千文小説 その979:どうにか
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
かねての懸案、無印の第九世代のiPadが、ブラックのキーボード付きカバーをまとって、見事、復活を遂げ。
無印の第五世代のiPadと並んで、炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンの永続メンバーとして、生まれ直したことにより。
僕にとってのデジタルデバイス問題は、ほぼ片付いたと言って過言ではなくなりました。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
床の上、古びた洗面器からはみ出して爆睡の愛猫に、時折、西武ライオンズのバスタオルを、掛け直して差し上げつつ。
つややかに横たわる六台の手前で、箱に入って待機中、最後の一台を見やります。
iPhone12 miniです。
クローゼットに、もう一台、Intel搭載のMacBook Airが眠っていますが、そちらは、完全に、ミイラ。
防腐処理を施され、きれいに装飾され、永遠の休息に安らぐノートパソコンを、叩き起こすつもりは、今後とも、一切ない。
売り払わず、リサイクルもせず、たとえ、この部屋を引き払うことになっても、一緒に、連れて行く。
…ということは、カメラレオンは、実質、七台。
稼働中と休眠中が、六対一、なかなかのバランス。
これで、もう、いいのでは?
僕は、七台のApple製品を所持している。
それぞれ、大事にいたします。
以上、ご報告でした。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
…とならないのは、ひとえに、このiPhoneがいるから。
二眼レンズ、ミニサイズ、ホワイト、128GB。
困ったな、を通り越して、もはや、笑ってしまうくらいの、外し方。
何一つ、僕との接点がない。
でも、買ったのは、間違いなく、僕。
昨夜、充電をして、電源が入るのを確認して、またオフにして。
再設定しようかな、とも思ったのですが、あまりのかけ離れぶりに、ぼんやりしてしまって、結局、手つかず。
さりとて、では、今から、最寄りの電器店に、廃品として、持ち込みますか?
電車で数駅の、回線会社の実店舗に、ポイントと交換で、回収を依頼しますか?
…どっちも、ないな。
捨ててすっきり、売ってがっぽり。
いくら、合わない機体といえど、そういう未来は、さすがに、浮かばない。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
どうしようもなくなったら、まずは、小さいことから。
箱から、出しましょう。
出しました。
箱は、どこに置きますか?
…本棚の、他のiPhoneたちの箱と、iPodのケースがいる棚だな。
行きましょう。
置きましょう。
よいしょ。
すたすた。
ことん。
よし。
積み重なった箱たちを眺めて、満足して、次。
炬燵に戻って、いよいよ、本体。
…背面が真っ白なのが、落ち着かないんだよな。
裏返して、画面を上に向けると、違和感はない。
しかし、いたずらな愛猫や、うっかりの僕が、画面を踏んづけて、ばりーん。
破損。
なんてことになりそうで、恐ろしいので、本当は、画面は、伏せておきたい。
苦肉の策で、とりあえず、手近にあった、マグネットで接続できるタイプのモバイルバッテリーの上に乗せて、座布団にしてみましたが、いかにも、仮対応。
ずっとこのまま、というわけにもいかないよね、mini…。
…いや。
待てよ。
このバッテリーには、スタンドが付いている。
miniをくっつけたまま、横向きに、立てた状態であれば、むざむざ、踏んづけたりは、しないのでは?
実のところ、このバッテリー、ほとんど、使っていないのです。
非常用にと、高機能のものを購入したところ、重過ぎて、モバイルにならない。
さりとて、ガチの非常事態になれば、これくらいのワット数では、とても太刀打ちできない。
なんだか中途半端で、持て余していたので、miniに装着し続けていても、問題はない。
ぴーぷす、ぴーぷす。
ぽわ。ぽわ。
まさか、外観は、これで、決まりなの?
…これ以上のものを、今は、思いつけない。
置き場所は?
…その辺、としか、言いようがないな。
鏡が苦手で、物が映り込む素材は、なるべく、ご遠慮願いたいけれど。
カメラレオンのメンバーは、炬燵の上が居場所と、決まっている。
どうにか、反射させず、しかし、背面の真っ白をむき出しにせず、miniも、僕も、納得のいく置き方というのは、ないものか。
じーっ。
きょろきょろ。
うーん。
むーん。
…画面を上に、普通に、横たえるなら、ここだな。
モバイルバッテリーを外して、iPodの隣に、置いてみます。
ちょこん。
すとん。
…いいみたい。
少し物陰なので、映り込みも、さほど気にならない。
これで、画面の保護になる何かがあれば、文句ないな。
試行錯誤で、どうにかなりますように。それでは、また。
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