カレーとパイナップルとゴボウ、それから多分オレンジ

娘が1歳を迎えてしばらく経った頃、お兄ちゃんと一緒に乳児用カレーを食べさせてみた。

新しい味がお気に召したようでバクバクモリモリ、さっと完食。4月からの保育園でも給食は問題なさそうと思わせる食べっぷり。

しかしその晩、やけに夜泣きが多い。やたら起きては泣き、抱っこされてはまた眠り、降ろされてしばらくすると泣くの繰り返し。挙げ句の果てにはいきなりウッ…ゲェーとリバースする始末。

熱か…熱なのか?と蒼白になっていると今度はオムツから盛大な音。えー…お腹も下した…まさか胃腸炎?その晩はオムツを何度も変えつつソファで娘を抱えて仮眠している間に朝がきた。

朝になるとケロッと何でもなさそうにしている娘を見て、どうしたかなぁと思いつつ、息子にうつる様子もないので、なんか具合悪かったかなで終わりそうだった。しかしお腹は下したまま、お尻は爛れて皮が剥けて皮膚に穴があいた。浸出液が出過ぎて軟膏がつかず、娘はオムツ替えを嫌がって泣き喚きお互い散々な日々を送った。

Long story shortと我が家ではよく言うが、つまるところ、ヒルシュスプルング病で大腸の半分以上を切除した娘の胃腸はカレー粉に耐えきれなかったようだ。オレンジを半分ほど食べさせた時も同様のことが起こった。娘は食いしん坊で、欲しがるまま4歳の息子と同じくらい食べたがるのが災いした。本当にその節はごめん娘…。

病院からは食事制限が無かったため、あまり考えずに食べさせていたが、ふと下痢とお尻荒れと食べ物の因果関係に疑問を持ち、Twitterで呟いてみた。するとすぐに同じ疾患の子を持つ親御さんや、自身が同じ疾患を持つ方が色々とアドバイスをくださった。この疾患は何故か術後の情報が少なすぎて勘に頼る部分が多かったのが不安の種だったので、感動して泣きそうになった。大袈裟かもしれないけれど、本当に。

そのアドバイスを元に定期検診の際に先生に相談したところ、カレーはだめ!刺激の多いものと繊維質が多いもの、ごぼうやパイナップル、レンコンは給食から除去。舐めさせる程度から始めてくださいと。先生…もっと早く知りたかったです…。ちなみに研究されたわけではないので感覚レベルではあるが、ヒルシュっ子は他の腸疾患の子と比較しても何故か小腸大腸の働きが鈍い傾向にあるそうで。勿論、全症例に当てはまるわけではないだろうし、娘も栄養はとれている(ふくふくムチムチともいう)

神経はあるのに小腸までも働きが鈍い…確定診断を受けた時以来の衝撃で、不意に頭を殴られた気分だった。元気に過ごしてご飯をたくさん食べられているのに何を言っているのかと思う方もいるかもしれない。だけれど、娘のお腹に走る手術の痕、ほとんどカレー粉の入っていない幼児カレーを食べただけで一晩中苦しむ娘を見ると、仕方がないと分かっていてもなんだかやるせない。

娘のデザートはオレンジは一口に減らされた代わりにイチゴが増量された。カレー粉の代わりにカボチャで味をつけて見た目はカレー風に。保育園とは相談のうえ、毎月の献立予定から除去する食べ物を相談できるようになった。

根治と言っても大腸が生え変わる訳ではないので、短くて人より少し敏感な腸管との付き合い方を学ばなければいけない。心も身体も。

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