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【フェルミ推定】コインランドリーの市場規模を推定せよ

こんにちは。現役戦略コンサルタントのなすです。
コンサル就活・転職で絶対に避けられないのがフェルミ推定の対策ですよね。

今回は「コインランドリーの市場規模を推定せよ」の問題を徹底解説しました。
ちなみにこの問題は、僕の友人が某戦略系のファームに転職する際に実際に出題されたものです

そこで「なすだったらどう考えるの?」と言われたのをきっかけに、考え始めたら結構面白かったので、皆さんの役にも立てればと思い執筆してみました。

ちなみにこの解説は全て無料で読むことができます。だいぶしっかり解説したので、考え方の参考にはなるかと思います

もし、この解説を読んで「少しでもためになった!参考になった!」と思う人がいたら、感想を送ってくれたりするとめちゃくちゃ嬉しいです!(次の解説もまた頑張ってやるかもしれません)

↓解説はこちら↓

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問題:コインランドリーの市場規模(国内)を推定せよ

◇解き方のまとめ
コインランドリーの市場規模を約2,000億円と推定しました。
考え方としては、コインランドリーの数×1年間で1つのコインランドリーがどのくらい売り上げるかをベースに算出しています。

コインランドリーの数は1つの駅にあるコインランドリーの数ベースで計算しました。その際、都会と地方、オフィスと住宅街に分けて考えてみました

具体的な計算式は、「コインランドリーの市場規模=駅の数×1つの駅にあるコインランドリー数×1つのコインランドリーの洗濯機数×回転数(1日)×1回のコインランドリー使用平均単価×365日」です。

数値を当てはめると下記です。

駅の数=1万駅
1つの駅にあるコインランドリー数=1.8
1つのコインランドリーの洗濯機数=14個
回転数=3回
1回のコインランドリー使用平均単価=720円 
(※具体の数値の根拠は詳細欄をご確認ください)

計算結果
1万駅×1.8×14×3×720×365=1万駅×約2,000万=約2,000億円

◇解説

◎推定の方針

▷よくある間違い
まずはよくある間違いからご紹介しましょう。

皆さんの中にはこのような因数分解を思い浮かべた人もいるかと思います。

コインランドリーの市場規模=人口×コンランドリー使用率×平均使用回数×単価

さて、この問題は何がいけないのでしょうか。

答えは、”ぶっちゃけ勘”の要素の説明を行うことが難しいからです。

この分解ではコインランドリー使用率や平均使用回数(年)は”ぶっちゃけ勘”以外で出すことが難しいです。

面接官に「なんでその数値にしたんですか?」と聞かれた時に
「いや〜僕は年に3回くらい旅行行くんで、使用頻度も3回ですかね〜」と言われても、「いや、それはお前の話やろ」ってなってしまいますよね。できるだけ、数値は一般化したいわけです

(※もちろんこの方式でも一般化してなんらかの方法で数値の根拠が話せるなら間違いではありません)

フェルミ推定では、できるだけ自分の”勘”で数値を出すのではなく、何らかの説明を持って論理的な数値を設定するのが肝です

▷”国内にあるコインランドリー数”をベースに考えてみる

ということで、今回は「国内にあるコインランドリーの数」を出して「年間売上」を掛け算する方式をとってみようと思います

推定の基本式
コインランドリーの市場規模=
コインランドリーの数×1コインランドリーの年間売上高

確かにこれでも市場規模は出そうですよね。いわゆる”供給ベース”ってやつです

◎コインランドリーの数はどう出せばいいの?
それでは
さて、コインランドリーの数はどのように出せば良いでしょうか。

今回は”駅方式”で解いてみようと思います。
”駅方式”と「1駅につき大体何件くらいコインランドリーがありそうか?」という問いを出発点に数を推定する方法です。したがってコインランドリーの数は下記の式で表せそうです

コインランドリーの数は?
【コインランドリーの数=駅の数×平均設置数】

▷国内の駅の数は?


駅の数は国内に1万駅です。(無人駅と有人駅が半々くらい)
国内の人口がざっと1億人とすると、平均的に1駅につき1万人くらいが利用するということになりますね。(意外と多い)

ちなみに、駅の数は1万駅、くらいの数値は暗記しても良いと思います。
わかるものは使って、答えのない問いに辿り着くために時間を使っていきましょう。

▷駅ごとのコインランドリー設置数は?
それでは次の問題は、「平均設置数」です。

平均設置数はどのように出せば良いでしょうか。

「そんなん田舎じゃ1駅に10個もないかもしれないし、東京とかだったら20個とかあるかもしれないじゃん!」

そんな心の叫びがよく聞こえてきます

そんな時は、セグメントを分けて考えてみましょう。
セグメント分解のコツは、「利用シーン」を想定することです。コインランドリーは、どんな人が(who)、なぜ(why)、いつ(when)使うんでしょうか?


コインランドリーを使うのはどんな人?

