見出し画像

ジャニーズ事務所は名称変更しなくてもいいのかもしれない

2023年9月、ジャニー喜多川氏の性加害問題についてジャニーズ事務所が記者会見を開いた。
以降、記者会見を中心に世間が揺れている。

  • ジャニーズ事務所の名称を変更しないことについて、現時点での意見。

  • 論点も不明瞭な点も多く見えている範囲での意見なので、いずれ変わるかもしれない。

名称変更しないなんてあり得ないと思っていた

ジャニーズ事務所の名称をそのまま使用していくと聞いたとき、変えないと駄目でしょうと思っていた。
張本人の名前であるし、その名を聞くだけで嫌な記憶が蘇る被害者もいるだろうに、なぜ変えないのか? その名を冠したまま今後も事務所活動を行っていくのか? と。

事務所として継続していくべきか?

しかし、名称を変えるべきという考えの土台には、今後も芸能事務所として活動していくという前提があることに気付いた。

そもそも、今後も芸能事務所として活動することは是だろうか。
記者会見における事務所側の面々は、誠実たらんという態度に見えた。そもそも矢面に立とうとする時点で立派である。

しかし、そうした態度面を除いてはほとんど何も変わっていない。株の所有はそのまま、第三者を入れた新体制もなし。当時反対の声を上げられなかった(そして加害者の噂さえある)身内が運営する形でよいのか。株はいずれ譲渡するとあったがそれはいつのことなのか。張本人のジャニー喜多川氏はいないとはいえ、自覚のあるなしを問わず、組織にはその精神が息づいているのではないか。実際のところはわからないが、外から見たとき、その判断は付かない。

記者会見後、続々とジャニーズ事務所所属のタレントとCM等の契約を結ばないと宣言する企業が出てきているけれども、どうなれば再度契約してくれるだろうか?
何らかの形で一区切り付いたタイミング以降ではないと難しいだろう。ではその一区切りはいつどのような形でできるだろうか。

「はい、今日から浄化されました、まっとうな組織です」と言い切れるようなものであればよいがそうではないだろう。徐々に印象が変わり、あるいは忘れられて沈静化するしかないのではないか。
はっきりと変わった、あるいは以前の組織とは断絶したと言い切れない限り、以前のような契約は難しい。そしてそのしわ寄せは所属タレントに来る。

であるならば、タレントはジャニーズ事務所から離れる方がよいのではないか。
ジャニーズタレントのファンも、「ジャニーズ事務所に所属したまま番組やCMに出られない」のと「他事務所に所属して番組やCMに出演する」のとでは後者の方が喜ばしいのではないか。
契約を打ち切る企業もタレント憎しで打ちきっているのではなく、性加害を容認すると思われるわけにはいかないから打ち切るのだろう。特に世界展開している企業にとっては致命的になりかねない(日本でも同じ状況にならないといけないのだけれども)。

事務所を移籍することで企業がまた契約できるようになり、また、タレント自身も海外で活躍できるようになるかもしれない。デメリットは「ジャニーズブランド」が失われることだが、今やそのブランド価値の方が落ち、足を引っ張っているのだからむしろメリットとも言える。

死者に対する罰

この一連の事件で最も腹立たしく思うのは、張本人たるジャニー喜多川氏が亡くなられており、法的な罪を問えない点である。

となると罰としてはその名誉を傷付けることで、方法はふたつ。
ひとつは世間から名前を消し、なかったことにする。「ジャニーズ」をはじめとしたジャニー喜多川氏に由来する名前を変更し、まるでそんな人なんていなかったかのように振る舞うこと。
しかしこれは現実的ではない。東山氏が記者会見で述べたように広く普及した名称であり多くの人がその名前を記憶している。もしジャニーズ事務所の名前を変更しても「旧統一教会」のように「旧ジャニーズ事務所」と呼ばれることだろう。

もうひとつは、残した名を悪名とすること。「ジャニーズ事務所」という名称のまま、その名は忌むべきものとし、事務所も批判の対象としての立場を引き受けさせること。タレントが全て移籍し、批判の対象であり続けるなら事務所はいずれ無くなるだろう。悪名を抱えたまま沈めてしまうのである。
被害者の中には、自分を納得させるために無理矢理本音をねじ曲げて思い込んでいる人もいるかもしれない。ちゃんと憎めるよう、名前を残す意味もある。

その名を悪名として伝えていくことこそ、生者のできる死者への最大の罰ではないか。

とはいえ

罰を与える立場でもないし、関係者でもない。

被害者の救済と、所属タレントの今後の活躍を願うのは全員が同じ意見だと思う。
なるべく解決され、今後同じようなことが起きませんように。

名角こま

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?