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あおいろの祝福

見えないものを見たかったのです、内側に潜んでいる生き物に、ひどく惹かれてしまったのです、あなたの捨てた悲しみは、ありました、ここにもひとつ、ぐらぐらとしている、不格好な優しさにも、頭が痛くなりました、形容詞には、空が似合いました、動詞は苦手でした、どうしても、満たされない詩がありました、ここに、置いていくこともできない、あなたがさみしそうな顔をするから、しばらく息の仕方を忘れていた、手に取った欠片は、星になりきれなかったひかり、もしくは、哀愁のふりをした崇拝、つまらないことばかりぶら下げて歩いていました、あれは自殺じゃなくて他殺なのだと、誰もが口を揃えてぼやいている中、ぼくだけは、あれはほんとうに自殺で君を殺したのは紛れもなく君自身だったと信じている、ただそれだけのことを抱えたぼくには夜の密度はすこしくるしくて、実際くるしかったのは息ではなく言葉を殺しきれなかったぼくのしんぞうなのだけど、それでも首を締める手を緩めることはできなかった、眠りの回数だけ憂鬱が浮かんで、ベッドごと呑み込まれてしまうから朝は起きられないよ、ねぇ、近くほんとうに近くで何度も鐘が鳴っているのは誰かがまたひとり死んでいったからなのでしょう?その音は、祝福、って捉えたらまた怒られちゃうのかな、さようならがほしかったの、花が散るときにはさようならがあるでしょう、ぼくがお別れをするときも、さようならがほしいの、あおいろは、寂しい色じゃないよ、真実にいちばん近い色、眠たくなってきたね、睡眠薬もあおいろだ、ぼくってさ、いまビルの屋上で朝の空気を思いっきり吸っているのだけど、べつに誰も来なくていいんだけどね、ほんのちょっとだけ、誰かが来てくれるのを待ってるんだ、ださいよね、いつからか泣けなくなって、いまのぼくがどんな感情でいるのか、ぼくにすらわからなくて、きみにならわかるのかなって、思っちゃった、わかるわけないのにね、あ、もう夜だ、おうちにかえらなきゃ、ねこがお腹を空かせて待ってるから。

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