読書記録『暗闇から世界が変わる』志村真介

『暗闇から世界が変わる ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンの挑戦』(志村 真介):講談社現代新書|講談社BOOK倶楽部 (kodansha.co.jp)

CoSTEPで知り合った方ににダイアログ・イン・ザ・ダーク (dialogue.or.jp)を紹介されて、読んでみた。現地に行ってイベントに参加したいと思っているがすぐに時間を作るのが難しかったので、まずは本を読んでみることにした。

日経新聞の囲み記事を読んだことから、衝撃を受けて、その記事で紹介されていたイベント(@ウィーン)を日本でも開催したいという思いからはじまっていた。
本当に短い記事だが、この記事だけで心動かされ、本人も体験していない段階から強い意志を持ち続けていることが驚きだった。偶然の出会いと一見影響力のなさそうなものが、一人の人生を変えるほどになったということが一番気になった。
実際に体験していないからか、本だけではなかなか自分の中に入ってこない部分もあり、より一層、短い新聞記事だけで、とてつもない熱を維持し続けられたDIDというコンテンツに興味が沸いた。

そして、成果物よりは遥かに気にされないことが多い、表で新しいことを成功させようとする人の苦悩についても覗くことができた。

LEDがすべてのものを明るく照らしていて、視覚偏重の生活をしている中で、暗闇を感じることが何なのか、とても気になるし、早く実際に体験してみたい。視覚障害やハンデに対する考え方がどう変化することになるのだろう。

現代の都心は本当に明るい世界になっていると実感したことがある。東京で生まれ育ち、23年間生きていたので、小学校なんかで『夜道を歩くときは、
反射材を身に着けるようにしましょう。』といった言葉にあまり、重要性を感じていなかった。だって、夜でも街灯のおかげで人の存在は見えるから。でも、就職を機に高崎へ引っ越したことで『東京の夜が明るい』ということを実感した。高崎も新幹線が停まる程度には都会だが、東京に比べれば、田畑が多く、街灯も少ない。東京で車の運転免許を取ったときはハイビームなんていつ使うんだと思っていたが、ちょっと中心地を離れたら、夜はハイビームが必要だった。冬の夜なんかは、5時30分にはもう真っ暗で、小学校近くを歩く小学生が小さい懐中電灯を持って歩いていた場面に出会い「それ!必要!」と思った。
100年前だったら夜はもっと暗かったし、人間の暗闇での聴覚・嗅覚・触覚・味覚の感覚はもっと鋭かったのではないかと思う。夜でも簡単に必要十分以上の明かりが手に入るようになった世の中では、暗闇の価値が変わっているのだと思う。
実際にDIDを体験して、自分がどう思うのか楽しみである。

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