川柳20句『ワークに犬笛』
昭和から水平移動させた指
暗闇に三枚の爪が浮き上がる
光源を盗み損ねて焦げたパン
湯たんぽの中に詰まった聖飢魔II
カポーンカポーン最終戦争に浮かぶ柚子
のっけてね海辺の村にチョコレート
食べかけのパフェで書かれた月の手記
色を塗る列外へ列外へ列外へ
中空のドアから人も出てきます
殻だけのボトルを除き宇宙食む
抵抗に背中を預け眠り込む
知られざる傑作の音は遠ざかる
側溝にまだ流れていない
家族からソファーを並べて推理する
宝石が縞々になるようにして
出窓から草むしりする記載台
狐には切羽詰まった倫理面
石ころの回路を捻る地下通路
ペンキ塗り崖やビルから制御する
鉄人のリモートワークに犬笛
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