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千文小説 その1045:返済

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 iPhoneは、三眼。

 iPadは、無印。

 MacBookは、Pro。

 炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンの参入条件が、ようやく、定まりました。

 iPhoneは、常に最新のOSが利用できるように、三眼モデルを買い継ぐ。

 しかし、資金繰りに詰まった場合に限り、一眼の、赤色系を、代理として導入することも可能。

 iPadとMacBookに、例外はない。

 iPadは、OSの有効期限がすっかり切れてから、必要ならば、次代を導入する。

 必要を感じなければ、もしくは、色に関して折り合いが付かなかったら、決して買わない。

 妥協は、禁物。

 MacBookも同様で、こちらは、OSの期限も、気にしない。

 とにかく、今代が動くうちは、次代の次の字も、浮かべない。

 壊れ果てて初めて、かつ、どうしても要ります、となった時だけ、それは高価なProシリーズを、清水の舞台から転がり落ちて滝壺へ、の覚悟を決めて、導入する。

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 SIMカードを抜いて、現役を退いたiPhoneは、天板の上で、それぞれの処理能力に応じて、楽しく余生を過ごす。

 iPhone7は、ちょっともう、何もできないけれど、iPhone14 Proは、引退後も、できることがありそう。

 永遠の廃版、第六世代のiPod touchとともに、かつてiPhoneだったものたちのパラダイスを、作り上げてください。

 iPadは、長生きですよ。

 ある意味では、終身現役。

 無印の第五世代も、第九世代も、後のことは、気にするな。

 存分に、ロングライフな物生を、全うしていただきたい。

 MacBookには、それを上回る、怪物クラスのご活躍を、期待しております。

 炬燵に並んだ、三台のパソコンたちには、長寿において、ギネスを目指せるよう、謹んで、お世話する所存です。

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 さて、ここに一つ、未解決の課題が。

 クローゼットに眠る機器のうち、Windowsのデスクトップと、Intel搭載のMacBook Airは、既に、永久保存が決定している。

 ういいいいいい。

 ういいいいいい。

 むふっ。

 まんぎゃー。

 大丈夫だよ、落ち着いて。

 ぴーぽーぴーぽー。

 ぴーぽーぴーぽー。

 ぬふっ。

 もんぎゃー。

 …大丈夫かな。

 心配になって、ベランダの窓を、レースのカーテン越しに、首を伸ばして、うかがいます。

 すぐ近くに、パトカーと救急車が、停まった音がします。

 しかし、それぞれ、別の現場らしく、パトカーは見えるが、救急車は見えない。

 …ほぼ同時に、二件、半径一キロ圏内で、事件が発生するって、どんな荒れた地域なんですか。

 ぶふーん。

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 愛猫が、気を取り直したらしく、おやつのするめかじりを続行するのに合わせて、姿勢を正して、仕切り直しです。

 思考が中断されるには、わけがあります。

 おおよその場合、その考えを、考えたくないというのが、メインです。

 今、考えようとして、警察に止められたことは、何だったか?

 …。

 …。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 満腹して、寝落ちした愛猫を、西武ライオンズのバスタオルでくるんで、抱き直し。

 食べ残しのイカを口に、天井を仰ぎます。

 中断された思考を、僕はもう、文章にすることができない。

 トラウマレベルで、疲れ果ててしまい、新たに取り組むことは、無理。

 あきらめることは、逃げなのか?

 そうとも言える。

 でも、逃げられるようになった、と捉えるなら、確実に、一つの進歩。

 少し前まで、逃げることすら、できなかった。

 というのも、メインのデバイスたちが、ちっとも安定していなくて、その対策で、精一杯だったから。

 炬燵の上が、物体としても、理念的にも、すっきりして、大変快適なデジタルライフを、日々、過ごせるようになったために、トラウマに対して、がっぷり正面衝突しなくても良くなった。

 はあいー。

 こんにちはー。

 …こんにちは、脳みそくん。

 それはむかしのはなしだよー。

 いまはいまなんだよー。

 …その通り。

 現在が、しっかり定まることで、未来も見え、過去も変わる。

 愛するものが何か、心身の底から、納得することで、愛していないものとの接し方が、わかってくる。

 三台の廃版たちと、三台の現役たち。

 この六台が、カメラレオンの基盤。

 基盤は、これ以上、足すことも引くこともできない。

 基盤の上に、未来が降り積もり、現在となって、過去に変わる。

 おめでとう。

 ここまで、よく頑張りました。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 この項の中盤で語ろうとしていたことに関しては、二度と蒸し返しません。

 思い出すたび、こつこつと、気持ちの負債を、返済するだけにします。それでは、また。

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