  1. 都内で一人暮らしで忙しい男性。日々仕事が忙しく、家事なんかやってる暇がない。でも洗濯物は日々たまる。じゃあ今日はまとめてランドリーで洗濯と乾燥もやってしまおう!時短になるし!という人。

    逆にお母さんが専業主婦で毎日洗濯してくれる!なんて人はコインランドリーとは疎遠な人生を歩んでいることでしょう。

  2. 他にも旅行客。特に1週間以上とか滞在する人は、ランドリーを使うことになるでしょう。ただ、1週間以上も滞在する人ってそんなに多くない気もしますね。利用シーンを考えた結果、こんな感じでまとめられるんじゃないでしょうか。

▷コインランドリー利用者
オフィス街の近く(オフィスに30分以内につきます)で、金で時間を買いたい!という忙しいビジネスマンとかは、コインランドリー利用数が多く、一方、住宅街でファミリーで住んでいます!という人はコインランドリーとは疎遠な可能性が高い」

また、もう1つの分解の仕方として、「都会」と「地方」もありそうですね。もちろん、人口の多い都会の方がランドリーの数は多いでしょうし、人口の少ない地方では、当然に少ないでしょう。

ということで、今回は、X軸を地方-都会・Y軸を住宅地ーオフィス街で分けてみましょう。

解きたい解は「駅あたりに何個のコインランドリーが存在しそうか?」です。
セグメントを分けているのは、都会のオフィス街とかは、ランドリー利用者が多そうだから、コインランドリーの数は多いと想定しよう。
といったことを明らかにするためです

 まず、都会のオフィス街では最もコインランドリーの需要が高そうだという想定から、駅につき4つのコインランドリーがあると想定します。ここら辺まで分解したら一旦数値を置いて確かめていきます。
 次に都会の住宅街が2番目に多そうということで、駅につき2つを想定します。
次に地方×住宅街で、ここは2駅に1つという形にしましょう。
地方×オフィス街、ここは1駅に1つと置いてみます。

コインランドリーは1駅に何個ある?
ということで平均を出してみましょう。4象限は大体同じ比率かなと思うので、1:1:1:1で置いてみましょう。まあ全部同じ比率にすると加重平均にする意味ないんですけどね。

計算すると(4×1+2×1+1×1+0.5×1)/4=約1.8

ということで、コインランドリーは1駅に約1.8なので、1万駅で全国には1.8万コインランドリーが存在するということになりました。

1コインランドリーあたりの売上はどのように計算する?

それでは次に1ランドリ-あたりの売上を考えてみましょう。

1ランドリーの売上=
①1ランドリーに存在する洗濯機・乾燥機の数×②1日の回転数×③平均単価×365日

こちらで出せると思います。それでは、各数値の出し方を見ていきましょう。

①1つのコインランドリーにある洗濯機・乾燥機数
1つのコインランドリーに洗濯機と乾燥機は何個あるんでしょうか。広さベースでちょっと考えてみましょうか。
コインランドリーは、あまり広いイメージがありません。とりあえず縦15M×横7Mくらいを想定してみましょう。
横幅が狭いので、基本的には壁の片面だけに洗濯機・乾燥機が設置されていると想定しましょう。
洗濯機・乾燥機の大きさは縦横2M見れば十分だと思います。なので、1列につき7個設置されていることになります。大体2列くらいは設置されているイメージなので、1ランドリーにつき洗濯機と乾燥機合わせて14個くらいでしょうかね

今回はランドリーの大きさから出してみました。
中には「ランドリーの大きさは結局勘じゃん!」を思った人もいるかと思うんですが、大事なのは「どのような根拠に基づいて数値を出したのか」です
例えば、広さベースで出しているとわかれば、面接官も「いや、ランドリーてもっと広くない?もう少し大きい想定で出してみてよ」とか議論を前に進められます。
大事なのは、その考え方を伝えることなんです。

②回転数
回転数については、朝昼晩でそれぞれ1回転程度と考え、3回転と置きましょうか。ここは考えすぎても議論が進まないところでもあるので、一旦これで出してみましょう。

③1回のコインランドリー平均使用単価
多くの人は、洗濯機と乾燥機を1回ずつ使うと思います。それぞれ300円くらいでしょうか。合計すると1回あたり600円の単価になります。
もしかすると、ランドリー利用者は大量の洗濯物を洗濯したいというニーズもあるかもしません。なので、1回の利用で2回洗濯・乾燥を回すという人もいるかもしれませんね。ただ、数自体は多くないと思うので、2割くらいの人は単価が2倍の1,200円と置いてみましょう。
上記を平均すると、(600×8+1,200×2)/10=720円

ということで、各数値をまとめていきましょう。

最終的な計算
ということで最終計算いきましょう。
駅数×1駅あたりのランドリー数×1ランドリーに存在する洗濯機・乾燥機×1日の回転数×平均単価×365
=1万駅×1.8×14×3×720×365=1万駅×約2,000万=約2,000億円

最終的な計算をすると、コインランドリーの市場規模は約2,000億円と算出されました。
イメージ、桁数ズレしているほどの乖離はなさそうですかね。ただ、少し多すぎるかな?という気もします。

試しにググってみるとコインランドリーの市場規模は約1,000-1,500億円と出ていました。桁数ズレまでは起きておりませんが、ちょっと過大推定になってましたね。

考えられる原因は、例えば回転数ですかね。平均3回転にしましたが、実際には1日で3回転できるコインランドリーは少なく、2回転ほどかもしれませんね。
そうすると、1万駅×1.8×14×2×720×365=約1,300億円となり、かなり近づきます。

いかがでしたか?駅ベースで考えるなかなか面白い問題だったと思います。

もし、この解説が参考になった!もっと知りたい!という人は感想教えてくれたり、ノートにいいねしてくれるとめちゃ嬉しいです!

皆様の選考対策に少しでも役立てればと幸いです

他の問題もこちらで解説しているので是非チェックしてみてください!
フェルミ推定はとにかく対策量だと思っていますので。

https://note.com/nasu_strategy/n/n99318542c901


                                なす


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