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千文小説 その944:年輪

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 やはり、iPodは、諸々の意味で、古い。

 OSのサポートが終了しているだけでなく、バッテリーの減りも早いし、残量表示も、とんちんかん。

 これは、もう、仕方ない。

 が。

 …なんで、無印の第九世代のiPad、まだまだOSも現役、機体も新品という、カメラレオンの中で最若な一台が、ものすごく、古く感じるの?

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 膝の上、一心に、おやつのするめをかじる愛猫の、大きなおしりを、抱き直し。

 炬燵の上、六台並んだ電子機器を見やって、ため息をつきます。

 無印の第五世代のiPadが、八年前のモデルで、最も古い。

 その次が、同じ頃の新型を、数年後、型落ちで買った、iPhone7。

 この二台は、古びてはいるが、奇妙に、新しい。

 元気な高齢の方、という感じで、老いてなお、はつらつとしている。

 iPhone14 Proと、MacBook Proは、言わずもがなの、現役感。

 …iPodと、無印の第九世代のiPad。

 この二台が、なんとなく、カメラレオンを、窮屈にしている。

 手狭というか、行き止まりというか。

 閉塞感が漂って、書く物の、鮮度を下げる。

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 よくよく見ると、両者、黒いカバーを付けている。

 …これかな。

 iPhone12 miniで実証済みだが、僕は、真っ白は、耐えられない。

 しかし、同時に、真っ黒でも、駄目なのでは?

 iPodは、カバーを外せば、エレクトリックピンク。

 もはや、持ち運ぶことはないので、いざとなったら、そうする手もある。

 でも、第九世代は、スペースグレイ。

 それも、MacBookのような、薄灰ではなく、黒曜石のような、黒光り。

 …無理かも。

 カバー云々の、問題じゃないかも。

 ちなみに、同じ無印の第九世代の、シルバーを買って、その白さに発狂しそうになり、知人に譲渡した。

 色か…。

 どうしようもないな。

 それでも、どうにかしなければならない。

 物書きの名誉にかけて、難関を、クリアしないと。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 満腹で、寝落ちした愛猫を、西武ライオンズのバスタオルでくるんで、抱き直し。

 食べ残しのするめを口に、まずは、iPodから。

 すぽん。

 つるん。

 …か、可愛い。

 耐衝撃用、ごついブラックのカバーを外すと、白いベゼルに、ピンクの縁。

 和みます。

 平成の女子高生が、持っていそう。

 いいかな、これで…。

 外で見せびらかしたりしなければ、令和のおじさんでも、どうにか、使える。

 いずれにせよ、iPodの寿命は、長くない。

 通常、一年、保って、三年と、ネットの記事に、書いてあった。

 もはや、OSが古すぎて、がんがん使うことはできないことを差し引いても、全ては、余生。

 できるだけ、楽しく過ごしましょう。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 日を置いて、繰り返し、実験してみたのだけれど。

 無印の第九世代のiPadの、真の姿は、やはり、キーボード付きカバーを装着したバージョン。

 他のいずれでも、耐えかねて、リセットに終わる。

 でもね、スペースグレイの本体に、ブラックのキーボード付きカバー、って。

 まるっきり、Magic Keyboardを付けた、iPad Proじゃない?

 あれだけ、Proシリーズは買わないと、さんざんごねていたくせに、見た目だけは、もう、買っちゃってるのと同じじゃない?

 …そうなのです。

 キーボードを備えた無印の第九世代を、カメラレオンの一員と認めることは、取りも直さず、次代はProに行きますと、宣言したようなもの。

 というのは、第十世代以降の無印シリーズには、ホワイトキーボードのみ。

 miniシリーズには、キーボードが付かない。

 Airシリーズは、Proシリーズの代用ができるというだけで、専用のキーボード付きカバーがない。

 スペースグレイ、かつ、ブラックキーボード、となると、必然的に、Proシリーズを、選ぶしかない。

 なんで?

 いくらでも、方針の変換は、可能でしょ?

 今代が、スペースグレイにブラックキーボードだったからって、次代も、そうしなければならない決まりは、どこにもないのでは?

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 …事が、そう単純であったら、どんなに良かっただろう。

 そのつど、気に入ったモデルを、取っ替え引っ替えできるのであれば、こんなに長い間、悩んだりはしない。

 本気で、iPad Proを拒むなら、キーボード付き無印の第九世代を、リセットしなければならない。

 できないなら、何もかも、あきらめて、Proを買うしかない。

 重いね…。

 でも、それが、年輪というもの。

 背負うべきものは、最後まで、きちんと背負う覚悟です。それでは、また。

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