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インド一人旅

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20代にインドを一周した際の一人旅の記録です。2003年当時の話なので古いといえば古いのですが、バックパッカーやインドに興味のある方々には参考になる部分もあるかと思います。
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2023年8月の記事一覧

バラナシ見聞体験録(インド旅⑨)

インド一人旅での最初の訪問都市デリーを夜行で発って到着したヒンドゥー教の聖地バラナシでの2003年当時の見聞と体験について紹介します。 ベンガリートラ ガンガー沿いの路地裏商店街であるベンガリートラの商店街も随分と慣れた。何度も顔を合わすようになると、その八歳の土産屋の男の子は溢れんばかりの微笑みを見せてくれるようになった。このシヴァ神のシンボルのオームのシームを指さして値段を尋ねると1ルピーのものを3ルピーだという。 可愛さに免じて言い値で買うことにしたが、ここではこん

生と死の混沌の中で(インド旅⑧)

神聖なる火葬 黄金の布で覆われた竹製の担架が数人の男達に運ばれてガートにやってくる.火葬の始まりである.ここマニカルニカーガートはインドの火葬場として最も有名である.今日も多くの人がすり鉢状になったガートに続く川岸を囲み,そこで行われる神聖なる死の儀式を見守っていた.辺りには煙が立ちこめ厳粛な雰囲気である.『歩き方』によれば,ここはインド世界の底であり,インド人にとって最もデリケートな部分である.死者にカメラを向けることなど許されない.第一,ここにいるというだけで声を掛け

永遠なる聖河ガンガー(インド旅⑦)

デリーを発った寝台列車は約2時間遅れてバラナシ駅に朝7時に到着.車内放送は全くなかったが,車内で仲良くなったインド人たちがもうすぐだと教えてくれたので,寝過ごすようなことはなかった. まだ吐く息の白いバラナシ駅に降り立ち,長いホームを改札まで歩く.駅を出ればリキシャ乗り達の客取り合戦の幕が上がることになるのだ.外国人ツーリストの私とステファン(カナダ)とニック(アメリカ)の3人は特に目立ってしまう状況になる.私は二人に言った. 「駅を出ればリキシャの勧誘があるけど,絶対ツ

喧噪のニューデリー(インド旅⑥)

ここメインバザールのストリートには舗装というものがない.そこは買い物客やバックパッカー,牛や物乞いがごった返す.そこに突っ込む車とリキシャとバイクの自己中心的なことといったらない.彼らは奇妙なクラクションを鳴らしまくり避ける人々を避けるといった風に進んでいく.バイクの”ビーッ”というクラクションは,とにかく何でもいいから避けてくれといっているようで非常に滑稽な,しかしそれでいてインドを感じる代物だったりする. メインバザールを歩けば両サイドにびっしり並んだ店,楽器(ジャンベ

これがインドカレー!?定食ターリーに舌鼓(インド旅⑤)

インド一人旅二日目.昼の活気で騒がしいここメインバザールの人ごみの中に,少し疑心暗鬼な日本人がいた.あの旅行代理店での一件は私には少々堪えていた.始めにあのようなことがあるとこの先の旅が思いやられるというものだ. さらに,宿に戻る途中には財布をすられそうになった.メインバザールの人ごみはしばしば牛がのらりくらりと歩くので”牛渋滞”が起こり,時として押し合うことになる.そのドサクサに紛れて私のズボンのポケットから財布を抜いた者がいた.私はすぐにその手をつかんで握力で握り締めた