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工業蒸留への道⑤ 〜相対揮発度の求め方〜

これまでの投稿で、相対揮発度について以下の2点を整理しました。

1. 相対揮発度は、気相中のモル分率と液相中のモル分率を用いて求められる

$$
α=\frac{y_A/y_B}{x_A/x_B}
$$

2. 気相中のモル分率と液相中のモル分率は、それぞれ分圧との関係式が存在する(理想系の場合)

$$
p_A=Py_A\\[5mm]
p_A=P_Ax_A
$$

用語
$${α}$$:相対揮発度
$${y_A}$$:成分Aの気相中モル分率
$${x_A}$$:成分Aの液相中モル分率
$${p_A}$$:成分Aの分圧
$${P}$$:全圧
$${P_A}$$:成分Aが単独で存在する時の蒸気圧
(成分Bに関する各用語は下付き文字をBとする)

関連する過去投稿はこちら

今回は、上記の式を用いて相対揮発度の算出式を導出していきます。

まず、2の式を変形します。

$$
y_A=\frac{p_A}{P}\\[5mm]
x_A=\frac{p_A}{P_A}
$$

成分Bについても同様であるため以下となります。

$$
y_B=\frac{p_B}{P}\\[5mm]
x_B=\frac{p_B}{P_B}
$$

これらの式を1の式に代入します。

$$
α=\frac{(p_A/P)/(p_B/P)}{(p_A/P_A)/(p_B/P_B)}\\[5mm]
=\frac{p_A/p_B}{(p_A/P_A)/(p_B/P_B)}\\[5mm]
=\frac{p_AP_Ap_B}{p_Bp_AP_B}\\[5mm]
=\frac{P_A}{P_B}
$$

以上より、相対揮発度は、成分Aと成分Bが単独で存在する時の蒸気圧より算出可能であることが分かりました。

次回は蒸気圧の求め方について、書いていこうと思います。

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