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劇団しし座「断定はウソをつく」感想(2023/11/3&5)

劇団しし座さんの「断定はウソをつく」を、11月3日のゲネプロと11/5の13時、17時の計3回観劇した。
1回目は見ながら自分でも推理をして、2回目以降は犯人や動機が分かった上で細かいところを見て新発見をするのが楽しかった。

台本も販売されていたのだが、2日目に完売してしまったそうなので買えなかった。改めて感想を書き出していて、読み返して確認したい部分がいくつも出てくるので入手できなかったのが惜しまれる。(特にケイの考察で確認したいところがいくつかある)

山内さんとロボットの関係

社長秘書の山内さんは、ロボットたちの教育を担当しており、ロボットたちには「ママ」と呼ばれている。山内さんとロボットたちの関係が本当に親子のようですごく良かった。
山内さんはロボットたちが実験終了後に廃棄されることに心を痛め、ロボットたちを守るために廃棄計画の情報を漏洩し、AIの力で打開策を見つけられるように仕向けた。
その一方で、ナツが紅茶に致死量の睡眠薬を入れた時には「こんなことしちゃ駄目じゃない」ときちんと叱っているのも親だなぁと思った。(※本当は甘味料だがナツはダンテに騙されている)
山内さんが翔ちゃんを人質に取ってロボットたちを外に逃がそうとするシーンでは思わず泣いた。愛がなきゃこんなことできない。

翔ちゃん、ユキ、ナツの関係

メンテナンス担当の人間の翔ちゃんと、介護ロボットのユキ、ナツの関係性が滅茶苦茶刺さった。
ユキは翔ちゃんが事故で亡くした恋人と同じ見た目をしている。ロボットを題材とした作品では頻出の展開だが、こういう展開はなんぼあってもいいですからね。(仮面ライダーゼロワンでも喪った娘と同じ見た目をしたヒューマギアを作った父親の回がある。あの回滅茶苦茶好き。)
それを知ったうえで2回目以降見ると、翔ちゃんがユキに話しかける時は何割か増しで優しい声になっている気がした。
また、ナツは自覚していなかったが翔ちゃんに好意を持っていた。最初のロボットの動作テストの後に翔ちゃんがユキに話しかけている時、ナツは翔ちゃんに手を伸ばしかけていた。これも2回目以降に意味が分かる演出だ。

人の心とかなさそうなダンテ

殺ロボ事件の被害者の体が損傷しているのを介護ロボットの力ならできるのか検証するために殴らせようとしたシーンや、ロボットに怯えるようになった川口の部屋にハルさんを連れて行ったりと、なかなかにサイコパスで鬼畜な行動が多いのが好き。特に川口の部屋で「ハルさーん?」ブィィィィィイン(無言でハルさんが掃除機のスイッチを入れる)のやり取りは何度見ても笑ってしまった。
あと、ナツを夜に呼び出して睡眠薬を3滴より多く入れると人間は死んでしまう(※本当はただの甘味料)という嘘をついたシーンも好きだ。その話をした翌日に、「人間が全員集まるので全員分の紅茶を持ってきてほしい」と言い、部屋の鍵まで渡すという策士。凄く良かった。

それぞれの思惑の連鎖

この作品では、確かに色々な悲劇はあったが、心から悪意を持って悪事を成した者はいないという印象を受けた。

翔ちゃんはハルさんを利用して小力を壊したが、それは不正にデータを抜かれているのを発見したからだった。

山内さんがロボットの廃棄計画を故意にロボットに知られるように仕向けたのも、小力のデータを抜いていたのも、ロボットたちを廃棄から守るためだった。

山内さんがデータを抜いていなければ翔ちゃんが小力を壊すこともなかっただろうし、翔ちゃんが小力を壊すという手段ではなく社長や江藤に相談すればまた違った展開があったかもしれない。でもそうはならなかった。
ただ、それぞれが自分のできることをしようとして、それが悪い方向に噛み合ってしまい、そして第2の殺ロボ事件に繋がってしまったんだなぁと思った。

細かい演出で好きなところ

・毎回変わるダンテの寝相
角さん演じるダンテが事務所で寝ているシーンで、ゲネプロではちゃんと寝ていたと思うのだが、見る度に寝相が変わっていて面白かった。5日の13時回では完全に床に寝ていて、17時回では上半身だけ床に落ちてた。
複数回観劇すると、こういう細かい部分の変化が楽しめるのが良い。

