千文小説 その933：検算
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
真の決着とは、とても静かなもの。
無印の第九世代のiPad、スペースグレイ、64GB、Apple純正カバー付き。
無事に、あらゆる設定が済んで、炬燵の上、充電中のタブレットは、とても、十数回、リセット＆再設定を繰り返したとは思えない、落ち着きぶり。
十年前からいました、という風情で、薄紫の蓋を、午後の陽に光らせている。
…良かったね、iPad。
あわや、購入後、二ヶ月で、お蔵入りになるところだったのに。
物の運命を分ける要素とは、何なのか。
やっぱり、色、かな…。
全く同じ型の、256GBモデルを、わずか一年で手放したのは、シルバーだったからか。
カバーは、捨てられず、こうして、今、役に立っているので、そのせいではない。
スペックより何より、色が、大事なのか。
今後、買い継ぐとしたら、とにかく、似た色で、揃えればいいのか。
むっふーん。
どっふーん。
珍しく、膝の上、愛猫が、起きています。
僕のパーカーの紐を、虎視眈々と、付け狙い。
あぐっ。
がじがじ。
むっふーん。
どっふーん。
仕留めたぜ、と、誇らしげに、くわえたまま、頭を振って、ぺっ。
おもむろに、吐き出しては、再度、虎視眈々、からの、ドヤ顔。
以上、無限ループ。
…飽きないなあ。
ほんのわずかな紐二本で、延々と、遊んでいられるというのは、大したもの。
見習います。
六台の電子機器で、僕も、遊ぼう。
文豪の業績からしたら、僕の書く物など、猫のおもちゃ。
それでも、書かなくてはならない。
いや、書いてしまう。
物書きだもの。
何が、iPadを、救ったのか。
活用と死蔵の境は、どこにある？
むっふーん。
どっふーん。
失敗は、理由を説明できるが、成功は、説明できない。
そのような趣旨の文章を、どこかで読んだことがあり。
その時は、なるほどな、と思っただけでしたが、今、ものすごく、沁みます。
わかり過ぎる。
好きなものほど、なぜ好きなのか、理論立てることができない。
好きだから、としか言いようがなく、物書きとして、実に、はがゆい。
炬燵の上、カメラレオンは、全六台。
無印の第五世代のiPad、第六世代のiPod touch、iPhone7。
iPhone14 Pro、無印の第九世代のiPad、13インチのMacBook Pro。
前者は、ゴールド、ゴールド、ピンク。
後者は、ディープパープル、スペースグレイ、スペースグレイ。
…同じ色を、三回繰り返しては、駄目なのか。
しかし、逆に、二回までは、繰り返さなければ、駄目なのか。
もはや後継機のない前者はともかく、後者は、今後、それぞれ、代を重ねていく予定。
iPhoneは、色を固定できない。
だが、iPadとMacBookは、決められる。
…両者、スペースグレイで、確定だな。
ということは、iPadの、無印の第十世代以降は、なし。
同様に、MacBookの、Proシリーズの巨大チップラインも、なし。
iPadは、バッテリーの不安なminiを除いて、Airか、Proか。
MacBookは、Airか、14インチのProか。
どうなの？
シリーズは、選択において、外せない要素なの？
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
…寝たよ。
紐をくわえたまま、爆睡に移行した愛猫に、おののきつつ。
そうっと、獲物を取り除き、西武ライオンズのバスタオルで、大きなおしりをくるんで差し上げ。
姿勢を正して、正面の壁、ドーベルマンの肖像と、対峙します。
一度きりなら、思い切ったこともできる。
でも、真に愛機と呼ぶには、おおよそ同じ条件で、複数回、購入できるかどうかが、鍵になる。
おそらく、僕は、14インチのMacBook Proを、買わない。
憧れはするが、それは、カメラレオンの一員ではない。
13インチ、スペースグレイ、256GB。
MacBookは、Airなのだ。
今代は、たまたま、上記三つを満たしていただけ。
よって、MacBook Proは、今代限り。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
iPadには、カメラレンズがある。
Airは、単眼、Proは、複眼。
写真は、iPhoneでしか撮らない僕にとって、タブレット端末に高機能カメラを搭載する意味は、まるでない。
これもまた、おそらく、僕は、iPad Proを、買わない。
iPhone12 miniで、痛い目に遭っているので、iPad miniも、買わない。
iPadも、Airなのだ。
容量は？
iPhoneとMacBookが、256GB。
同じことは、二回まで。
小さい方で、お願いします。
スペースグレイ、低容量、純正カバー付き、Pro／mini以外。
今代、ばっちり。
…どうやら、検算も、合格のようです。それでは、また。
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