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新卒デザイナーの挑戦!復刻版NASU-Tシャツ制作の裏側【再販開始‼️】

「むらち、NASU-Tシャツ復刻させたい」

前田さんのこの一言から、復刻版NASU-Tシャツの制作が始まりました。

はじめまして、株式会社NASU新卒デザイナーの村山歩弓です。NASUでは、むらちと呼ばれています。

今NASUの公式オンラインストアで販売しているNASUオリジナルグッズ「NASU-Tシャツ」の担当をさせていただいております。

入社して1ヶ月も経たない2023年4月20日、前田さんからこのプロジェクトの担当をする話をいただきました。まさか入社してすぐにこんなにもガッツリと1つのプロジェクトを任せていただけると思っていなかったので、不安もありつつ、「よっしゃ、頑張るぞー!」という気持ちでいっぱいでした。

しかも、前田さんが7年前に手刷りをしてお世話になっていた方々に配っていたというとても思い入れのあるNASU-Tシャツ。その復刻版でNASUが5周年を迎えた節目でもある。絶対良いものを作りたいと思いました。

冒頭の話に戻りますが、「NASU-Tシャツを復刻させたい」と言ったその時の前田さんからの指示は、こんな感じ。

・めっちゃくちゃ良いTシャツにする
・印刷はシルクスクリーン(前・後ろ・袖)にする
・タグもオリジナルでつくる
・プラモみたいな箱に入れる

分かりました!でも、何から手をつけたらいいんだ…!

めちゃくちゃ正直な感想です。
抽象度が高い指示。一回自分で考えてみてほしいという意味合いがあるのだろうと思いながらも、どうしていいのか戸惑いました。

こだわりポイントが沢山あって、Tシャツの印刷箇所も多い。タグもオリジナルで作るし、箱のデザインもある。何から手をつけよう…?

でも入社してから初めての任せてもらえたプロジェクト、NASUのグッズ制作をさせてもらえるなんて光栄すぎる。勝てるデザインの捨てられないデザインの章でも「Tシャツにして街中を歩けますか?」という問いがある。それはデザインのクオリティに直結するとかいてあったし、その感覚を手に入れるためにも、気合いを入れ直しました。

今回のNASU-Tシャツは、Tシャツを買う体験をエンタメ化することを目指していました。それは、前田さんが大好きでリスペクトしている任天堂ライセンスアパレルの「THE KING OF GAMES」代表・江南さんが体現していることです。

なのでまずは、「THE KING OF GAMES」さんのTシャツを購入して実際に体験してみるところから始まりました。

入社したばかりだったので、Tシャツ選び1つでも、大緊張。サイトの中の沢山のTシャツの中から、「箱で送られてくるもので良い感じのTシャツを探す」というミッションの元、幾つか候補を出して選びました。





そして…


前田さん、「THE KING OF GAMES」さんからTシャツが届きました!

前田さんのツイッターより写真をお借りしました


正直、凄く感動しました。届いた瞬間の高揚感。開ければ開けるほど高まるワクワク感。梱包も凄く丁寧で、手書きのメッセージまで書いてある。人の温かみや楽しませようとしてくれている気持ちを感じました。毎日沢山の人に送っていると思うのに、こう感じさせてもらえるのは本当に凄いなと思いました。

前田さんとも「ステッカーも入ってる!めっちゃ良いなー!」などと話しながら実際に体験することで、モチベーションも爆上がりしました。

まずは、自分たちでシルクスクリーンをしてTシャツのプロトタイプを作成してみることになりました。

1.プロトタイプの作成

Tシャツに入れるデザインについては、ほとんど前田さんが既にイメージされていたので、デザインのサイズや位置を決めるための検証を主にしました。

この写真は、デザインをいんさつして、実際にTシャツに仮貼りをしながら確認しているところです。

物差しで数センチ単位で測りながら、「これってステッチと被らないかな?印刷できる?」「5cmほど内側じゃないかな?実際に着てみたら見え方変わると思う」など、細かいやりとりが行われながら、サイズや位置を確定しました。

Tシャツの印刷位置を決めるという簡単そうな作業でも、実寸で印刷して仮貼りして、実際に着用してみるとイメージと全然違うかったりしたので、実寸で確認することの大切さを学びました。

そして、プロトタイプのシルクスクリーン印刷

いつもお世話になっているレトロ印刷さんのスリマッカセットに今回もお世話になり、版データの作成をして、皆んなでシルクスクリーン印刷をしました。

折角しっかり位置も決めたのに、シルクスクリーンをする際にしっかり印をつけて印刷をしていなかったので、前田さんのTシャツの印刷位置を失敗してしまうという事件もありました。このツイートには本当に救われました…

このツイートの返信に、「むしろ、1発信ありがとう」と返事して下さっているんです。優しすぎませんか?

