見出し画像

千文小説 その1002:お好きに

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 色も、容量も、サイズも、装備も、用途も。

 あらゆる観点から、なけなしの知恵を、振りしぼりましたが。

 …駄目だ。

 どこにも、活路がない。

 全ての矢印が、リセットを示すなら、それに逆らうのは、代償が要る。

 下手をすると、命に関わり、もっとひどいと、書けなくなる。

 そこまで、iPhone12 miniを、愛していますか?

 にちにちにちにち。にちにちにちにち。

 膝の上、一心に、おやつのするめをかじる愛猫の、大きなおしりを抱き直し。

 炬燵の上、白々と横たわる、小さなスマホを見やります。

 書くことが、大事。

 書くには、命が必要なので、そちらも、大事。

 iPhone12 miniを生かしたところで、執筆には、使わない。

 ならば、取り得る道は、決まった。

 ごめんよ、mini。

 ここで、お別れだ。

 痛む胸をこらえて、薄くて軽い板を持ち上げ。

 所定の動作で、初期化して、クロスで磨いて、箱にしまいます。

 ふー。

 終わった。

 やれやれ。

 ぞろぞろ。

 わいわい。

 …ええ?

 miniの姿が消えた途端、炬燵の上の電子機器集団、カメラレオンのメンバーが、一台、また一台。

 次々に、起動して、たちまち、天板の上は、大賑わい。

 充電するものがあれば、アップデートの確認を取るものもあり、電子書籍を開いたり、ミュージック・ビデオを再生したり。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 愛猫は寝落ちするし、謎の深海生物は超然だし、何がなんだかわからないまま、食べ残しのするめをくわえて、文字通り、右往左往。

 最終的に、MacBookで、贔屓のバンドのライブのBlu-ray映像を観ながらイカを賞味するという、なんとも、お大尽な格好に。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 膝の上、大爆睡の愛猫の、ぽさぽさの、青緑色の毛皮を撫でて。

 改めて、カメラレオンを、精査します。

 第六世代のiPod touch、ピンク、32GBは、あらゆる意味で、別格。

 可愛いおまけとして、基本的に、頭数には入れない。

 完全に、自由に、バッテリーの寿命を、全うしてください。

 MacBook Pro、13インチ、スペースグレイ、256GBも、別の意味で、別格。

 OSに期限が来ようとも、気にせず、バッテリーの限りに、現役続行。

 次代が来たら、先代の、Intel搭載のMacBook Airに倣って、リセットし、箱に収まり、クローゼットで、永久休眠。

 先代と同様、二度と再設定はしないが、決して手放さない。

 歴史の重みを背負って、最もハードな作業を、よろしく頼みます。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 無印の第五世代のiPad、ゴールド、32GB。

 無印の第九世代のiPad、スペースグレイ、64GB。

 ともに、スタンドにもなるフリップケースに収まり、それぞれに、ステッカーを貼っている。

 OSの期限が来次第、最新版の、無印シリーズ、最小容量を導入し、同種のアクセサリーをまとう。

 よほどのことがなければ、リセットしない。

 が、どれだけ増えても、使用頻度に、優劣はつけない。

 OS以外は、みんな、同じだから。

 逆に言うと、OSが異なる、というのが、各々のiPadの、存在意義。

 シリーズも容量も付属品も揃えたうえで、バージョンの違いによる微差を楽しむのが、僕にとっての、iPad。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 さて、iPhone。

 …これは、困りました。

 iPhone7、ゴールド、32GB。

 iPhone12 mini、ホワイト、128GB。

 iPhone14 Pro、ディープパープル、256GB。

 14に、SIMカードが入っており、押しも押されもせぬ、現役。

 今後とも、Proシリーズ、256GBを、買い継いでいく予定で、そこは、何がどうあろうと、変わらない。

 もちろん、14も、リセットせず、永久スタメンは確定。

 ただし、iPadのようには、先代、先々代を、平等に、使用することはできない。

 初代iPhoneである、7には、とても思い入れがあるし、手放すつもりはないのだが、いかんせん、諸々、古い。

 ブックの同期はできないし、バッテリーの減りも早く、名誉職という形でしか、存続不能。

 12に至っては、何度試しても、あらゆる設定とアクセサリーをはねのけて、箱に収まってしまう、引きこもり。

 7と同様か、もしかしたら、それ以上に、充電も、すぐ切れて、とても、要事を任せることはできない。

 ぴーぷす、ぴーぷす。

 ぽわ。ぽわ。

 …とりあえず、MacBookと、iPadたち、iPhone Pro。

 この四台で、回していこう。

 残りのみなさんは、お好きに。

 それぞれが、それぞれに、与えられた物生を謳歌できるよう、ユーザーとして、努力いたします。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?