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千文小説 その951:梨と牛

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 iPhone7は、SEシリーズと、ほぼ同スペック。

 どうしても、買い継ぎたければ、SEに、乗り替える手もある。

 どうする?

 次代は、SEも、あり?

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 床の上、古びた洗面器に詰まって爆睡の愛猫に、時折、西武ライオンズのバスタオルを掛け直して差し上げつつ。

 炬燵の上、古びたスマホを見つめて、長考です。

 MacBookとiPadが定まった今、iPhoneを、ハイスペックで押し通す意義が、かなり薄れた。

 iPhone7と入れ替える形で、SEシリーズの導入を試みてもいいかな、と思えるくらいには、iPhone偏重路線は、変更されたと言っていい。

 が、問題は、iPhone7は、完全に、SEシリーズそのものというわけではない、ということ。

 旧型にはなってしまったが、押しも押されもせぬ、王道無印。

 自動車で言うと、普通車なので、軽のSEとは、排気量、すなわち、バッテリーの大きさが違う。

 そこを、なかったことにして、単純に、ホームボタン搭載モデルだからと、後継に据えることは、可能なのか?

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 …ないな。

 iPadが、無印シリーズを引き継いだのとは、わけが違う。

 iPhone7を、SEシリーズに、置き換えることはできない。

 そして、Proシリーズでも、上書きすることはできなかった。

 今、天板には、iPhone7とiPhone14 Pro、二台のiPhoneが、並び立っている。

 SIMカードは、Proに入っており、移動するつもりはない。

 メイン機への復帰はないけれど、それでも、僕は、どうしても、7をリセットできない。

 おそらく、今後も、しないだろう。

 加えて、SEシリーズでの代替もしないとなると、このまま、7は、ひたすらに、年を重ねて、そして、寿命を迎える。

 電源が入らなくなったら、さすがに、片付けるよね?

 …どうかな。

 もしかしたら、いつまでも、置いておくかも。

 じいちゃんのラジオや、父のカメラのように、昔の自分の、形見として。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 執着するなら、執着し抜いた方がいい。

 変に断ち切ろうとするのが、最も良くない。

 僕は、iPhone7に、執着する。

 恥ずかしかろうと何だろうと、そこだけは、譲らない。

 というわけで、iPhone7は、永代続投が決まりました。

 SEシリーズは、見た目がかぶるので、導入は、なし。

 無印シリーズも、比較してしまうので、やはり、なし。

 …なんと。

 iPhoneの、Proシリーズ継続も、同時に、決まってしまった。

 マジですか。

 お高いじゃないですか。

 MacBookもProで、iPadも買い継いで、なんて、資金、大丈夫?

 …これは、もう、今代たちを、できる限り、引っ張るしかないね。

 よほどの切迫がないうちは、決して、次代を迎えない。

 特に、パソコン二台は、ぎりぎりのきわきわまで、頑張っていただかないと。

 iPadを、OSのアップグレードの終了を目安に買い換えて、iPhoneは、多少古びても保たせようかな、なんて、思っていたのだけれど。

 逆でした。

 iPhoneを、OSで替えて、iPadを、寿命まで粘る。

 そもそもの構想に、戻します。

 なんで?

 iPadの方が、断然、安いじゃん。

 どうして、高価なiPhoneを、あっさり取り替えてしまうの?

 高価だから、です。

 iPhoneが、ぎりぎりまで粘ったら、次代を迎える頃には、ぼろぼろで、とても、予備機にはならない。

 iPhone7は、もはや、殿堂入りで、二度と、LINEを引いたり、電話をかけたりすることはない。

 Proの代わりになれるのは、Proだけ。

 だが、高いので、同時に二台は、とても買えない。

 苦肉の策として、せめて、OSの期限が切れるまでフル稼働して、バッテリーの寿命が来る前に、次代とタッチ交代。

 次代の次代が来たら、安心して、引退。

 これで、安定のサイクルが、できあがる。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 さあ、iPhone14 Proよ。

 君こそ、栄えある、初代Pro。

 人も物も、始まりは、いつも、ひとりです。

 14 Proと、どう付き合うかで、今後のProたちの、方向性が決まる。

 重要だね。

 よろしくね。

 まずは、掃除から。

 リング付きクリアケースを外し、ステッカーも取って、クリーニングクロスで、ディープパープルの機体をぬぐいます。

 購入後、一年と数ヶ月、まだまだ、ぴかぴか。

 …そうだ。

 ステッカー、替えよう。

 贔屓のバンドの、ロゴデザイン。

 特定の曲ではなく、チームとしての彼らを応援していくことの証左。

 梨の妖精と、牛の楽団に守られて、iPhoneは、今日も元気です。それでは、また。

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