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分配係数とは ~復習~

分配係数の復習したのでまとめました。

1.分配係数とは

分配係数とは、薬物の疎水性の指標である。水と油のような互いに交じり合わない液体同士を同一容器内に入れ、そこに薬物Aを入れた際、各相に存在する薬物Aの濃度[A]の比率Pをいう。分母が水相濃度、分子が油相に相当するため、分配係数が大きいならばその薬物の疎水性が高いことを意味する。測定する際は、油相としては1-オクタノールが慣習的に用いられ、水相としては、目的に応じて精製水や種々のpHに調整した緩衝液が用いられる。


2.真の分配係数と見かけの分配係数-1

分配係数には、真の分配係数と見かけの分配係数が存在する。ほとんどの薬物では、水溶液中で解離し、イオン型と分子型が共存する。真の分配係数は、分子型のみを考慮し、見かけの分配係数では、イオン型と分子型の両方を考慮する。真の分配係数は、物質に固有(不変)であるのに対し、解離性薬物は水相pHによってイオン型と分子型の存在比率が変わるので、pHによって見かけの分配係数は変動する。

3.真の分配係数と見かけの分配係数-2

二つの分配係数を数式に示すと以下のようになる。下記の図では、イオン型の分子が油相に分配しないと仮定している。真の分配係数と見かけの分配係数を区別するために、見かけの分配係数は、P' と表記することがある。イオン型の比率が増えれば、水相濃度が上がるため、見かけの分配係数が減少することがわかる。


4.酸性薬物の分配係数のpHプロファイル

下記にpKa:4.0、真の分配係数10000(log P=4)の酸性物質が水相のpHによって、見かけの分配係数がどのように変化していくのか示した。水相におけるイオン型と分子型の比率は、Henderson-Hasselbalchの式を用いた。酸性薬物は、水相pHが塩基性側に偏るにつれ、イオン型の存在比率が増大するため、見かけの分配係数が減少する。


5.まとめ

1.分配係数とは疎水性の指標である
   分配係数が大きい →  疎水性が大きい。
2.分配係数には[真の分配係数]と[見かけの分配係数]がある 
   薬物が解離性である場合、見かけの分配係数がpHにより変動する







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