公正性とアストロターフィング

「アストロターフィング」という語の意味の整理をし

具体的事案で判断する際に、アストロターフィングの構成要素を分析して書いてみました。

この中で「内容が虚偽であったり著しい誇張が含まれている」に留まらず、単に背後者が名乗っていないことによる公正性の問題があることに気づきました。

公正性とアストロターフィング

たとえば背後者が居たとして、その内容が真正なものであれば、それは正しい情報を国民に対して提供していることになる。

しかし、背後者自身の評価に関わるもの場合「自己言及」となるため、それは本来は説得力に欠ける話。だが、第三者たる「人工芝」の名義で活動しているため、「他人からの冷静で公正な評価」として扱われることになってしまう。

また、本人でなくとも複数の主体による評価の存在が重要な場合にも、「第三者のお墨付き」があるとする公示を与える。

したがって、これらの場合に限っては、内容が正しくても公正性に疑義が生じるので問題視されるべきだろう。

ただし、客観的な事実の提供のみの場合は含まない趣旨。

もっとも、事実「検証」となるとやはり問題で、以下の問題が出てくる。

ファクトチェック機関に必要な公正さ=フェアネス

IFCNファクトチェック綱領(邦訳)
非党派性・公平性(Nonpartisanship and Fairness)
② 情報源の透明性(Transparency of Sources)
財源・組織の透明性(Transparency of Funding and Organization)
④ 方法論の透明性(Transparency of Methodology)
⑤ 明確で誠実な訂正(Open and Honest Corrections)

「Aという名義でファクトチェックされていたが、実はAはXという背後者の使者として振る舞っている団体だった。」

たとえばこういう場合、③の透明性は確保されていません。

そして、「実質はXによる発信だった」ということが判明した時点で、①にも疑義が生じるわけです。たとえ②や④や⑤が実施されていても。

客観的な事実の提供のみの場合には、こうした問題は生じません。

このような公正性の担保の仕組みは「外形的公正性」という言葉で言い表されたりもしています。以下でまとめたことがあります。

その他、関連するDappiの話題の注意点は過去に何度も論じています。

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