菜種規則

ノージャンルで文章を書きます

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【短編】点滅

「ありあまるほど金があったら何をしよう」なんて考えていた。バスの中、ポケットの中の携帯を取り出すことすらめんどうくさくて、私はどうでもいいことを考えることで暇…

菜種規則
1年前
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ツメクサ数えて、解剖して、半魚人になって、【編入後体験記(嘘)】

この記事はbiolアドカレ2023(https://adventar.org/calendars/9248)、6日目の記事です。 前日の記事はこちら↓ 大学に来てからといえば、本当につまらない毎日である。…

菜種規則
8か月前
13

帰省③

 帰省について書こうと思ったのは、この日のことがあったからだ。前置きしておくが、その日についてネガティブなことをたくさん書く。だから、自分の知り合いは特に読むか…

菜種規則
11か月前
8

帰省②

 青森に帰ってきてから、一度高専の友達の家へと遊びに行き、その後何日か母方の実家へと行った。それらの日について書きたいことはあるのだが、今はうまく書けそうもない…

菜種規則
11か月前
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帰省①

 久しぶりに戻った地元は私を歓迎していないように思えた。  八月。地元である青森へ帰省した。四月に大学進学のために故郷から離れ一人暮らしを始めた自分にとって帰省…

菜種規則
11か月前
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【短編】便り

 路面が赤い道路を過ぎたら電話をかけるのがお盆に母方の実家へと行くときのいつもの習慣だった。母から携帯電話を借りて番号を打つ。数回コールがなって祖母が決まって…

菜種規則
11か月前
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言葉と目が合う

「言葉と目が合う」瞬間がある。そう、それは運命の人と会ったようなそんな感覚で……流石に言いすぎだな。そう、それはTwitterで「エンカ」するような感覚である。 最近…

菜種規則
1年前
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【短編】ベジタブル

日々を快適に生きるコツはこの世の全員ゾンビだと思うことだ。昔、お母さんが教えてくれた魔法。僕はうまくやっているよ。 小学一年生、僕は初めてのピアノの演奏会でゲロ…

菜種規則
1年前
3

R5年度 筑波大学・生命環境学群・生物学類 編入体験記

2022年の筑波大学・生命環境学群・生物学類の編入試験を受け、合格できました。これから生物学類を受験される方の助けに少しでもなれればと思い、体験記を書かせていただき…

菜種規則
1年前
33
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【短編】点滅

「ありあまるほど金があったら何をしよう」なんて考えていた。バスの中、ポケットの中の携帯を取り出すことすらめんどうくさくて、私はどうでもいいことを考えることで暇を潰そうと思った。 赤信号。身体全体がエンジンの身震いで細かく不規則に揺れている。なんとなくクラッチを変える瞬間を見たくて運転手を凝視していた。頭では何か欲しいものを、目は手を。考えているような、考えていないようなあのまどろみの時間。猫が欲しいなとかそんなことを思った気がする。 一瞬。身体が浮いたような感覚を覚え、

ツメクサ数えて、解剖して、半魚人になって、【編入後体験記(嘘)】

この記事はbiolアドカレ2023(https://adventar.org/calendars/9248)、6日目の記事です。 前日の記事はこちら↓ 大学に来てからといえば、本当につまらない毎日である。 朝は起きれないし、授業は全く頭に入らないし、この前の生態学概論はちゃんとDだった。 何か満たされず、死ぬほど寝ても寝不足だ。何を食べてもこれじゃないって思う。いつからこんなに満たされなくなったのだろう。春、そう春には失笑を浮かべながらも期待でいっぱいの私がいたはずな

帰省③

 帰省について書こうと思ったのは、この日のことがあったからだ。前置きしておくが、その日についてネガティブなことをたくさん書く。だから、自分の知り合いは特に読むか読まないかちゃんと判断してほしい。もし、自分がまだ高専にいたらこんな文章は書かないと思うけど、もうそれぞれの場所だから、だから許してほしいというか、書いてしまいたいと思っているから書いてしまう。前置きは終わりだ。  指定された店へと前日泊まらせてもらった友達とバスで向かう。高専時代の男子が一斉に集まる飲み会がその日は