・トラさんの荷物の運び方
トラさんが荷物を運ぶ時、スーツケースや鞄を高く掲げながらスキップをする。初見の時は思わずングフッwwwwwみたいな声が出てしまったし、何度見ても面白かった。

ケイに関する考察(別名、オタクの幻覚)

2回目の観劇の途中から、もしかしてケイはロボットなんじゃないかと思い始めた。本筋には関わらなかったし、作中で“断定”もされていないが、ちょいちょい「そうなんじゃないか」と思ったところがある。
ただ、それはもしかしたら何の必然性もない星を恣意的に繋いで星座を作るような所業かもしれないので、話半分に読んでほしい。

  • ケイの不調を翔ちゃんが治せる
    分かりやすく違和感があるのがここ。初日の昼にケイが「調子が悪いから昼食はいらない。なんか目が霞んで……」というようなことを言った時、翔ちゃんが見てやるよと言っていた。翔ちゃんはロボットのメンテナンス担当だが、工学と医学がどちらもできて人間の不調も治せるというのは流石に考えにくい。
    さらに、どうやってメンテナンスをするのかをダンテに説明する際、不調があるロボットは「目が霞む」「頭が痛い」などの不調を訴えるという話をしていた。初日のケイも「目が霞む」と言っている。
    また、ケイが階段で突き飛ばされて足を怪我した時も翔ちゃんが治して(直して?)いる。ここで、もしかしたらケイはロボットなのでは……?と思った。
    あと、これは記憶があいまいなので機会があれば台本で確認したいのだが、翔ちゃんが「ケイのことは生まれた時から知っているからな」と言ったところは、「赤ちゃんの時から知っている」というよりも「ロボットとして作られた時から知っている」という意味にも取れそうな流れだった気がする。

  • ケイは嘘がつけない
    事件解決まで社長がケイ以外を部屋に近づけないと言ったシーンより。
    社長はこの時「ケイは嘘がつけないからな」と言った。
    ケイは表裏のなさそうな天真爛漫な子なので信用していると捉えられなくもないが、これは「そういうプログラムだから」という可能性もあるのでは?と思った。
    このストーリーは「嘘」が重要なキーワードの一つになっているし、後に、試験中の新型介護ロボットの4人には嘘がつけるプログラムを搭載したと江藤が熱弁するシーンがある。逆に言えばそれより古いロボットには嘘をつく機能がないから、「ケイは嘘をつけない」と断定できるということじゃないだろうか。

  • ケイの飲食シーンがない
    ダンテたちが別荘に来た初日の昼食を、ケイは「調子が悪いからいらない」と言った。
    また、最終日人間全員が紅茶を飲むシーンがあるが、その前にケイは社長の指示で捜査から外されているため、ケイはその場にいない。
    初日〜最終日で何日か経過しているので、その間のどこかで食事していないとは断定できないが、少なくとも描写があった飲食のシーンにケイはいない。
    (ただ、これについては「ロボットかもしれない」と思ってるから怪しく見えるだけな気もしている)

  • ケイの父親はロボットの技術者
    社長の話によればケイの父親はロボットの技術者で、マッドサイエンティストとまで評されていた。その技術力は高く、江藤でも追いつけないレベルだという。そして、ケイの父親は天文学的な金額を注ぎ込んでロボットを1体作った。
    また、翔ちゃんの話でも、莫大な金を注ぎ込んで作られたロボットで成功例が1体だけあるという話があった。
    このロボットがケイなのでは、と思った。
    今のレオサイバー社の技術で作った新型介護ロボットたちも、皮膚が合成樹脂製であることが分かるまではロボットだと気づけず、「ロボットだとは信じられない」とウェルギリウスが評するぐらい人間の見た目に近いが、それを超えるケイの父親の技術だったら、尚更人間と区別が付かないぐらい馴染んでいてもおかしくはないだろう。

これだけ色々述べたが、普通に誰でも気づくわって言われたりしたら滅茶苦茶恥ずかしい。

クラファンのお礼でサインをいただきました。
今回初めてサインを書いた方もいるそうでめっちゃ貴重。
濱田さんのライオン、見本市でも見たことあるけどめっちゃ可愛い。

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