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千文小説 その1018:色々

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 フリップケースの蓋をスタンドに、画面横向きで、堂々と立っている、無印の第五世代のiPad。

 ホワイトベゼルに、ホームボタン、金の縁取りが、輝いて。

 …素敵。

 使用開始後、八年目にして、しみじみと、惚れ直します。

 さすがに、動作は遅くなってきたけれど、まだまだ現役。

 のどかな雰囲気を持ちつつ、どこか、きりっと凛々しい感じが、また、最高。

 頼りにしています。

 寿命まで、どうぞよろしく。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 とはいえ、いつまでも、あると思うな、お金と電子機器。

 突然、動かなくなることなど、ざら。

 どこまで使うか、という線引きが、iPadに関しては、iPhoneやMacBookと比べて、格段に、難しい。

 iPhoneは、問答無用で、OSのアップグレード終了まで。

 もちろん、SIMカードを抜いた後も、バッテリーに余力があれば、充分、使用可能なので、予備機を置きたかったら、お早めに、機種変更を。

 MacBookは、文字通り、壊れ果てるまで、使った方がいい。

 よほど、本体にデータを溜めている、とかでなければ、引き継ぐものも、さほどない。

 何より、十年近く、いや、それ以上、保つように、設計されているので、そろそろ買い替えか、という頃には、完全に、ニューモデル。

 どのみち、一から設定し直さなければならないのなら、後のことを、気にする必要はない。

 ユーザーそれぞれのペースで、じっくりと、付き合いましょう。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 iPadは、微妙なところ。

 MacBookほどのロングライフではないが、iPhoneほど、OSの新しさに、神経を尖らせなくていい。

 ヘビーユーザーであれば、数年に一度、僕のようなもたもたであれば、それこそ、十年に一度。

 このサイクルだと、完璧に同一モデルを買い継ぐのは、ハードルが高い。

 無印シリーズを、色を変えて、細かく買い替える。

 Airシリーズ/miniシリーズを、ほどよく、品良く、おしゃれの一環として、複数持つ。

 Proシリーズを、MacBookの延長として、半永久的に、相棒とする。

 …しかしね、事実、無印の第五世代が、七年、保ってるんですよ。

 ユーザーとの相性さえ良ければ、iPadは、とにかく、長生き。

 新品であれば、OSの期限が切れても、時を忘れて使えるだけのバイタリティーがある。

 シリーズにこだわる意味は、あまり、ない。

 であれば、選択の基準は、どこに?

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 このところ、ずっと、無印の第九世代と、もめています。

 手放した一台を含めれば、足かけ三年、買ったはいいが、いまひとつ、使えないまま、持てあまして。

 …もしかして、色なんじゃないかな。

 第九世代のカラーバリエーションは、スペースグレイとシルバー。

 後者は、早々に、ノイローゼになり、知人のお子さんに譲渡した。

 前者は、今、箱に入って、クローゼットに置いてあるが、やはり、ノイローゼ気味。

 とにかく、白過ぎる/黒過ぎる。

 MacBookのスペースグレイは、かなり明るめで、確かに、灰色だね。

 うなずけるのに対して、第九世代のスペースグレイは、…どう見ても、ブラックじゃん。

 光沢があればまだしも、吸い込まれるようなマットテイストで、見ていると、どんどん、気分が下がる。

 薄紫色のフリップケースで、文字通り、カバーしてみたのですが、いかんせん、半面。

 画面だけ隠して、何になるっていうんだい。

 エセ江戸っ子の口調で突っ込みつつ、ケースは、処分してしまいました。

 電器店ものぞいてはみたものの、ラインナップが、黒・黒・紺。

 第九世代は、もはや、むき出しで使う、もしくは、そっとお蔵入りにする、のいずれかに、しぼられた。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 使い方からしたら、僕は、断然、iPad Proを、買うべきなのです。

 おそらく、十五年は、保つでしょう。

 一台買えば、二度と買わなくていい、くらいに、重宝するはず。

 なのに、二の足を踏んでいるのは、ひとえに、色。

 現行のProシリーズは、ブラックとシルバー。

 どちらを選んでも、無印の第九世代の、二の舞になる。

 さりとて、Airやminiでは、心身に合わない。

 ここは、無印シリーズから、シルバー以外の好みの色を選んで、MacBookと同じ扱いにする。

 具体的には、壊れ果てるまで、買い替えない。

 電源が入らなくなって初めて、新しい機体を買い、iCloudバックアップから、復元する。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 無印を、Proとして使う。

 それが、僕にとっての、iPadの意義。

 じゃあ、無印の第九世代は?

 …遺恨を残さないよう、慎重に、対処します。それでは、また。

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