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#機械

機械の森林における目的と、その製造【小説】

「庭を作る機械」は、森林を作るためにあるようだ。アヒルたちが持ち帰った手紙には、そのようなことが書かれていた。私の傍らでいま庭作りに勤しんでいるこの機械は、森林を作るのが主目的のようなのだ。この大陸は、辺りが一面だだっ広い荒野であり、ここに森林を作るとなると、それこそ大量の種と言葉が必要になる。 この機械が庭を作っているのは、端的に言えば、アヒルをおびき寄せるためである。そのことは私にもわかる。この機械が、言葉や文章のようなものを日々大陸の大地に刻印しているその内容は、私に

庭を作る機械【小説】

庭を作る機械がある。この機械は、木陰にあった。木陰にて、たいていの機械がそうであるように、大人しそうにしていた。この機械は私の傍らで、なにか私にはよくわからない事情で稼働していた。この機械はいつも、大陸の地面になんらかの言葉を刻印していた。その言葉はたいてい私の興味の対象にならなかったが、地面とともに後方に流れ、言葉の川を日々形成していく様は、一種の景観であった。 この機械にはいくつか用途があるはずで、というのも、ハンドルだとかレバーだとか、そういったものが付いているからな