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amazarashiについて語りたい~君はまだ夏を知らない~

「歌詞を見ながら聴きたい曲が、いまいくつあるだろう」
私が胸を打たれてやまないamazarashiの歌詞たち。
その中から1曲ずつ歌詞の一部を取り出し、考えたことや感じたことを書き連ねたい。散文、乱文。思いつくままに書いていきたい。

今回取り上げるのは10月25日に発売されたアルバム『永遠市』に収録されている1曲。
私事ですが、この9月に長子が産まれました。
その後に発売された初のアルバムで、私はまずこの1曲に注目しました。
どうしても我が子のことを想ってしまう歌詞。
彼の今後を想う。私とは確かに人格の違う彼が辿る道程は、もちろん、私のそれとは違うものだろう。
人格が違う。土地が違う。両親が違う。何もかもが違う。
それでも、血が重なっている。彼と私の間には確かに同じ血が通っている。
そう思うだけで、彼と私の間には確かなつながりがあって、似通った部分があると期待と、心配が生じる。

そういった気持ちをくすぐるこの歌に、私は想いを重ねてしまうのです。

七月の風は人見知りしない 車の窓から手を伸ばして握手をする
思い悩みは綺麗さっぱり捨ててしまいたい 嫌味を言うほど人生は長くはない

最近気付いたのだけど、人生のうち大事にしたいと思う人間関係以外はテキトーでいいのかもしれない。
特に仕事、職場ついついそれが自分の中心のように思ってしまうけれど、24時間のうち、たった8時間程度しかないのです。
けれど、特に子ども時代というものはさらに短い「学校」という世界がまるで人生のすべてのように思えてしまう。そうではない。そうではないのだと伝えていきたい。
君の世界はどんどん広がるし、広げる先を選ぶこともできる。加速していくし、切り開く術も自分次第で手に入れることができる。
つまりは可能性に満ちている。それを自ら狭めるのであれば、親である私は、その視野を広げてあげたいのです。

優しい奴と強い奴は 決して決して矛盾しない
そんなことより海が見えたよ 夏が終わってしまう前に

一見すると、優しいと割を食う。強いというのは我がままに見えるだろう。
それは見方次第だと、いつか君は気付く。
強いから優しくなれるし、優しければ強くなれるんだよ。
その対象が自他であること、定義、条件、その他もろもろ。
私は私が思う優しさと強さを君にどうやって伝えようか。

永遠に続くような夜を見たのか 繰り返す波に途方に暮れたのか
君が見るもの全ての傍らに 悲しいと美しいが佇んで
泣かせた夜を恨んだとて 躓いた小石を罵るとて
自分自身はどうか憎まないで だって君はまだ夏を知らない
たった七つしか

この夜に、海に何を見るだろうか。何を感じるだろうか。聞かせてほしいな。綺麗で複雑な言葉でなくていい。
君を通して私にはどう見えるだろうか。
どうか自分を恨まないでほしい。その辛さを知っている。その途方もなさも知っている。そこを抜ける方法も、実は知っているんだよ。
まだまだ幼い君は、泣いた日を、躓いたことをどう思うだろう。
それを想像するだけで、私は胸の辺りがぎゅっとするんだ。

辛いことは全部話して なんて言われても気恥ずかしいから口ごもった
日焼けの跡は誇らしげに何かの証
だけど冬には消えてしまうこと僕は知ってる

ひとつひとつの変化に、体験に、君は成長と自信を感じるだろうか。
誇らしげに笑う君を、私は誇らしく思えるだろうか。
その自信が揺らぐことがあると、私は知っている。だからと言ってその幼さを私はバカになんてしたくない。愛おしく思う。これはまだまだ、あくまで想像なのだけれど。気が早いことです。

正直者と利口な奴は 決して決して矛盾しない
そんなことより明日どこに行く 夏が終わってしまう前に

正直者が馬鹿を見るというのはある種正しいけれど、そうではない時が来ると私は考えるよ。
そんな私の実感は、君には伴わないことを知っている。
だから、その夏を君と楽しみたいんだ。よくよく考えると、君と夏を過ごせるのは、いいとこ15回程度ではないでしょうか。いや15歳で親父と海には行かないか。
実家にいい砂浜があるんだよ。君の夏を象徴する景色にしたいんだ。

星座の明かりに孤独を見たのか ヒグラシの死骸に命を見たのか
君が見るもの全ての傍らに 儚いと永遠が佇んで
下らない嘘に騙されたとて 薄汚れた欺瞞に憤るとて
自分自身にどうか失望しないで だって君はまだ夏を知らない
たった七つしか

本当に広い夜空を見せることができるだろうか。どうやって君は命というものを感じるだろうか。
矛盾したものを感じながら、君はでも確かに存在する概念を理解していくのだろうか。
騙されたことを恥じるだろうか。欺瞞に対して自分を許すことはできないだろうな。でも、それらの根っこにあるものを私は美徳だと思うんだ。人を信じたこと、人に対する誤魔化しを許さないこと。
それらはきっと綺麗なもので、できるならば捨てずにいてほしい。
君が君に失望する時、私はなんと声をかけようか。お母さんと決めたことがあるんだよ、と伝えられることがうれしい。私たちはいつまでも君の味方なんだよ。

掌の上の小さいスノードーム 僕から見れば君の世界は
だけどそこには僕が知らない 透明で泥だらけな季節がある
教えてくれよ 綺麗なもの 木の根に埋めた宝物とか
恐ろしいこと 恥ずかしいこと 僕がとっくに忘れたこと

君の感じる全てのことが、私にとっては美しく見えるだろうか。
君自身はたくさん傷つくし、傷付けることもあるだろうし、醜く感じることもあるし、どうしようもなくなるかもしれない。
それでも、私はそれらを経て、君が必ず素晴らしい人間になると信じている。その過程こそを美しいと思えると信じている。
忘れたくなかったんだと思う。それでも忘れていくものだから。
誠に勝手ながら、君を通して、私はもう一度僕の人生を振り返るんだと思う。あの日の僕を救ってくれとは思わない。でも勝手に救われていくんだ。だってもう、こんなにも報われたと感じているんだもの。

君の横顔に過去を見たのだ その痛みには身に覚えがあるのだ
君のその全ての一挙手一投足に 思い出と未来が同居して
君の真夏の出演者になって 世界の景色が変わる海辺
季節が留まり永遠ならいいな だって僕はまだ夏を知らない
たった七つしか
僕は君との夏を知らない たった七つしか

本当に勝手なことだけど、私は君に僕をみる。んだと思う。そうなってしまうだろうな。ごめんね。
別の人格であると理解した上で、であってほしい。
私は君の背景であることができるのならばうれしい。笑っても泣いても、どんな表情でも私は愛おしく思うよ。その瞬間はどうかわからないけれど。

気付いたら成長している。そんなものなのかもしれない。
たった、という時間でしか君と関われないのだろうから、大事にしたいな。

そう思わせてくれる歌でした。
私の妄想する我が子との関わり。そこで感じたいもの。
本当に勝手な期待ではありますが、時間が経つごとに味わいが変わる歌なのかも。
それも含めて、ものすごく好きな歌になりそうです。

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