香川県ネット・ゲーム条例パブリックコメント、県民のみの制限⇒県外の人も意見するべき理由
香川県議会が検討している香川県ネット・ゲーム依存症対策条例素案のパブリックコメントが1月23日から開始されました。
これが実に姑息なやり方で、なんと、県民のみ対象と書いてあるのです。
「えっ?それって当然では?」
思う人も居るかもしれませんが、そうではないのです。
そんな勝手な言い草に従うべきではないということ
県外の人にも意見する権利があるということ
条例の中身以前の問題として、それをここで書いていきます。
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例素案のパブリックコメント
香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)素案についてパブリック・コメント(意見公募)を実施します:https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_1/dir1_1_1/plahfe200120143751.shtml
魚拓:https://web.archive.org/save/https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_1/dir1_1_1/plahfe200120143751.shtml
意見を提出できる方
(1)香川県内に住所を有する方
(2)第11条に規定する事業者
「香川県内に住所を有する方」に限定していますね。
他のパブリックコメントを見てみましょう
香川県の他のパブリックコメントでは県民限定なし
パブリック・コメント 一覧:https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/etc/pubcom/list.php
この中から一つだけ例に出しましょう。
第4期香川県ひとり親家庭等自立促進計画(素案)についてパブリック・コメント(意見公募)を実施します:https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_1/dir1_1_6/pbtxsa200109144641.shtml
魚拓:https://web.archive.org/save/https://www.pref.kagawa.lg.jp/content/dir1/dir1_1/dir1_1_6/pbtxsa200109144641.shtml
※香川県のパブリックコメントページは過去の募集時のページが見れず、結果ページに差し変わってしまう。このような運用も良くない。
ここでは香川県民という限定はありません。
同じ家庭に関するものであるにもかかわらずです。
他のパブリックコメントも同様です。
つまり、これまでのパブコメでは「香川県民限定」としてこなかった。
にもかかわらず、今回の条例素案についてだけ限定をかけたということ
全国から意見が来ると面倒だからと思ったんでしょ。
条例素案は国民全体との関係を前提にしている
(国との連携等)
第8条 県は、国と連携協力してネット・ゲーム依存症対策の推進を図るとともに、ネット・ゲーム依存症対策に関して必要があると認めるときは、国に対し、他の依存症対策と同様に、法整備や医療提供体制の充実などの必要な施策とともに、ネット・ゲーム依存症の危険要因を踏まえた適切な予防対策の策定及び実施を講ずるよう求める。
2 県は、国に対し、eスポーツの活性化が子どものネット・ゲーム依存症につながることのないよう慎重に取り組むとともに、必要な施策を講ずるよう求める。
3 県は、県民をネット・ゲーム依存症から守るため、国に対し、乳幼児期からの子どもと保護者との愛着の形成や安定した関係の大切さについて啓発するとともに、必要な支援その他必要な施策を講ずるよう求める。
条例素案8条は、県の責務として国に対して種々の要請をするように義務付けており、国を動かしましょうと言ってるのです。
じゃあ、その国が動くには何が必要ですか?
予算ですよ。お金ですよ。
当然、職員も予算で動いてます。
利用している事務機器もお金がかかってます。
要するに、私たち全国の国民の税金・血税によって運営されている国家のリソースを、香川県のヘンテコ条例の実施に対して割けよ、と言ってるのです。
にもかかわらず、「国民からの意見は聞きません」ですって。
こんなもの、筋が通ってないでしょう?
