Nash☆

ポーカーが好きです。Piosolver始めました。ポーカーで世界一周するのが目標です。…

Nash☆

ポーカーが好きです。Piosolver始めました。ポーカーで世界一周するのが目標です。現時点22か国訪問。https://twitter.com/LMotonus

最近の記事

[短編小説]GTO物語 ターン編18

 次の日朝、とりあえず会社へいつもどおり向かうことにした。今取りかかっているプロジェクトも忙しいし、これ以上休んで他のメンバーの負担を増やすわけにも行かない。それに家に一人で居てもがんのことが頭を巡って気分が落ち込むだけだった。 仕事は忙しかった、進捗管理、メールの返信、資料作成あっという間に夕方になり、やや残業をしてから退勤処理をした。家に突く前にファーストフードで適当に食事をした。体にあまり良く無さそうだがいまさらだ。  自宅マンションについてから、母親に状況を連絡す

    • [短編小説]GTO物語 ターン編17

       僕はドアの鍵を開けて部屋に帰ってきた。カーテンを開けて出たので、部屋が昼の陽射しでむんわりと温まっていた。少し窓をあけて空気を入れ換えてから僕はベットに横たわった。 僕は早速、連絡先を交換したアプリを開いてメッセージすることにした。 『相葉です』 いや、堅苦しいか…… 『裕樹だよぉ』 ん、ちょっと砕けすぎかな。送信する前に何度も書いては消し書いては消しを繰り返した。 『さっきはどうも、相葉裕樹です。そう言えば下の名前なんて言うの?』 と送った。少しの間自分の送

      • [短編小説]GTO物語 ターン編16

         彼女は「えー」が口癖で大抵の場合は「えー」から話し始めた。  僕らは趣味や最近あったたわいもないニュースについて会話した。結局彼女が平日に学校に行っていなかったか聞き出せなかった。自分から話そうともしなかったし、気のせいかもしれないがどことなく、その話題は聞きづらい雰囲気があった。 会計のまえにトイレに席をたった。ただの喫茶店のトイレで小便をしているだけだが僕はニヤニヤしていた。ニヤニヤにしている自覚があったが、それを止めることができなかった。足早に席へ戻ると彼女はスマ

        • [短編小説]GTO物語 ターン編15

          いくつかあるうちの出来るだけ客が少なそうな喫茶店を選んだ。平日の昼間に制服姿の女子高生と行動を共にするのは人目が気になる。裏通りの喫茶店に入るまでも通り行く人からちらちらと視線を送られるのが気になった。 喫茶店はチェーン店ではなく昔から続いてそうな趣のある店にした。ドアを引くとコーヒーのよい香りが鼻の奥まで通った。テーブルや椅子、内装は木製で店全体が濃い茶色、古い本棚には漫画本が並んでいてゆっくりとした時間が流れている。店内に入っても特に「いらっしゃいませ」の案内も聞こえず

        [短編小説]GTO物語 ターン編18

          [短編小説]GTO物語 ターン編14

          僕と彼女のラーメンは同時に運ばれた。というかカウンターの一段高いところに同時に置かれた。お互いにカウンターの上に手を伸ばし各々のラーメンを自分の手間に置き直した。まわりの客が彼女をちらちら見ていた。 彼女はおなかがすいているのか、勢いよくラーメンを食べていく。 (なにか話しかけたい) と思ったが、なんと話しかけていいかわからない。なんとか話しかけるきっかけを作りたい。普段はラーメンに調味料を入れないのだが、何か起こるかもしれない期待をして、彼女の目の前にある刻みニンニク

          [短編小説]GTO物語 ターン編14

          [短編小説]GTO物語 ターン編13

          メインの通りからは一本路地に入ったところにそのラーメン屋はある。ガラス張りの気引き戸で入ると食券の販売機があるのでそれで食券を購入する。店内はカウンターが十五席、四人掛けのテーブルか一つある。メニューはラーメン類と餃子と飲み物類だけで炒飯などは置いていない。店長のおじさんは短髪で細身で筋肉質な締まっている。盛り付けや、洗い物などをメインにする店員は少しぽっちゃり目でいつもタオルを頭に巻いてる。 僕は食券を買い、カウンターに座って一段高くなったところに購入した食券を置いた。店

          [短編小説]GTO物語 ターン編13

          [短編小説]GTO物語 ターン編12

          会計を済まし、領収書、診療明細、医師が書いてくれた紹介状を手にして帰路についた。 会社へは病院を出てすぐに連絡を入れて、医師から今日は休むようにと指示があったことにして、一日休むことにした。 普段はは必要以上に説明を求めてくる上司は昨日の今日で、二つ返事ですんなり了承してくれた。 紹介状はがんセンターへの紹介所で自分で電話して予約するよう説明された。 帰宅する間に電話で予約しても良かったのだがなんだが気分が落ち着かないので、家に帰ってからに電話することにした。 ただでも病院

          [短編小説]GTO物語 ターン編12

          [短編小説]GTO物語 ターン編11

          今から約3ヶ月前仕事中に倒れて救急車で運ばれた。 数週間前から疲れは取れないし、疲労がどんどん溜まっていって休日におとなしく体を休めても疲労が回復しない感覚はあった。 それと時折胸が締め付けられるように痛むことがあったが、しばらくすると痛みは消えたので気にはなっていたが病院へかかるほどではないと思っていた。 第一僕は病院が嫌いだった。雰囲気や匂い、無意味に長時間待たされるし、近寄りたくも無い。 受け持っているプロジェクトで仕事が忙しいかったので残業も多めだったしただの過労

