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千文小説 その1003:再・ミニラヴ

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 iPodは、後継機を。

 MacBookは、Airシリーズを。

 iPadは、キーボード付きカバーを。

 それぞれ、あきらめることによって、現役が、確定しました。

 惜しかったなと、思わなくはない。

 …いや、惜しんでばかりと、言ってもいい。

 それでも。

 ピンクのiPodの、唯一無二の可愛らしさ。

 MacBook Proの、底知れない有能さ。

 二台の無印のiPadたちの、日に日に深まる愛着。

 何にも換えられない、恵まれたものを、しみじみと享受することで、欲は、次第に、薄れていく。

 ありがたいことです。

 これからも、大事に、お世話させていただきます。

 まんもー。

 よしよし。

 なでなで。

 るふーん。

 俺を一番に扱え。

 御意。

 膝の上、眠くなり、撫でさすりを要求する、根っから王子様な愛猫に、謹んで、手のひらマッサージを、施して差し上げつつ。

 炬燵の上、最後の難関、iPhoneに、挑みます。

 iPhone7と、iPhone14 Proは、永久スタメン。

 ここに、iPhone12 miniを加えるかどうかが、目下の焦点。

 …要するに、無印の二眼と、Proの三眼で、もめているわけです。

 miniが、ミニサイズなので、話がややこしくなっている。

 そもそもが、比べられない。

 同じインチの、Proと無印なら、まだしも。

 ほぼ最新のProと、数世代前のminiを、同じ土俵に乗せては、駄目です。

 あんもー。

 よしよし。

 なでなで。

 にふーん。

 ただ、サイズの差に目をつむれば、やはり、無印とPro、どちらを取るか。

 具体的に、次代は、どうする?

 Proなの、無印なの?

 …愚問だね。

 次代も、その次も、iPhoneは、Pro。

 それを争って、miniを出したり引っ込めたり、しているわけではない。

 ええ?

 そうなの?

 無印、とっくに、あきらめてるんじゃん。

 じゃあ、なんで、いつまでも、miniにしがみついてるの?

 よっぽど、好きなんだねえ。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 無事、爆睡に入られた愛猫を、西武ライオンズのバスタオルで、おくるみし。

 天井を仰いで、ため息をつきます。

 その通り。

 これほどしつこく、既に何度もリセットした機体を手放せずにいるのは、ひとえに、ミニだから。

 iPhone12だったら、とっくに、ここにいない。

 もしくは、iPhone14 Proを、買ってはいない。

 13 miniではなく、12 miniだからこそ、君は、生き延びているんだよ。

 というのは、13は、斜め二眼レンズ。

 現行の、無印のiPhoneの始祖なので、13だったら、たとえ、miniであろうと、14 Proとは、併立できない。

 ところが、12 miniは、二眼は二眼でも、縦並び。

 もはや、同じ型は、廃版。

 なので、12、かつ、miniであれば、14 Proに、敬意を表しつつ、ともに、炬燵に乗ることができる。

 なるほどね。

 諸々の障害を、ピンポイントで、すり抜けたわけだ。

 でも、それなら、どうして、リセット&再設定を、繰り返しているの?

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 …これは、実は、かなりの難関なのです。

 iPhone12 miniは、iPhone7とiPhone14 Proの、ホーム画面のアイコン配置を踏襲しつつも、彼らとは異なる、オリジナルのアプリ構成にしなければならない。

 iPhone7を丸コピ、では、あきらめたはずの無印路線が、まだうごめいていることになってしまう。

 さりとて、iPhone14 Proを完コピ、では、Proから無印に乗り替えました、の宣言になり、SIMカード入りの現役iPhoneに、泥を塗ることになる。

 かと言って、完全無欠のゼロから設定、では、腐っても鯛、miniでもiPhone、アイデンティティーが、ぐらぐらに。

 一発で決めるのは、ほぼ無理。

 しつこく、ねちこく、設定しては、リセットを、続けている次第です。

 愚かな身にも、そろそろ、わかってきました。

 外してはいけない要所は、どこか。

 カバーやケースや画面保護シートやステッカー等、アクセサリーの類は、一切、つけないこと。

 それだけ?

 それだけ。

 それさえ守るなら、多少、設定がお粗末でも、なんとかなる。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 miniであること、それこそが、愛着の全てなら。

 シール一枚でも、miniに重みを乗せるものは、可能な限り、取り除く。

 背面の、あまりの白さに発狂しそうになっても、miniを選んだ、代償だから。

 言い聞かせて、だんだん、なじんでいく。

 愛の土台に、覚悟が乗れば、それが、最強の結界です。それでは、また。

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