折角Tシャツを買って印刷しているのに申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。同じ失敗はもうしないと誓い、次の印刷からはしっかりマスキングテープで印をつけながら印刷しました。

完成したプロトタイプは、後に行われた「NASUポスター展」などでNASU社員のユニフォーム化し、一体感も深まった気がします。会社のTシャツを制作するのは、そういった意味でもオススメです。

ちなみに、シルクスクリーン印刷はNASU-Tシャツ初版と同じ印刷方法なんです。初版の際は、前田さんが手刷りしていたそうなのですが、今回の復刻版シルクスクリーン印刷は細かいデザインも多く、プロの職人さんにお願いをしています。本当に綺麗に仕上がっています。

そして、デザインも印刷位置も決まったので仮校正の入稿をしました。

Tシャツについてはひと段落…
スケジュールにも間に合って良かった…

と思いきや!

「着る人だけが楽しめるアイデアを幾つか考えてほしい!」前田さんから新たにオーダーが入りました。既に前もって予定していたスケジュールとしてはギリギリでしたし、戸惑いましたが、必死に食らいつくのみ!

そして私が考えたアイデアがこちら

【着る人だけが楽しめるアイデア】
●感謝のTシャツ(シークレットメッセージ)
Tシャツの内側に、メッセージ(首の後ろ、裾の内側とか)
-NASUイラストと「ありがとう」のメッセージ(感謝の気持ち)
-THANK YOU

●隠れミッキー的な要素
-ナサルがどこかに隠れているとか
-前田さんやNASUイラストがどこかに隠れているとか
-タグからひょっこりしているとか

●夜になると見えるデザイン 
→ Tシャツ完成後、自分たちでシルクスクリーン
-一部を発行効果のあるインクで印刷して、夜とか暗いところで見える
-実は右袖にもメッセージが隠せれている、日付とか

●QRコード
-裏面などにQRコードを印刷して、購入した人はスキャンすることができる。

そして、着た人だけが楽しめる要素として追加されたのが、シリアルナンバー!めっちゃカッコイイし、特別感が凄い…!

これは、THE KING OF GAMESの江南さんから聞いたアイデアです。自分でマジックを使うことで、世界に一つだけのTシャツにできるというアイデア。今までそんなの見たことありません。

私のアイデアはまだまだ採用されることが少ないです。
いつか前田さんを驚かせるようなアイデアを出せるように、これからもめげずにアイデアを出していこうと思います。

2.箱の作成

Tシャツのプロトタイプ作成と同時に、箱の制作を進めていました。まず、前田さんから送られてきたイメージは、こんな感じ。

なるほど、、、

さっきより難易度が高い…。
あまりイメージが沸かなかったので、沢山質問してみました。

・シールを貼っている感じでしょうか?
・白黒ピンクの3色で作るというイメージでしょうか?
・おもちゃが入ってると感じるイメージでしょうか?
・Pinterestでイメージ集めてみましたがいかがでしょうか?…

前田さんからの返答は、「プラモみたいなホビー感ある箱と、白黒ピンク(絶対ピンクがいいというわけではない)のおしゃれなアート感のある箱の融合にしたい」

ダメだ、イメージが湧かない…

一旦デザインラフを作ってみて見てもらい、イメージの共有をしようと思い、ラフの制作に進みました。

A:シール感を意識して、
ステッカーぽく重ねて配置したバージョン
B:プラモデル感を意識して、着用イラストを
全面に大きく配置したりパーツをいれたバージョン
C:Tシャツだということが一目で分かるように、
Tシャツのイラストを全面に押し出したバージョン。
側面で着用の種類を見せる(ズボンの形を変えたり)

ラフを見てもらった時は、「うーん、やっぱり企画にした方が良いんかなTシャツを着ている箱とか。一回作ってみるわ」という返答でした。

違うかったか〜という悔しさと、違う展開を直ぐに発想する前田さんの頭の中に嫉妬しました。

その後、前田さんから送られてきたラフがこちら。
Tシャツを着た箱というコンセプトの企画が生まれた瞬間です。

NASU-Tシャツボックスは、今回の復刻版「NASU-Tシャツ」の肝とも言える。だからとにかくカッコよくて所有欲高まるものにしたく、プラモデル+ダンボールとアートなものにを目指した。でもどうしても決めきれなくて。
結局「Tシャツを着ている箱」という企画に落ち着いた。かっこよくておしゃれなだけなやつがとことんできない人間だと思った。でもそれが僕であり、NASUである。らしさに落ち着いたと思っている。

前田さんのnote「Tシャツデザインで「起こる変化」とは?」より

めちゃくちゃ可愛い!インテリアとして飾っておきたくなる!届いた時のワクワク感もある!すごい。デザインの方向性が決まりました。

あとはブラッシュアップ。
ラフを見て、もうほぼデザイン完成してるやん!って思いませんか?