          [短編小説]GTO物語 ターン編11

          [短編小説]GTO物語 ターン編10

          相葉裕樹はごろごろしながらスマートフォンを手に取って眺めていた。スクリーンの向こう側には好みの女性が溢れかえっているのに、何故現実はそうならないのかと常々不満に思っている。 人生の時間がないのにスマートフォンを眺めることに時間を費やしていいのかと自問自答するが取り立てて何をしてもいいかわからず、今までと同じ様な生活を送っている。 井上夏生の紹介で加藤優希と何度かデートしたまではよかったんだが、さすがに昨日はやらかしてしまった。女性に『胸が無いはまずい』。人生最大のチャンス

          [短編小説]GTO物語 ターン編10

          [短編小説]GTO物語 ターン編9

          華やかな香りが部屋に行き渡った。瑞々しい香りを胸一杯に吸い込む。煎れたてのダージリンに砂糖を二匙入れる。気持ちは三匙入れたいところだが太りたくは無い。テーブルについてゆっくりと香りと味を楽しんだ。 休日なので外から聞こえてくる騒音は少ない。 加藤優希はバックからスマートフォンを取り出した。インスタグラムを開いた。ほとんど投稿しないが仕事が終わった後など電車の中で何気なく見てしまう事が多い。スクロールしていく、女友達がディズニーランドで彼氏と楽しんでいる写真、友達同士でお出か

          [短編小説]GTO物語 ターン編9

          [短編小説]GTO物語 ターン編8

          次の日の朝、加藤優希は現実世界へと意識が戻りつつあった頭が重くて頭痛がする、外は十分に明るくて陽が高い。はっと目を開けると目覚まし時計の八時二十分の2本の針が飛び込んだ。 『やばい!会社に遅刻する!』 ベッドから飛び起き、洗面台へ向かう。自分お顔を見ると化粧すら落としてないことに気づいた。体も怠い。とにかく化粧を落とすために蛇口をひねって水を出した。洗面台に勢いよく当たる水の音でやっと気づいた。 『あっ!今日土曜日だ。仕事じゃない。』 昨晩の何があったかを思い返した。

          [短編小説]GTO物語 ターン編8

          [短編小説]GTO物語 ターン編7

          ガッツン、っと勢いよく女はサワーのグラスを置いた。既に入店から二時間の時が過ぎていた。比較的よくしゃべる夏生は一方的に聞き役に回る羽目になった。後半からは同じ話の繰り返しだ。 女は少し呂律が回らない口調で続けた、 「おと、乙女の、唇を奪っておいてさぁ~!あり、ありえないくない!いや、もうぜっっっったいありえない!なに?胸が無いっておかしいよね?」 「ああ、そ、そうだな!」 夏生は勢いに押されて、頷くしかなかった。 若い女性が酔って大きな声で不満を垂らしているのを、周りの

          [短編小説]GTO物語 ターン編7

          [短編小説]GTO物語 ターン編6

          「ここだよ」 夏生は言った。 入り口は木製の引き戸で、半透明の磨りガラスからは店内の明かりと 客の会話する音が漏れ聞こえて来た。 入口の脇には、看板が掲げられいてその看板には毛筆の書体で「梵」と一文字書かれていた。 夏生が引き戸を開けると 「いらっしゃい!」 カウンターに立つ店主の料理人が挨拶をした。夏生の顔を覚えてるのだろう、『また来たね』といったニュアンスが含まれていた。40代半ばくらいで白い法被に和帽子を被っている。和帽子からはみ出た髪は短く刈り上げられいるが

          [短編小説]GTO物語 ターン編6

          [短編小説]GTO物語 ターン編5

          女は起き上がりながら、声の方に目を向けると 傘を指した男性が近づいてきた 「夏生!」 「あらあら、傘も刺さずにどうしましたぁ~?」 「うるさいわね!」 このときに初めて女は先程までいた部屋に傘を置き忘れたことに気づいた。 夏生は無表情にしくしくと降る雪から守ってくれるように傘を女に指してくれた。 夏生のダウンジャケットに雪が落ちる。 女は立ち上がりながら、雪と汚れを払った。 「なんで、こんなところに居るのよ?」 女は言った。 「なんでって、俺近所だし、お腹減っ

          [短編小説]GTO物語 ターン編5

          [短編小説]GTO物語 ターン編4

          女は男の部屋のドアを飛び出した 男はマンションの3階に住んでいたので、そのまま足早に階段を降りてマンション出口まで向かった エレベーターを待っている間に男に追って来られても困る エントランスを出て、マンションの敷地から出た 『なんなのよ! なんなのよ!』 『胸が無いって、なに?!』 思い出せば思い出すほどイライラして来た。 パンプスのヒールが威勢よくカツカツと響いては、しくしくと降る雪にその刺々しさは無力化されて雪の白さに消失していった。 「あ!」 と、女が

          [短編小説]GTO物語 ターン編4

          [短編小説]GTO物語 ターン編3

          彼女はそそくさと立ち上がり、テーブルの逆側に移動した。 テーブルの上に置いてあったスマートフォンを形の良いターコイズブルーのバックに滑り込ませ、ベージュのソファに掛けてあったコートをむしり取る様に掴んで、出口のドアへ足早に向かった。 リビングと玄関を仕切るドアを開けながら彼女はこちらを横目に睨みながら 「死ね!」 と捨てゼリフを吐いた。一瞬『あっ』という表情を浮かべたが、そのまま玄関にあるライトグレーのエナメルのパンプスをつっかけて出ていった。ドアが大きな音を立ててバ

          [短編小説]GTO物語 ターン編3