鳥にとっては、椿の家が、暴力から逃れ、ひと時でも穏やかに過ごせる場所だったのでしょう。
クラスメイトみんなが喧嘩だと噂していても、クラスメイトみんなが美鳥を嫌いでも、椿は、その"みんな"と同じにはならなかった。
みんなと同じになれないことは、椿にとってはいつも苦しかったことだったけれど、みんなと同じにならない椿が、美鳥にとっては救いだったんですね。
美鳥が夜々に教えた将棋は、実は椿から教わったものだった。
美鳥が救われた将棋が、夜々の救いになっていたというのも、この物語らしい仕掛けです。
美鳥が家庭内暴力を受けていることは、きっと当時の椿も椿なりに理解していた。
でも、美鳥が喧嘩だと言うから、喧嘩だということにしておいた。
そんな美鳥が姿を消した後、ずっと心配していた椿ですから、大人になり再会した美鳥が、笑っていて、自分の足で立っていて、ちゃんと生きていること、その姿を見て本当に安堵して、だからさきほどのシーンでの涙に繋がったんですね。
結果的に、何もしてあげられなかったと椿は悔やんでいたかもしれない。
でもきっと美鳥にとっては、椿の家で見せられる自分がいたことも、自分のことをずっと覚えて気に掛けてくれた椿がいたことも、嬉しかったし、救いだったんだろうな。
美鳥が転校してから大人になるまでの空白の時間の間に、どれほどの苦労をしたのかは、想像を巡らせるほど恐ろしくもなりますが、少なくともこの時、この中学生の時の椿が、美鳥の救いになっていたことは、確かだと思います。
そして、この時に描いた理想の家、帰りたい家が、今の椿宅なんですね。
だからきっと、前の住人が志木美鳥だと気付いた時点の椿に、この家を美鳥の元に戻すことに躊躇いはなかったのだと思います。
8-6. 友達目指せばよかった
相良くん!
夜々のことは普通に好きなんですね。でも近づき方を間違えた。
軽い子だと思っていた夜々がそうではないことを知って、自分も向き合い方を変えてみようと思い始めている様子があるように思いました。
友達になりたいとのことですが、"まずは"お友達から、なんですかね?
どのくらいの下心があるのかわかりませんが、自分が最初の一手を間違えたせいでまだ"友達"にもなれていない、その自覚がある相良を可愛いなと思ってしまいました。
私、相良くん肯定派なので(笑)
いつか相良くんが夜々に友達認定してもらえるのを願っています(笑)
8-7. 夜々の"ミドちゃん"
以前、椿宅にて椿の母が作った料理を食べた時に、夜々は懐かしいと言っていましたが、昔美鳥が夜々に作ってあげた料理が、椿の母から教わったものだからですね。
こんなところで繋がりがあったとは。
将棋に、料理に。春木家から美鳥を通じて夜々に渡されたものでした。
美鳥も夜々も、親との関係において抱えるものがあって。
幼いながらもそういった境遇で通じ合うものがあった二人は、お互いの存在に助けられたことが何度もあったのではないでしょうか。
大人になった夜々が、家族との関りについて「わかる」と美鳥を肯定した時、美鳥が「ありがとう」と言ったその表情から、二人の関係性が垣間見えた気がしました。
親戚中からやっかいもの扱いされていたという美鳥。
母親が親戚中に美鳥を預けていたのでしょう。
美鳥自身が何かをしたわけではないのに、おそらく母親が煙たがられていて、その娘である美鳥もやっかいもの扱いされてしまったのかな。
その中で、夜々は、まっすぐに美鳥のことを慕ってくれた。
その夜々の存在が、美鳥にとっては癒しだったんじゃないかなと思います。
重すぎる母親からの愛を受け止める夜々と、母親からの愛に飢えていた美鳥。
半分ずつだったらちょうどいいと言った当時の美鳥、切なすぎます。
夜々の母親が美鳥を送りだす時、「お母さん大丈夫?」と一応美鳥に聞きましたが、そんな聞かれ方をしたら、大丈夫と答えるしかないですよね。
それでも夜々の母は、他の親戚が断る中で、夏休み期間中は美鳥を家で預かった。夜々の母なりに美鳥のことを思っていた部分もあったのかなと思います。
6歳と幼かった夜々にとって、美鳥は優しくて憧れのお姉ちゃんだった。
大人になってからきっと、当時の美鳥の境遇を夜々は知ったわけで。
ミドちゃんが結婚したと聞いた時、夜々はミドちゃんに帰る場所、居場所が出来たと思って安心したんじゃないかな。
名字が志木に戻ったということは離婚したのか?
