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千文小説 その921:意表

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 年齢は、四十歳。

 性別は、男。

 利き手は、左手。

 愛機は、Apple製品。

 職業は、物書き。

 ようやく、自己紹介の枠組みが、定まりました。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 膝の上、ひよこの毛布をはだけて、仰向けで、爆睡している愛猫は、年齢不詳、性別・オス。

 胸の奥、深海の底、小さな泡を吐いている、リュウグウノツカイと思しき生物は、何もかも、謎。

 改めまして、よろしくお願いいたします。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 さて。

 ここからです。

 千文小説を、今後、どのように発展させていくか。

 考えながら、YouTubeで、ファンであるところのバンドの映像を観て、画面右横に表示される、おすすめの動画リストを眺めていました。

 プロとアマを分ける線は、反復に、耐え得るかどうか。

 どんなに技術が優れていようとも、素人の方の投稿は、おおよそ、一度観れば、それでいい。

 なんで?

 アマさんの作品の中にも、繰り返し、再生されているものもあるよ?

 というか、君も、noteでは、アマチュアライターなのでは?

 おっしゃる通り。

 お金を取っていないという意味では、僕は、ここでは、素人物書き。

 しかし。

 千文小説と題して、同じ人や物が出て来る文章を、毎日、投稿し続けること、数年。

 これは、もう、連載と断じて、過言ではない。

 書き方において、僕は、プロ。

 これだけ反復していれば、反復して読んでくださる方も、少しずつ、いらっしゃるようになる。

 そうです。

 繰り返し、読んで欲しかったら、繰り返し、書けばいい。

 物書きとして、底力を上げるには、それしかない。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 繰り返しますが、問題は、ここから。

 書ける物書き、というのは、自家撞着で、単に、書ける、だけでは、お話にならない。

 どんな作品を、目指すのか。

 おふくろの味、なのか、成金万歳、なのか。

 路線を明確にしないことには、看板が立てづらい。

 とはいえ、もはや、全くのゼロから、始めるわけではない。

 題名が決まり、登場人/物も定まった。

 舞台は、東京の片隅。

 引きこもりのおじさんと動くぬいぐるみの猫と謎の深海生物が、ひっそりと、生息しているだけで、なんとも、ドラマティックには、ほど遠い。

 華麗なるラブ・コメとかでは、ないな…。

 岸辺露伴や花咲舞も、出て来なそうだな…。

 家政婦を雇うお金もないし、名探偵にも解けない謎ばかりだし。

 考えるより、他にない。

 ひたすらに、考えて、過程も結果も、何もかも、お見せする。

 題して、脳内地獄めぐり。

 千文小説の副題は、それ。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 面白いの?

 読者、ついてこられる?

 そうだねえ…。

 いちおう、誹謗中傷は避けていて、よほどのことがなければ、お気を害する尖った表現には、ならないと思うけれど。

 逆に、当たり障りがなさすぎて、つまらないかもしれないね。

 どちらかと言うと、誰にも読まれないリスクを、懸念する必要がある。

 でもね。

 正直なところ、誰にも読まれないなら、それで、いい。

 無理に宣伝をして、読みたくもない人に、不快な思いをさせる方が、心苦しい。

 というか、僕自身が、読者として、そう思う。

 読みたくもない文章を読むことほど、つらいことはない。

 書くことに関しては、プロだが、読むことに関しては、生涯、アマでありたい。

 何でも読みます、とは、あえて、言いません。

 どうか、興味を引くものだけ、読ませてください。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 となると、物書きとして、僕は、結構、頑張らなくてはならない。

 なぜなら、自分の書く文章の、第一の読者は、僕だから。

 読みの素人である僕に、つまらないものを読ませないためには、手を替え品を替え、退屈回避に、全力を尽くさなくてはならない。

 良かったよ。

 僕が、玄人読者じゃなくて。

 プロの方は、懐が広いから、多少、これはちょっとね、という物を書いてしまったとしても、まあ、何でも読みますよ。

 大目に見てくださるが、アマチュアは、手厳しい。

 愛好家、というだけのことはあり、愛がなければ、とことん、やっつける。

 自分で自分を攻撃するなんて、嫌だな。

 なので、基本的には、僕にとって、つまらない作品は、書きません。

 ただし。

 これは、僕の好きなことだけを書きます、ということを意味しない。

 書き手の趣味嗜好は、できるだけ、抑える。

 読み手の趣味嗜好に合わせ、かつ、おもねりに陥らないよう、常に、意表をつくように、心がける。

 ええ?

 ここで、この展開?

 そう来たか…。

 やるな。

 これだから、上村元は、やめられないね。

 何より、自分にそう言わしめるためにこそ、日々、鍛錬です。それでは、また。

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