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なにわの○○完走(感想)


なにわスワンキーズという、面白いコントを作るのに漫才もできて、人気はないのに愛されていて、素朴で熱い、トリオがいる。

2019年4月のネコちゃん大特訓を見たときに「なんか好きだな」と思ってから頻繁に見に行くようになり、8月の「なにわの夏」から今年11月の「なにわの冬支度」に至るまで、気づけば全公演行っていた。

2月と、コロナでの休館中を除くと月に1回必ず単独があって、最初は「今月もあるの!?」といちいち驚いていたけれども、最近では「OK、ルーティンね」という感じでチケットを取っていた。

どうやら本当にこの連続単独は終わるらしく、次いつ彼らの単独を見られるかはわからない。

改めてその事実を認識すると、じわじわと寂しくなった。

とは言うものの、これまで毎月単独をすることに関しては色々と思うところがあった。

彼らはお笑いファンからも周りの芸人からも愛されているけど、それが集客力に繋がるかと言うと…という感じ。

今でこそ手売りなど考えられない状態になったけど、手売りをしてた頃はかなりチケットを捌くことに時間を割いていた。

その時間をネタを作ること、練習することに当てられたらなあと思うのだけど、興行である限りチケットは売らないといけない。

単独をすればするほど準備の時間が減るというちょっとした悪循環が起きていたと思う。

あと幕間も、Vを撮る時間がないのか、舞台袖で喋ったり企画したり。

私のような毎月必ず足を運ぶオタクは全てをわかった上で行くので良いけども、1回ふらっと入った人が果たして次も来てくれるのかは疑問。

ネタは面白いけど、単独を見に行く理由を、ネタ以外の部分に求める人も多いし、その気持ちもわかる。

そんな感じで、毎月チケットが売れない現実を突きつけられたり、シンプルに毎月ネタを生み出し練習する苦しさがあったりする中で、彼らが月1回の単独を1年以上やり切ったのは、彼らのネタに対する本気度と根性を感じて嬉しかった部分もある。

単独をする中で、漫才もコントもたくさん良いネタがあって、それらに出会えたことは収穫だった。
ネタによってボケとツッコミが変わるとか、彼らの新しい面をたくさん見ることができたのも嬉しかった。

(だからこそ某-1グランプリ予選で昔のコントを漫才にしてかけたのは悔しくて…もっともっと今のネタに自信を持っていいから)



少し概念的な話をすると、単独ライブは自分と自分が応援する人たちの間にある、シンプルかつ強力なパイプだと思っている。

私がなぜ執拗に彼らの舞台を見に行くようになったのかというと、去年の4月の単独に行けなかったのがずっと引っかかっているから。

自分の「この人たちのネタがたくさん見たい!」という衝動と、手売りをする彼らの「来てほしい!」が合致してたのに行けなかった、これが自分でも驚くほど悔しかった。

毎月見ることで毎月改めて「この3人が作るネタが好きだな」と思えたし、彼らが好きでよかったなとも思えた。

普段の出番数が少ないから、確実に彼らを見られる機会があったというのも大きかったし、ZAZAが逝ってしまった現在、単独がなくなるのはそういう面でも恐ろしい。

今となってはただひたすらに追い込むこと、ネタを量産することは無駄ではなかったと感じるし、毎月単独を開催してくれたことに感謝したい。

彼らのネタはあまり飛躍していなくて、日常の範疇にある変な人だとか変な空気をコントにするところが好きだなと思う。

きっと私が日常生活の中で面白いと思ってることとか、腹立つと思ってることが似てるような気がする。

あとはもちろん全員がツッコミもボケもできるセンスを持っているところ。

毎月の単独がなくなってこれから彼らがどうなっていくのかはわからないけど、次の単独のときにはもっともっと面白くなっていてほしい。

現には私は彼らが周りの優秀な先輩のようにステップアップしていく姿を信じているから、集客力がなくてもどうか自信を無くさず、惑わされず、「ありふれた日常を笑いに変える魔術師」(笑)として、自分たちの面白いと思うことを貫いてほしい。


それまで私は見守るので。

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