見出し画像

千文小説 その946:静観

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 無印の第九世代のiPadを持ち上げて、どうしようかな。

 もう一度、使い心地、試すかな。

 などと、もくろんでいたところ、すっ。

 ぽちっ。

 とちっ。

 ぽっぽっぽっぽっ。

 とん。

 しーん。

 …駄目だ、こりゃ。

 手が勝手に、という表現以外の何物でもない動きをして、左手が、自動で、機体をリセット。

 あっという間に、第九世代は、永遠の眠りにつきました。

 むぐーん。

 ごりごり。

 ぐりぐり。

 脚を折らんばかりにどついてくる愛猫にお待ちいただいて、クローゼットに箱を収めて、しばし、呆然。

 立ち尽くしてから、おもむろに、のろのろと、炬燵へ戻ります。

 にふーん。

 よしよし。

 なでなで。

 くふーん。

 膝の上、ご機嫌でくつろぐ愛猫の、ぽさぽさの、青緑色の毛皮を撫でながら。

 天板の上、静かに横たわる、五台の電子機器を見やります。

 自分でも、もはや、何がなんだか、わからなくなりつつある。

 そんな時は、いったん、頭も、リセット。

 フラットに、愛機たちと、向き合います。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 あっという間に、爆睡に移行した愛猫を、西武ライオンズのバスタオルでくるんで。

 iPhone、iPad、MacBook、iPod、デバイスの種類ごとに、かつ、一台ずつ、精査に入ります。

 iPodは、カバーを外したら、途端に、稼働が、スムーズに。

 主に、ミュージック・ビデオの再生のみですが、日々、元気に、活躍中。

 もう、このままで。

 寿命まで、どうぞ、よろしく。

 MacBookProも、何一つ、問題はない。

 なさ過ぎて、褒め言葉しか出て来ないくらい。

 Appleの宣伝をするわけにもいかないので、こちらも、どうぞ、このままで。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 iPhone7にも、大変、助かっています。

 電卓機能が、とりわけ、使いやすく、簡単な検索と計算は、すっかり、任せきり。

 いざとなったら、noteの原稿も書けるしね。

 頼りにしております。

 よろしくお願いします。

 もちろん、iPhone14 Proも、言わずもがなの、心強い相棒。

 ではあるのだが、OSのアップグレードが終了したらどうする?問題が、実は、まだ、解決していない。

 同じことが、無印の第五世代のiPadにも言えて、こちらは、既に、実際に、終了済み。

 アップグレードの終了で、セキュリティーが、どれほどの脅威にさらされるのか。

 それをおしてまで、使っていいものかどうか。

 じっくりと、見極める必要がある。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 目下、iPhone Proが、インターネットにおける、全ての金銭取引を担っている。

 なので、やはり、君だけは、常に、最新のOSに、対応していて欲しい。

 アップグレードの終了が告知され次第、悲しいけれど、次代の支度を。

 SIMカードとLINEを引き継いで、先代へと、退いていただく。

 リセットは?

 …そこに、iPadが、からんでくるんだよな。

 というのも、今代のiPadは、そろそろ、動作に、ガタが出始めている。

 電子書籍のページめくりが、かくかくする。

 ネット上の動画を再生すると、バッテリーが、ほんのり温まる。

 などなど、微細と言えば、それまでですが、少しずつ、老化が進んでいることは、明らか。

 なにせ、使用開始後、八年目だもの。

 このまま、iPadというデバイスの使用を継続するつもりなら、後継機を、探さなきゃ。

 …と思って、無印の第九世代を、色違いで、二台も購入したのに。

 いずれも、アウト。

 まるで、乗り替えられなかった。

 困ったな…。

 iPadが、しっかりしていれば、今代のiPhoneは、次代が軌道に乗り次第、リセットも、ありなのだが。

 iPadを、当てにできないとなると、先代として、次代のサポートに回らなくてはならない。

 炬燵の上に、延々と、歴代のiPhoneが、並び続けることになる。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 iPhoneは、OSのアップグレードが終了したら、次代を買う。

 iPadは、OSの新旧にかかわらず、そろそろだな、と思ったら、次代を買う。

 先代の処遇に関しては、ケース・バイ・ケースで、判断する。

 …というくらいしか、現段階では、言いようがないな。

 物にせよ、人にせよ、寿命に関しては、神の領域。

 人間の分際で、どうこうすることはできない。

 じゃあ、両者、このままで、良くない?

 …とまでは、やはり、言い切れないな。

 iPhoneはともかく、iPadに関しては、これでおしまい、と投げるわけにはいかない。

 普段使いをしながら、しばらく、静観です。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?