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[魔女の遺言]から[水杜の都]まで

世界は誰もに都合よく出来ている

[水杜の都]よりニコラ

このセリフは懸命に生きている人への寿ぎだと思う。

 乙女ゲームという存在を初めて知るきっかけとなったPC用同人フリーゲーム。ゲームの中でも乙女ゲームが好きで、いくつかプレイしているけれど、群を抜いて好きなゲームのひとつ。


概略

 1作目が[魔女の遺言]で、不思議な力を使う魔女の血を引くヒロイン、メリアノが祖母が亡くなったことで巻き込まれ、誓騎士と旅をする話。2作目が[水杜の都]で、祖母の遺言(手紙)により色々と巻き込まれることになったメリアノが都にたどり着き、今度はお家騒動に巻き込まれる話。番外編[人読み師]は、メリアノの幼馴染アニーの人読み師としての成長する話。
  [水杜の都]は[魔女の遺言]をクリアしていないと、プレイできない仕様。[人読み師]の引継ぎデータがなくても[水杜の都]はプレイできるがスチルが埋まらない仕様。番外編だし読めない話があったとしてもスチルが埋まらないなんてことはないよな、と思って[人読み師]をプレイせずに[水杜の都]を攻略していたら、スチルが埋まらず結果、攻略が難しいとされる殿方を先にコンプリートするという邪道。これには抗議したい。

感想

 このゲームの好きなところは枚挙にいとまがないのだけど、乙女ゲームなので攻略対象の魅力はもちろんのこと、ヒロインの性格に軽妙な会話、物語がシンプルに面白いうえに温かな気持ちになれる。金太郎飴展開なのはご愛嬌、他に加点が有りすぎるので、本当に愛嬌でしかない。
 ヒロインであるメリアノは行動的な女の子。人に甘えることが苦手で相手に気を遣わせないがために理屈屋で面倒な一面もありつつ、モテることを自覚していて人あしらいが上手いわりに、擦れていないから攻略対象の誓騎士たちが翻弄されていて、とても楽しい。すごく楽しい。
 打てば響くような会話のやり取りも魅力。金太郎飴展開とはいいつつも、周回や選択肢による情報の差が会話に反映されていて、丁寧な作りなのも好感が持てる。何よりも好きとか愛してるとか、記号的な言葉ではなく、思いを伝えてくれる言い回しにぐっとくる。みんな色男でまいっちゃう。
 騎士とよばれる人たちが出てくる以上、血なまぐさい世界がベースなんだけど、誰かを想う気持ちが物語が展開させていくので、プレイ後に満たされる充足感。世界観もしっかりしているので、登場人物たちの会話や思考に説得力があって疑問に感じることなくゲームに没頭できるのが嬉しい。
 1周する分にはそこまで時間がかからないけれど、[水杜の都]に至ってはボリュームが多くてコンプリートするのに20時間ぐらいかかった。正直コンプリートって言葉で片づけたくない、もはや網羅の域なんじゃないかってぐらい周回したよ。1周終えるとSPECIALで場面を再生できる仕様で、細かく再生できる親切設計。同じシチュエーションで、ユージュは躊躇しないのにエイリは踏みとどまる違いとか、何度も見直して萌えられる。

攻略対象

 攻略対象は[魔女の遺言]だと誓騎士4人と隠しの誓騎士1人。[水杜の都]は更に誓騎士1人追加されて、隠しも2人増える。


ユージュ;聖騎士らしくない遊び人
 一番好き。女性を落とす術に長けていて、メリアノが躊躇したり迷ったりしたら、踏みとどまったり後押ししたりと、芸達者。ハマると危なそうなのに、誰よりも余裕という名の安定感のある男で好き。あと隙あらば手を出そうとする貪欲さは好感でしかない。焦ってなさそうな雰囲気で焦ってるとか言うの、ズルくない?そんなユージュを手玉に取るメリアノはもっと好き。


エイリ;貴族な外見で物腰柔らかなのに毒強め
 次点で好き。誓騎士の中でも最年少でメリアノに対して焦りや執着を隠せない様が可愛かった。議員を輩出する家系なだけあって、根回しとか卒なくできるクレバーなタイプなんだけど、メリアノにだけは発揮できないヘタレさが素晴らしい。基本的に敬語なのにここぞって時にタメ語になるの、定番でいいよね。


リックス;男も惚れる言葉よりは行動派な実力No.1
 自信に裏打ちされた男で魅力的、意外と我慢の利かないところもいいよね、メリアノもまいってた。


カーク;次期トップと周りも認める融通の利かない優等生
 真面目だからか、不憫な役回り多くて笑った。メリアノからもむっつりとか言われる始末だしな。


ワイアット;女性はナンパするのが礼儀です
 副官という結構な地位にいて軟派な言葉を並べ立てて遊んでそうな割に、ふたを開けると自分に自信のない弱さを見せてくる、ユージュとは違った意味でズルい男。男に対しては容赦がないところがいい、ちゃんと人を見てる有能さもいい。


コールマン;堅物で直進することしか知らないような失言持ち
 自己完結型だからメリアノを怒らせることが多いんだけど、根が素直できちんと謝りに行くのが良かった。女性慣れしていないから好きとかも恥ずかしくて言えないくせに、可愛いとか思ったことを素直に伝えたらいいのかって気づくところが、逆に可愛いよって思った。


他;
 隠し2人については割愛するけれど、内1人は物語上、重要なことを知っている人物でもあるので、ぜひ攻略して知って欲しい。大人の愛ってなんて素敵なんだろうって思わせてくれる。
 最後に攻略対象じゃないけれど、[水杜の都]で出てくるセーヌ。彼が本当に良かった。憎まれ口しか叩かない困った子なんだけど、子供らしい理想を持ちつつ、だけど自身に課せられた責任も理解していて、自分の未熟さを認めることができる強さは誓騎士も敵わないんじゃないかって思わせてくれるぐらい格好良かった。まだ14歳の子供なのが惜しい。

補足

 更新が止まっているのでリンクは差し控えるけど、easelというHPで無料ダウンロードできる。最初にプレイした頃はまだ小娘だったので無料のをプレイしたんだけど、再プレイにあたって金に物を言わせることのできる大人になったので、DLsiteがるまにで18禁版を買った。ボリュームも増えるし、何よりもスケベがあって満足。大人はスケベなほう買おうね。
 番外編の[人読み師]のことも描きたかったのだけれど、幼馴染の話で、別の話だし、別の攻略対象だし、何よりも力尽きたのでまた今度。

 最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
 良い一日になりますように。

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