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〜La manufacture_〜其の三〜

いよいよ当日。
朝7時からの入店で、仕込みを開始。
野菜を洗い、米を研ぎ。幸いにも炊飯器があったがおかげで、此処はマシーンにお任せ出来る。
サラダソース、卵焼き、野菜をボイル、スープ、
と提供する手際と、出来るだけ作り置きをしたくないから、最小限の仕込みを考えながら準備をする。
時間はあっという間。サービスの方を気遣う余裕すら無い。

「あぁぁ、そうだ、そうだ、基本的に、私は手鈍いんだった!」「今気付く?」
「いやいや、その分丁寧なんだよ。」
「手際良く丁寧が一番でしょ。今更言い訳しない!!」
このやり取りが心の中で永遠に続く。
食材を取りに、地下のカーブへ。
水回り、作業台、火口、冷蔵庫。如何に動線が大事か?そんな事言ってる場合じゃない!
次は?次は?

「Çà va ? Satomi?」「Ouiーー, Ça va.
Et toi?」
会話どころじゃ無いけど、そうだ、そうだ、独りじゃない。
そう気付いたら、心強くなる。

そうして迎えたAM11:00のオープン。

追われる様に。いや、追われた。やっつけ仕事はしたく無い、そんなこだわりが更に首を締める。途中からは、見かねてゲストで来ていたシェフが厨房に入る。苦しい!苦しい!手が追いつかないのと、お客様を待たせているのと、細かい指示を出来ないのと…。そうして、最終の一皿。
デザートを出し終えたのが、PM4:00。

終わった。。。

でも、この日に来て下さった方々は皆んな帰り際にわざわざ側に来て、「確かに待ったけれど、とても良かった!」と、口々にそう言い残してくれた。

終えた厨房を片付けながらも、私は本当に涙が出そうなくらい嬉しかった。

長い時間待たせた自己反省と自己否定から、今までの私なら、自己嫌悪に苛まれていたかも知れない。
出し切れなかった食材達を思う切なさ。活かしきれなかった後悔。(基本ネガティブ思考)

今、日が経って、(約一ヵ月!)この記事を書いて気付いた。

確かに暫くは、自己否定、(反省)もあったけれど、同時に、自分欲と、幸福感が湧いてきている自分もいた。
「私は、この世界で生きていこう。」
       本当の自分。
やりたい事、やるべきことが見えて来ている。
(。。と言っても、イベント終了後2日間位寝込んでしまったが。。。)

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