見出し画像

未来予測の注意点

新型コロナウイルス感染者数のこれからの推移だとか、円安の進行具合や賃金の上昇率だとか。
あるいはもっと身近に、学校の成績や野菜の価格、自分の体重だとか。

未来はどうなるだろうと考える場面はたくさんある。
その際に気を付けないといけないこと。

接線だけで考えてはいけない

大抵の物事には、揺り戻しがある。いったん上がっても、反動で下がる。そして、大きく上がったときほど大きく下がりやすい。

上がっている最中に未来を予測すると、一次関数のように、どんどん上がり続けてしまうように思えてしまう。上昇傾向が、そのままずっと続くと考えてしまうからである。

接線で考えると見誤る

今の傾向がずっと続くと考え必要以上に悲観することはないし、逆に、このまま調子良いままどこまで行けると慢心してはいけない。

期間を含めて考える

「揺り戻しがあるなら、上がったら上がった分だけ下がり、元に戻るのでは?」

この疑問に対する答えはイエスでありノーである。それは、どの期間で考えるかによって異なる。

増えたり減ったりしながらも、長い目で見れば上昇傾向・下降傾向は見られる。

上昇傾向



しかし、更に長い目で見れば、また別の傾向の最中かもしれない。

長い目で見れば下降傾向だった

だから、未来予測をする際は、どの期間で予測するかを先に考えておかなくてはならない。
そのためには、なんのために未来予測をするのかを考える必要がある。

受験勉強なら入試までの期間で成績の伸び率を考える必要があるし、FX取引のためなら数日以内の範囲で円安・円高傾向を判断しなくてはならない。

気持ちの浮き沈み

苦しい状況にいると自覚したら、それがいつまで続きそうかを考えるといい。
今の状況がずっと続くのでは、と接線で考えると見誤る。

「一生苦しいのでは」と考えるのは早計である。過去の経験に照らせば数日以内に気持ちが楽になることが予測できるかもしれない。また、ごく短期に言えば、おいしいものを食べれば気持ちは上向きになる。

辛い理由によっては数ヶ月苦しいこともあるかもしれないけれど、その苦しい傾向の中にも浮き沈みがあるし、数年単位で見れば上向きの可能性もある。

まずは、今日の気分はどうだったか、昨日はどうだったか。先週は、先月は、と単位ごとに比較してグラフを書いてみたら、浮き沈みの波がわかるかもしれない。


予言の受け止め方

例えばこれから日本は、良くなる悪くなる、といった予測についても、期間を推定して受け止めよう。

1ドル200円になります! と予測していた人がいたとして、もしかしたら200年後に200円になるかもしれないから現時点で「そんな予言は嘘だ!」と断定することはできない。だからといって、200年後に200円になったとして今の我々には大した意味はない。

一般に、悪い予言は注目を浴びやすい。
そして、外れたという断定をしづらい。それは期間を指定しないことが多いから。

「今はまだその時ではない」と言い続けていれば注目を浴びたままでいられる。いざ悪いことが起きたその時に「ほら言ったとおりだっただろう」と大きな顔をすれば、予言者としてもてはやされるだろう。

注目を浴びることが目的の予言者には聞くがいい。
「それはいつまでの予言ですか?」と。



接線だけで考えないこと。
そして、長短の期間を含めて考えること。
悲観しすぎてはいけない。慢心しすぎてもいけない。
未来予測には、冷静さが必要である。

名角こま

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?