名文today_8／『物には心がある。』

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私の倉庫に保存されている数々の民具は、関心のない人が見ればただのガラクタやゴミにしか見えないだろう。しかし、私から見れば、どの民具もみんな息をしている。物はすべて人とつながっている。すべての物は誰かが作り、誰かが使ったものだ。例外はない。たとえば、今はすっかり色あせて古ぼけて見える着物や刺し子着も、かつては若い娘たちが胸躍らせながら織り、仕立てた衣装なのである。

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『物には心がある。』/ 田中忠三郎 / 2009 / アミューズ エデュテインメント