渋木すず「お金の相談会」(たちくらようこ)
11月下旬のある夜、渋木すずさんによる「お金の相談会」が開催されました。
渋木さんは円盤に乗る派&円盤に乗る場のお金周り担当、乗る場メンバーの中ではお金について相当詳しい方です。参加者は、屋根裏ハイツのお金周り担当の渡邉時生さんと、円盤に乗る派主宰かつ円盤に乗る場オーナーのカゲヤマさん、免税事業者の俳優たちくら。渡邉さん、カゲヤマさんは、劇団の助成金や税金のことも気にしなければいけない立場。
自己紹介
セミナーっぽく、講師の自己紹介から始まります。
最後の2行
「今の資本主義&新自由主義は嫌・・・。
→嫌だからこそ知って生き延びるぞ!の気持ち」
の心意気が素敵!
1 経理、会計、財務の違い
まず、似て非であろうとは思うけどどう非なのかわからない3単語の違いを確認します。
小さい会社や団体だと、経理と会計が一緒になっていたり、財務は社長さんが一人でやってたりもするそう。
言葉をちゃんと使うの、大事!
2 請求書、領収書、源泉徴収
請求書・領収書
請求書と領収書がどっちがどっちだかわかんなくなるのはよくあること(?)ですが、さらに、インボイス制度に伴い適格請求書というのも登場しています・・・
出た!インボイス!訳も意味もわからないインボイス!
カゲヤマさんがついさっき体験したインボイス地獄を話してくれました・・・
今年(2023年)10月から施行されたインボイス制度では、これまでは個別のお品物の値段×10%(品物により8%)(小数点以下はお店によって切り捨てたり切り上げたり対応が異なる)を合計して算出していた消費税が、お品物の合計額×10%(8%の品物は別に計算して×8%)となりました。よって、インボイス前と後で、消費税額にわずかな誤差が生まれます。さらに、今秋のお支払いは、インボイス前後が複雑に入り混じっていており、混迷を極めているのです。
カゲヤマさんはこの狭間に生じた1円単位の誤差に祟られたのでした。こわっ!!!
源泉徴収
出演料や演出料など「ギャラ」とか「報酬」とか呼んでいるお金は、所得税として10.21%を源泉徴収されます。報酬を受け取る方は手取りが1割以上減るし、支払う方も計算ややこしいし徴収分を納付しなきゃいけないし、なかなか曲者なのですが、渋木さんから次々と素敵情報が!
ここで確定申告で毎年迷うやつ・・・
お支払いしたギャラは、外注費?支払報酬?どっち?
一説によると
ということですが。えっと、出演料は支払報酬・・・かしら?舞台美術さんは?デザイナーぽいけど大工さんぽくもあるよね?仕込みのお手伝いさんだったら?・・・やっぱりわかんない!!
でもでもわからなくても!
出演料は外注費、原稿料は支払報酬!というように、ブレないマイルールを定めればOK♬ だそうです。自分を強く持ちましょう。
ここで渡邉さんから、さらにややこし発言が。
「支払報酬は源泉徴収しなくてもいいんですよね?」
え?
渋木さんの答えは
「支払報酬という名で計上していても厳密にいえば源泉徴収するものとしないものがありますね」
えぇえ・・・ややこしい・・・・・・
渡邉さん「助成金のときも、源泉徴収してって言われたり、しなくていいって言われたり・・・」
屋根裏ハイツお金担当の苦労が偲ばれます。
「モヤモヤするなぁ・・・」
がんばって、お金担当!
休憩
3 インボイス
お金の話に疎いアーティスト界隈にも激震が走ったインボイス。弱小個人事業主が多いので実は影響大なのです。インボイス登録する?課税事業者になる?しなかったらどうなるの?まだ迷子なのに始まってしまったインボイス、相談会メンバーの周りでも、すでにいろんな困りごとが起きていました。
登録番号の発行が遅れているため、課税事業者さんからの請求書に登録番号が書いてなかったり。
消費税額のブレを助成団体に指摘されたり。
適格請求書に決まったフォーマットがないため番号がどこに書いてあるかわからなかったり、納品書で記載事項を満たしているということで請求書をくれなかったり、さらには適格請求書不要という取引もあるそうで・・・おぉう・・・。
また渡邉さんから不穏な指摘。
「今後、請求書の項目が足りてなかったって後からわかるっていうこと、ありますよね?」
渋木さん、食い気味に「ありますね」。
おぉう・・・。
と、上級編の解説を聞いてきましたが。
申し訳ありません。
筆者はインボイス制度がそもそもよくわかっていません!!
(免税事業者は納付しなくてよかった消費税、これからはお金払った方が代わりに納めてくださいね!ってことで合ってますか??)
ということで解説していただきました!(上記、概念は合ってるらしいです)
インボイス前
主人公B社は、A社から100円+消費税10円=110円で紙を仕入れ、本を作って、消費者に200円+消費税20円=220円で売っています。
インボイス後、A社が免税事業者(課税事業者でない=適格請求書を出せない)場合
納税額めっちゃ増える!たしかにこれは嫌だ!
でももし、A社が課税事業者になって適格請求書を発行してくれたら、従来通り仕入税額控除してもらえるので、納付額は10円です。
世間で話題になっているのは、B社が、A社に消費税分の値引きを要求したり、A社との取引をやめて適格事業者の他の会社に乗り換えたり、ていうことが起こるのではないか?(禁止されてはいますが、とはいえA社の立場は弱いし)ということ。
俳優業に関しては、免税事業者の俳優が適格事業者の俳優に役を取られる、なんてことはなさそうだけれども、しかし、これがどう、しがない俳優ライフに影響するのかわからない・・・
不安に打ち震える筆者を、いつか必ず課税事業者にならなきゃいけないとか、確定申告がすんごい難しくなるとか、請求書の書き方変えなきゃいけないとかいうことは、ないよ!と慰めてくれる渋木さん。よかった・・・よかった・・・(涙)
筆者の初心者質問のあと、
青色申告と白色申告の違いとか(青色はお得だけれど、しっかり稼げてないとなれないよ)、
法人になるメリット・デメリットとか(助成金申請では有利だけどいろいろきちんとしなきゃだよ)、
個人の事業から任意団体に移行する時にやらなきゃいけないこと(個人のものと団体のものをきっちり分ける!)、
単式簿記を複式簿記に変えるのがどんだけ大変か(帳簿と通帳の数字合わせ地獄 etc)、
電子帳簿保存法(タイムスタンプて何?)、
なんて話をみっちりして、本日のお金の相談会はおしまいです。
とっても勉強になりました・・・渋木さん、みなさん、ありがとうございました!
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