約1ヶ月。

ここから、実際に完成するまでの時間です。

前田さんはずっと「時間をかけて良いから、クオリティが高いものにしたい」と言っていました。もちろん他の業務と並行しながらですし、私の力不足もあると思いますが、ここからも怒涛のフィードバックをいただき、本当に時間をかけてこだわり抜いています。

改めて、箱についてのイメージを確認しました。

・底面はジーンズを履かせてほしい
・グルーヴィジョンズっぽくしてほしい
・上面にかっこいい英語をいれてほしい
など、その他の要素のブラッシュアップをするという概要。

中でも一番大変だったのは、グルーヴィジョンズっぽくするというところでした。

関係あるかないか分からないですが、私は元々イラストを幼い頃から描いていた訳でもないですし、イラストが凄く好きで見ていた訳ではなかったので、〇〇ぽいという感覚が養われていないように感じました。

NASUでイラストを担当しているひちゃこさんにヒントをもらいながら、グルーヴィジョンズっぽいを定義しながら、ブラッシュアップを始めました。

完成までの軌跡の一部を画像でお見せします。

グルーヴィジョンズぽいって、ステッチの感じかな
色はもう少し明るいかな
線を太く、ベルトをリアルに
ベルトのステッチを無くしてみる
線を手書き風にしてみる
線を明るくしてみる
ポケットを面にしてみる
ポケットを四角にしてみる
ベルトをとってみる
3つほど前に戻して調整してみる
本物と見比べて微調整してみる
前田さんから、
この感じを残してとフィードバック
前田さんにも触ってもらいながら、色校正のデータまで完成

進んだり戻ったりを繰り返しながら、何度もフィードバックをいただきました。約1ヶ月の時間をかけて、めげずに最後までフィードバックくださった前田さん本当に感謝しています。

最初から最後まで戸惑いがありましたし、本当に大変でへとへとになりながらの制作でした。自分に出来るのかな?と思ったこともありましたが、絶対に経験して良かったです。

また、最後の画像は色校正を出す際の画像なのですが、色校正の出し方もとても勉強になりました。今決めている色が大丈夫かどうかの確認ではなくて、他の色も印刷したらどんな色になるのかを確認できるようにし、そこから、本当に適した色を選ぶ。細部の色が変わることによる印象の違いも感じることが出来ました。

今回の経験で、もっと色んなデザインを見たり、感じたりしていくことが必要だと思いました。今まで絵を描いてこなかったから…とかではなくて、これから色んな経験をして自分の感じる力を養っていきます。

真ん中が完成した箱。周りは、検証した箱のほんの一部

3.タグデザイン

オリジナルタグを作ることは、最初からマストの条件でした。初めに作っていたのは、NASUの公式オリジナルグッズだと分かるデザイン。NASUロゴをいれたシンプルなデザインでした。

この方向性でデザインの大きさの検証や、サイズ表記の入れ方を進めていたのですが、

完成したタグが…ジャーーーン!

WEBデザイナーのまっきーさんにヒントをいただき、MサイズとLサイズでNASUロゴの大きさが違うこだわったタグを制作することが出来ました。

タグも完成までに、大きさの検証や、サイズ表記の入れ方の検証など、何度も検証を繰り返し、本当に細かい部分までこだわって完成しています。

前田さんから、帰り際に「このタグ良かったよ」と誉めていただいたときは、今までの疲れが吹っ飛んで、にやけながら帰りました。

そして、ついに…

NASUのこだわりを詰め込んだTシャツが完成しました。

やっと完成した!このこだわり抜いたNASU-Tシャツを皆さんの元に届けられる!…という気持ちは一瞬でした(笑)。

なぜなら本当に買ってもらえるだろうか?これだけ前田さんと長時間かけて制作をして、売れなかったらどうしようか…?不安が襲いかかってきたからです。

何度もPR方法について、広報担当の綾さんに相談をさせていただき、何度も不安で焦っている気持ちを受け止めていただきました。

でも、できることは完璧にやり尽くしたと自信をもって言えます。
NASUのこだわりが詰まったこのNASU-Tシャツを皆さんに体験してほしい。
デザインをお茶の間に届けたい。その気持ち一心です。

ご購入者の方に、より一層喜んでいただきたいという気持ちでシークレット特典も幾つかご用意しております。既にご購入いただいた皆様、本当にありがとうございます。是非楽しみにお待ちください。

そして、もし気になってくださった方は、限定40枚ですのでお早めにお買い求めいただけますと幸いです。お待ちしております。

このNASU-Tシャツが、みなさんの成したいことを成すきっかけになりますように。

写真:前田高志久本晴佳


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