帰省②

 青森に帰ってきてから、一度高専の友達の家へと遊びに行き、その後何日か母方の実家へと行った。それらの日について書きたいことはあるのだが、今はうまく書けそうもないので、その次の日からのことを書こうと思う。  いつまで経っても道は覚えられない。帰ってきてから一度遊びに行った一人暮らしを始めた友人の元へと車を走らせる。運転は好きだが、怖い。走り始めてすぐに、これまで感じたこのない悪寒がした。  直感的に「今日事故って死ぬかもしれない」と思った。なぜか、手が、唇が震える。小刻みに

帰省①

 久しぶりに戻った地元は私を歓迎していないように思えた。  八月。地元である青森へ帰省した。四月に大学進学のために故郷から離れ一人暮らしを始めた自分にとって帰省というものをするのは初めてで、最初はどれだけ感慨深いものなのかなとか想像していたけど、当然といえば当然そんなものはなく地元はただの地元だった。  駅のホームで父親が出迎えてくれて家まで車で帰る。自分に土地勘がなく、さらに深夜ということもあってか、見慣れない道がずっと続いていた。街灯が本当に少なく、そして怖いくらい静

【短編】便り

 路面が赤い道路を過ぎたら電話をかけるのがお盆に母方の実家へと行くときのいつもの習慣だった。母から携帯電話を借りて番号を打つ。数回コールがなって祖母が決まって電話に出た。 「赤い道路すぎたよ、もうすぐつくからね」 「おばあちゃんだよ、わかったよ、気をつけて来るんだよ」  車線を変更して橋を渡る、そのとき左手に見える海が好きだった。さびれたカラオケを通り過ぎ、中古車が並んだところを過ぎたらもうすぐだった。車を駐車場に止めて、僕がチャイムをならす。ガラガラと玄関の扉を開け

言葉と目が合う

「言葉と目が合う」瞬間がある。そう、それは運命の人と会ったようなそんな感覚で……流石に言いすぎだな。そう、それはTwitterで「エンカ」するような感覚である。 最近は全然新しい言葉と目が合っていない。 一番最後に目が合ったのは「サージカルマスク」さんだろうか。何かの文章で出てきたサージカルマスク。サージカルマスク? 英語に疎い自分は意味を調べた。 広義には医療用のマスク、狭義には外科手術で使われるあの青いマスクのことだった。なるほどなるほど。サージカル、外科、確かにそんな

【短編】ベジタブル

日々を快適に生きるコツはこの世の全員ゾンビだと思うことだ。昔、お母さんが教えてくれた魔法。僕はうまくやっているよ。 小学一年生、僕は初めてのピアノの演奏会でゲロを吐いた。コンクールとかそんな大それたものじゃなくて、普通のピアノ教室での演奏会。課題曲は「きらきら星」だった。緊張っていうものを僕は生まれて初めてそこで知った。みんな僕だけを見ている。たかしくんもまきちゃんもまきちゃんのお母さんもえみ先生もそして僕のお母さんも。みんなだ。みんな僕を見ている。 名前を呼ばれた。僕の

R5年度 筑波大学・生命環境学群・生物学類 編入体験記

2022年の筑波大学・生命環境学群・生物学類の編入試験を受け、合格できました。これから生物学類を受験される方の助けに少しでもなれればと思い、体験記を書かせていただきます。受かったらぜひ飯を奢らせてください。 ※ 成績開示が5/1以降に申請できるので、それ以降に結果が出次第それも載せようと思っています(4/23) →受験結果に追記しました、遅くなってごめんなさい(5/18) ※⚠️情報は筆者が受験したR5年度のものであり、主観的な経験を多く含みます。ご了承ください。 自己