課長の心得~新任課長のジレンマを克服せよ
「課長」=「中間管理職」と昔から言われ、上司と部下に挟まれる非常にストレスフルな職務というふうに揶揄されることもあります。一般の女性社員、最近は若い男性社員からも「管理職になりたくない」という声が聞こえるのは、彼ら、彼女らの悲壮な仕事ぶりを見て「ああはなりたくない」という思うからでしょう。
ここで、何故彼らが悲壮な働き方をするかという事を考えてみましょう。これは、最初は肯定的な意味で言われていたPlaying Managerになっているということです。要は自ら部下の仕事をやっているということです。
人員削減など厳しい人員コントールや残業規制をしている部署ほど、その現場の仕事が一番できる課長が、決められた期間で仕事を達成するためにその2~3人分の仕事を一手に引き受けている状態です。現場の仕事が一番できる人がそこの長に任命されるので、当然一番仕事ができます。
しかし、それをやっていると特に新任の課長の場合は部下のマネジメントをする時間もないし、ましては部下が一番相談したいキャリア相談などに避ける時間もありません。そうすると、部下はますます育たなくなり、その課長の仕事は減るどころか部下のモチベーションが下がり生産性が落ちるので、仕事は増え、ますますマネジメントする時間がなくなる「悪循環」に陥ります。
新任課長の8割はこういう悪循環に程度の差はありこそすれ、陥るのではないでしょうか。
しかし、部下を育てるため、自分をもっと必要な仕事に挑戦させるためには、「部下に仕事をふる」事が大切です。しかし、自分より仕事ができない部下に期限付きの重要な仕事をふるには勇気がいります。「部下を育てるために重要な仕事をふりましたが、能力足らず達成できませんでした」では通らないからです。ここが「新任課長のジレンマ」です。
かくいう私もこれにはまった時期がありました。そこで私がとった施策は、部下に振りながら、影で自分もいつものようにやるということです。今まで部下にふらず自分でやっていたので、自分の仕事量としては変わりはないわけですね。そして、ふった部下ができなかった場合は、にやりと笑って「ほら、やっぱりね。これを使え」と完ぺきなレポートなどの仕事を部下に渡すわけです。何故か少し嬉しいのです。「奴はまだ俺に近づくのは10年早いな」とか思っちゃうわけですよね。
しかし、何度もこれをやっているとだんだん部下が少しずつできてきて、しまいにはちゃんとやれるようになるのです。そうです、成長するんですね。この瞬間は微妙です。うれしいやら、自分に追いつかれて悲しいやらです。
しかし、部下が成長したのをみて、「これじゃあ、あかん」と自分も上を狙って自己研鑽を始めるわけで、これで成長する組織は健全に回り始めるのです。
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