見出し画像

茶番(仮) #4


「今日の獲物は此奴だ!」
チャンネルに映し出されたのは今をときめく俳優Sだった。
内容については不倫やセクハラなど、主にスキャンダル。
ほんとかどうかは判断がつかないが、人の不幸は蜜の味とはまさにこのことだった。

徐々にそのチャンネルの登録者数は広がり、認知は増していく。

そのころ自分はホームレスで地方を転々としていた。
以前と違うのは❝本質おじさん❞の選挙を応援したことで仲間が増えたことだ。
この騒動で右往左往している周りの会社員にイキづらさを感じ、転職活動をするでもなく、その仲間をアテに呼ばれては飛んでいき、ご飯と寝宿を確保し、呼ばれては飛んでいき...そんな不安定な生活スタイルだった。

お金はなかったが、時間はあった。そこで「この騒動について」また「社会のルールや仕組み」,「真実の歴史」について自分なりに研究を続けた。

そんな中、ウイルスや治療薬,この騒動に対する情報もいろいろと明るみにさらされるような状況になった。

「検査数を増やすべきだ!」
どこの利権が働いているのか、それでも多くの政治家・報道はまだそんな論調だ。
検査数を増やして大した症状もない陽性者をあぶりだす、そのうえで医療崩壊だなんだと騒ぎ出す。それを口実に規制が強化されていく。

事実を俯瞰すればするほど、この騒動の本質は「ウイルス」そのものでないことが分かってくる。

「もうみんなわかっているはずだ!!さぁメザメよう!」
街頭からそんな演説も聞こえてくる。
演説者もどこに怒りをぶつけているのかわからない。
叫べば叫ぶほど、大衆を拒絶しているように孤独になる。
そう、多くの国民はすでにどうでもいいのである。

黒い羊にならぬべく、周りの様子をうかがってわかったふり、、身をひそめる。
そう、多くの国民はすでにどうでもいいのである。
ルールのためのルールをただ正当化する。

「次からはあの政治家の闇を暴く。」
あのチャンネルで唐突に発表があった。
ネットニュースは騒然とした。
どうやら次の国政選挙にでるという噂も。

芸能人のスキャンダルには興味がなかったが、腐敗している政治をどうにかしてもらえるのではと期待している登録者も多いようだ。

同時期に新しい政党が立ち上がった。
「今立ち上がらければ、この国は国民不在のもぬけの殻になってしまう」
やはり胡散臭い。
でも100%はないから、いまよりマシを選択する。
「ヒーローに劇的な変化を期待するけど、自分からはなにもしない。そうやっていまのこの国の現状がある」

そのころの自分といえばその「戦い」に入り込むほどの熱はなく、あるチャンネルにハマっていた。
「五次元へ移行しよう!」

~つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?