美鳥の現在までの出来事が気になりますね。
美鳥はいつも、ゆくえと会った時も、椿と会った時も、夜々と会った時も、「おじゃましました」と「ありがとう」をたくさん言いますね。
親戚中にたらい回しにされて、自分の居場所と思える場所がなくて、いつも周りに気を張っていた美鳥に染みついたものなのかなと思うと、切ないです。
8-8. 考え事
紅葉と美鳥の関係性、気になりますね。
「考え事すると機嫌悪い顔になる」って、神尾くんの顔立ちにぴったりな台詞で、配役に合った台詞過ぎてとても好きです(笑)
私もどちらかというとそういう風に見える顔なので、わかります(笑)
美鳥に会いたくてこの家を訪ねて来た当時の紅葉には、色々話せる相手が、美鳥しかいなかった。
3人と出会い、今は3人に、中でも特に椿に色々な事を話せるようになった紅葉にとって、今は美鳥が占める占有率のようなものが以前と比べて少し小さくなっている。
再会して、どんな風になるのか、気になります。
8-9. 答え合わせ
人との関係や感情や価値観をいつも数学脳で考えていくゆくえ、本当にゆくえらしいですよね。
数学って答えはひとつだけど、解き方はひとつじゃないこともある。
第1話でカラオケで赤田との会話の中で、ゆくえは「解けない人に採点はできません。ただの間違い探しじゃないの。○か×かじゃないの。途中式ここまでは合ってるよ、とかさ。」と言っていました。
この台詞がとても印象に残っているのですが、繋がる考えだなと思いました。
なんかもう間違い探しとか途中式とか答えとか、第1話からずっとテーマは一貫していますよね。
生方さんの脚本って、キャラクターの人物設定とか相関図とか物語のテーマとか、土台の部分が相当作り込まれてるんだろうなと感じます。
円錐の気持ちまで考え始めるゆくえちゃん、可愛いですね(笑)
希子が数学トークに付き合ってあげてる感じも微笑ましいです(笑)
美鳥のシーン、「東京戻られたんですか」と言われた時の微妙な表情が気になりました。
椿やゆくえたちと会って、みんなの居場所になっているあの家を買い戻すことに躊躇いが生じてきているのでしょうか。
8-10. "みんな"
穂積くん役の黒川想矢くん、相変わらずお芝居が素晴らしいですよね。
希子の事を話しながら、怒りと悔しさが溢れてきて、それを抑えながらぽつりぽつりと話す感じ。
憤りと、情けなさと、いろんな感情がごちゃごちゃな感じ。
このシーンの穂積くんには、思わず泣かされました。
それをまっすぐに受け止めながら、根拠のないその場限りの慰めは言わずに、冷静に、淡々と、まっすぐな言葉を届けるゆくえ。
「先生」とか「クラスメイト」とか、そういう呼び名、ラベルで、人はくくれない。
あくまでもその人がどうかでしかない。
なのに、ラベリングして誰かを定義づけして、それが"普通"だ、みんなそうだって乗っかろうとする人たちはたくさんいる。
朔也も、そんな"みんな"になれたら楽なのかもしれない。
でもなれなくて、だから苦しくて、だけどきっとそれは、希子にとっては救いになっている。
美鳥も、希子も、"みんな"になれなかった誰かに、救われている。
昔のゆくえもそうだったのかな。
8-11. 好きだよ
美鳥とゆくえの会話。
美鳥が塾講師時代、ゆくえと赤田は美鳥を慕っていたけれど、他からは嫌われていたと話す美鳥。
多数の"みんな"にならなかったゆくえと赤田は、美鳥の救いだったのかもしれません。
美鳥とゆくえと赤田の過去が明かされるのが楽しみです。
紅葉と美鳥のエピソードも、次回ですね。
2人が電話をしながら描いていたイラストにどんな意味があるのでしょうか。
美鳥は、椿の前で家の絵を描いた時も、とても楽しそうに絵を描いていて、上手でした。
紅葉がイラストを仕事にしたいと思ったきかけに美鳥が絡んでいるように思うので、次回が楽しみです。
今回は、「みんな」がテーマでしたね。
次回以降、もう少し美鳥ちゃんが詳しく描かれていくと思うので楽しみです。