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なにがなんでもお金? 明日死んでしまうかもしれない年齢になって、なにが自分にとって大事なのかわかる

株式会社なのに、ボランティアなんておかしい?


私たちは「那須まちづくり広場」を株式会社で運営しています。この法人格は、一般に「儲けをとり、拡大する組織」というようにみられます。その儲けと拡大の中身、使い途をこれからの消費者は吟味することが必要です。

高齢期のど真ん中にいる私たちに必要なのは、お金や利潤ではありません。……いまどき、超怪しいですよね、お金ではありません! なんていう集団。近寄ったら、高級布団とかツボを売りつけられそう? そうですね、うかうかしていられない世の中です。

ということで、消費者はその事業の中身をよーく吟味して、怪しい? 自分には合わない! と思ったら、近寄ってはいけません。

でも、その勘が正しかったとして、そう考える自分もお金に囚われて、お金のために汲汲とした価値感をもってしまっているかも……なんてことはないでしょうか。

とくに、高齢期はお金がないと生きていかれない、と流布されているので何が何でもお金が一番という常識をお持ちの方も、少なからずおられます。それはその人の価値感ですし、たしかにお金が豊富にあれば暮らしをある程度補うことはできるでしょう。

一方、私たちが実践しているのは、いわゆる「ソーシャルビジネス」です。金銭ではなく社会的な利益を追求する。だって、明日死んでしまうかもしれない年齢になって、なにが自分にとって大事なのかはわかっています……という価値感をもった人たちで会社を立ち上げました。

地鎮祭後の校庭の様子。この後、49戸の住宅建築が進み、2023年1月入居開始予定。
室内ご見学もできます。

いえ、お金は必要なんですが、それはまたさらに社会的な利益につながるような事業展開をするためです。組織をくくるものは、NPOや社団法人などいくつかありますが、法人格はこの度の目的が達成しやすいので選んでいるというわけです。

金銭的な問題ではありません。

今般の目的は、旧小学校を「学校を生涯活躍のまちづくりの拠点に」ということ。那須町に企画を応募してお貸しいただきました。ご存知のように、学校というのはとにかく広い。この学校全体をきれいに美しくする経費は、私たちにはありませんでした。そこで、地域のみなさんにも呼びかけました。「みんなきれいにしましょう」と。「那須まちづくりの会」というボランティア組織を作り、現在80人くらいが会員です。

でも、それはじつは金銭的な問題ではありません。

なぜなら、この場を必要とするみんなで機能させるのが「那須まちづくり広場」なのです。たとえば、「草むしりはなぜボランティアなのか?」という疑問をもつ方がおられます。でも、そこにお金を介在させずに、この広場を自分が関わってより美しくしよう、広場を豊かに機能させる一人として関わろう、という人が集まってこそ実現する場。それは自分のためでありみんなのためでもあります。

別個に些少の金銭を手にするのではなく、それぞれが労力や知恵をもちいてみんながより豊かに過ごせる居場所を作ろうという発想です。
そういう発想に賛同できる人が集まらないと、このプロジェクトは成り立ちません。

ですから、この広場をどのように機能させていくかも、会社が決めるのではなく、「グランドデザイン部会」というボランティアによって知恵を出しあい、労力を寄せ合っています。こうした活動をすることによって、広場を利用する人同士がお互いを知り、信頼を育んでいくことにもつながります。

掃除のボランティアではなく、「那須まちづくり広場」を美しい場所にしたいと思う人たちがそろって初めて場として意味を成すのです。

お金が介在するだけの場所は作りたくない。お金があってもなくても行ける場所。安いものもあり、高いものもある場所。お金によって関係が変わる場所であってはいけないのです。

「あさひ券」という通貨が「那須まちづくり広場」にはあります。広場でだけで使える通貨。それは善意の価値の交換に使われます。運転、買い物、掃除、などのサポートしてもらったら、ある人は1枚、ある人は2枚をボランティアの善意と交換しています。

私たちは「めぐり氣まま」という衣料品店を運営しています。関わるスタッフは利益が出るまではボランティアです。素材である竹布とオーガニックコットンを普及したい人が関わります。その店を維持するお金までは、会社が負担をし、スタッフはボランティアで関わる。そして、売上げがあがったときにその売上げをスタッフで分配します。

「ギブアンドギブ」というのもよくお話しするキーワードです。「ギブアンドテイク」ではなく、与えつづける。与え続けられるか、続けないとわからない。けれど、見返りがあると思うと善意でなくなる。「金を貸す時は返ってこないと思え」と母に言われました。周りに困った人がいたら、できることをする。それがシェア。テイクだと思ったらできません。

シェア。分かち合う。譲り合うこと。信頼すること。
それが、「那須まちづくり広場」の基本。
高齢期をより豊かに暮らすときの基本でもあります。

私たちのこと、もっとよく知りたいという方向けに↓


(20221204−14)

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