勝手に連携するなよ。来んなよ、見るなよ。
従前から問題視して資料公開などを行ってきたコンテンツ文化研究会さんも以下の問題点を指摘し、県議会に申し入れをしています。
1・非対称的である点
今回の条例案は第8条において、国を通じて国民に広く影響を与えようとする意図が込められています。にも拘わらず、この条例素案に対するパブリックコメントのみ、提出資格が香川県民に限定されています。
自分達の意見を国民全体に広げようとするのに対し、その影響を受ける国民の意見は受け付けないというのは極めて非対称的な姿勢であると言わざるを得ません。
全国からの声を受け入れるよう抗議いたします。
他の自治体の条例成立と運用は、別の自治体の条例策定の参考資料になる
香川県の話だからと言って全国の他の自治体の人が無関係ではないということについて、別の側面から指摘します。
条例制定の際には条例制定の必要性や正当性が検討されます。
その際の説明資料として、他の自治体での取り組み状況が掲載されることがあります。
ですから、他の自治体であっても他人事ではないのです。
実際の例を言うと、大阪市や東京都でヘイトスピーチ規制条例が成立・施行されましたが、その後の川崎市の罰則付きヘイトスピーチ規制条例の検討の際に参考にされていました。
11条1項の「事業者」が不明
パブリックコメントができる者として「11条の事業者」もありました。
(事業者の役割)
第 11 条 インターネットを利用して情報を閲覧(視聴を含む。)に供する事業又はコンピュータゲームのソフトウエアの開発、製造、提供等の事業を行う者は、その事業活動を行うに当たっては、県民のネット・ゲーム依存症の予防等に配慮するとともに、県又は市町が実施する県民のネット・ゲーム依存症対策に協力するものとする。
「協力するものとする」というのはかなり強制力が強い文言です。
「事業者」性は、常識的に考えて決定すると思うのが通常です。
しかし、これまでの香川県議会の本条例に関する動きを見てみると、とてもじゃないですがしっかりとした運用を行うことは期待できません(議会と実際に運用を行う自治体の行政部門は別ですが、パブコメのHPでURLがハイパーリンク無く記述されていたりスマホだとURLが見切れていたりしているのを考えると同じようなものでしょう)。
そのため、ここで言う「事業者」の意味をもっと明確にしないと恣意的な認定、濫用のおそれがあります。
「誰が事業者にされるかわからない不明確な規定」と言えます。
ですから、その意味でも誰からも意見ができないとおかしいのです。
いつ自分が条例の対象になって、協力義務を課せられるかわかったものではないので。
家庭に口は出すクセに自分らには口を出すなという香川県議会のダブルスタンダード
そもそもこの条例、公権力が家庭の事情に深く口を出すモノですよね?
そういう条例を作っておいて、いざ自分たちが「外部」から口を出されようとしたら、禁止する。
こんな態度はダブルスタンダードでしょう。
住民限定にしないパブコメは他の自治体でもある
そして、パブリックコメントができる者を住民に限定しないということは、全国でごく普通に行われています。
少なくとも私がこれまでに提出したパブコメでは、その自治体の住民からのみ受け付ける、などといった高飛車な事を言っている自治体はありませんでした。
検索するとその自治体の住民に限定したものも見つかりますが、その場合にはその理由がきちんと記述されている所が多いと思います。
上記は東京都のヘイト規制条例のパブリックコメントの方法を記述しているページです。パブコメ終了後もどういう形式でパブコメ募集が行われていたのかが分かるように残っています。
意見提出フォームを設けているところなんかは住民縛りはしていません。
まとめ:全国民が反対するべき条例
本条例の所掌は香川県の議会事務局ですので、パブコメとは別に意見があれば以下に連絡を取るといいでしょう。
というか、パブコメと同じ意見でも「別ルート」として意見を伝える意味はあります。
その際はいわゆる「電凸」などという野蛮な方法ではダメです。
「あいちトリエンナーレ」の時のように業務妨害呼ばわりされちゃいます。
以下のようにゲーム依存症について論文を読み込んでる人が居らっしゃるので、そういう知識・根拠をベースに論じていって頂きたいです。
また、香川県民(確認しました)の方に意見を託すという方法もあります。
香川県の議会議員に対して意見を送るというのも有効です。
「パブコメと並行して」こういった行動をしていけばいいんじゃないでしょうか。
以上
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